コンパクトバカンチェスL MoMoは、リンエイプロダクトが製作する、トヨタタウンエースをベース車にするコンパクトバンコンキャンピングカー。
同社は埼玉県川越市を拠点とするバンコン専門ビルダー。非常に多くのレイアウトを提案しており、軽キャンパーからハイエーススーパーロングまで幅広くラインアップしている。
「バカンチェス」は同社のモデル全てに付くブランドネームで、「コンパクトバカンチェスN」はNV200バネット、「コンパクトバカンチェスL」はタウンエースをベースとした名前になっている。
また「MoMo」はフル装備を謳うシリーズで、冷蔵庫、電子レンジ、充実した電装系などが特徴となっている。
コンセプト
コンパクトバカンチェスL MoMoはタウンエースのインテリアのみ架装し、ポップアップルーフなどの架装したバージョンは無い。2列目にマルチモードシートを配置し、ミニバンのように日常使用でき、キャンピングカーとして使用する場合は2名が就寝できる。
Monoは電子レンジや冷蔵庫、テレビが標準装備されており、「快適性の高い旅を実現できる」と謳われている。
エクステリア
コンパクトバカンチェスL Momoのエクステリア
ベース車はトヨタ タウンエースで、外装への架装はなく、見た目は普通のタウンエースと変わらない。従って、特に目立つことなく日常用途に使用できる。
なお、同社はどのベース車もポップアップルーフの架装はなく、ノーマルルーフのみ製作できる。しかしそのため価格的には有利で、ミニバンを購入する感覚でキャンピングカーを購入することができる。
インテリア
シート色や素材は選択できる
家具は8色、テーブルなどの家具は11色から選択できる。カーテンなども選択肢が豊富で、自分好みのインテリアが可能。特別に高級感やデザイン性があるわけではないが、実用的な作りとなっている。
レイアウト
2列目にマルチモードシートを配置し、前向きにすると、運転席、助手席を含め、計4名が前向き乗車できる。また、後ろ向きにすると、横座りの3列目シートと合わせてL字型のダイネットを形成する。
2列目にマルチモードシートがあるので前後の移動が多少妨げられ、運転席、助手席からダイネットへは、一度車外に出る方が早い。ただし、後部に行ってしまうと3列目が横座りシートのため、ダイネット内では移動しやすい。
ダイネット
3列目に横座りシートを設置したダイネット
2列目シートを後ろ向きすると、横座りの3列目シートとでL字型のダイネットを形成する。ギャレーを囲む形になるので電子レンジや冷蔵庫へはすぐに手が届く。またギャレーコンソール上のテレビも見やすい。
なお、キャンピングカーとして使用する場合は、2列目シートのみフラットにしておくと、運転席、助手席から後部への移動ができ、ちゃぶ台スタイルで寛ぐことができる。更に3列目シートはリビングチェアのように使え、ギャレーも使いやすい。
ベッド
全てのシートをフラットにしたベッドモード
全てのシートをフラットにするとベッドモードになる。正確なベッドサイズは公表されていないが、後部の幅はギャレーがあるため、家庭用セミダブルベッド(1200mm)程度と思われる。
ギャレー
後部左側の冷蔵庫と電子レンジ
後部左側に冷蔵庫と電子レンジがビルトインされたコンソールがあるが、シンクは無く水を使うことはできない。なお、コンパクトバカンチェスシリーズは全てシンクを持たない。
冷蔵庫/電子レンジ
40L冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は上開き式40Lで冷凍も可能。このクラスではポータブル冷蔵庫を採用する例が多いが、コンパクトバカンチェスL MoMoでは本格的なビルトイン冷蔵庫を採用している。
また、電子レンジは100V仕様の家庭用のものが標準装備されている。2000Wインバーターも標準装備されているので、外部100V電源ではもちろん、バッテリーでも使用できる。
収納
下段ベッド下の収納
後部左上にオーバーヘッド収納が用意されている。高さはそれほどないが幅が広いので実用的な収納力がある。食器等を収納しておくのに便利だ。また、横座りシート下が収納スペースとして用意されており、多少大きめのバッグなども収納できる。
ベッド下のスペースに収納できる
収納として用意されているのはこれだけだが、それ以外はベッド下のスペースを利用する。後部ベッド下が比較的大きなスペースで、また2列目シートをベッドにした下側にも多少スペースができる。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。ベンチレーターはソーラーパネルが搭載されているので取り付けできない。また、冷房設備は設定されていない。
テレビ/ナビ
DVD内蔵の19型クラスのテレビが標準装備され、後部左側のコンソール上に設置されている。ナビはオプション。
電装系
ソーラーパネルも標準装備される
105Ahのサブバッテリーが1個と走行充電、そして外部100V電源入力と、それによるサブバッテリーの充電機能が標準装備される。また2000Wの正弦波インバーターも標準装備される。
サブバッテリーの増設の可否は不明だが、電子レンジを比較的多く使う場合は、増設したい。なお、ワット数が不明だがソーラーシステムまで標準装備される。電装系はほぼ全て標準装備されている。
価格(2020年12月現在:千円台切り上げ:税別)
同社のサイトの価格表では270万円~と記載されているが、2020年2月時点の展示会では、2WD/5MTで車両本体価格は299万円~となっている。
装備しておきたいオプションはFFヒーターが挙げられる。
他モデル
タウンエースベースで電子レンジと冷蔵庫が装備できノーマルルーフのモデルは、stage21のリゾートデュオルクシオ(314万円~)とフロットモビールのシュピーレン(価格不明)がある。
コンパクトバカンチェスL MoMoを含め、これらは全て4ナンバーだが、リゾートデュオルクシオとシュピーレンはギャレーを持ち水が使える。(シュピーレンは簡易)
まとめ
コンパクトバカンチェスL Momoは、キャンピングカーとして使う場合は2名だが、日常用途にも使いたいという要望に応えたモデルで、かつ、キャンピングカーとしては充実装備を望むユーザーに適している。
即ち、コンパクトなボディで街中での取り回しがよく、ノーマルルーフなので地下駐車場にも入れ、2列目に前向きシートを持つのでミニバンのように使える。
更にポータブルではなく40Lの据え付け式冷蔵庫と100Vの電子レンジ、2000Wのインバーターを標準装備し、キャンピングカーとしても便利に過ごせる、かなりマルチパーパスな要求に対応できるモデルと言える。
なお、冷蔵庫や電子レンジは不要というユーザーには、同社のコンパクトバカンチェスL サンティが同じレイアウトで用意されている。また小さな子供がいるファミリーなら、コンパクトバカンチェスL リッツで上段ベッドマットオプションを使えばファミリーでの車中泊が可能になる。
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