Walk(ウォーク)Ⅲはドリームエーティーが製作する、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社初のボディサイズのモデルとなる。
同社はハイエースとキャラバンベースのバンコンを専門に製作するビルダーで、Walk(ウォーク)シリーズがメインブランド。スーパーロングベースの「Walk」、標準ボディハイルーフベースの「Walk II」、ワイドミドルルーフベースの「Walk MC」、キャラバンベースの「Walk NV350」をラインアップする。
Walk MCとWalk IIIを除いて、それぞれType-AとType-Cがあり、Type-Aは2列目にマルチモードシートを持つファミリー向け、Type-Cはベンチシートの二人旅向けのレイアウトを持つ。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンで、一般的な5x2mのパーキングスペースに駐車でき、ハイルーフではないので高さ制限のある駐車場にも入り易い。
2列目にマルチモードシートを配置し、5名が前向き乗車できるため、ミニバンと同じように日常使用することができる。
後部にはギャレーがあり、車中泊時に手や顔を洗ったり食器を洗うことができる。また、大人3名、あるいは大人2名+子供2名が就寝できるので、ファミリーでの車中泊も可能。
日常は通勤や買い物に、休日はファミリーで車中泊を伴うドライブに使用でき、ファーストカーの代わりに使える、マルチパーパスな1台。
アピールポイント
・一般的な駐車場に駐車でき、取り回しが良い
・高さ制限のある駐車場にも入れる可能性が高い
・ミニバンのように使えるレイアウト
・ギャレーがあり、洗面や食器洗いが可能
エクステリア
ウォークⅢのエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディ標準ルーフ。このサイズはハイエースの中で最小で、車長、車幅はノアなどのミニバンと変わらない。またキャブオーバーではあるが、運転席が高いため、むしろ運転しやすい。
グレードはキャンパー特設車が標準で、同色バンパーやメッキグリルなど、外観は商用車臭くない。ただし、Toyota Safety Senseは装着できないので、これを希望する場合は、バンDXを選択し、GLパッケージを装着する必要がある。
ボディ外側への架装は無く、見た目は通常のハイエースと変わらないので、通勤や買い物にも違和感なく使用できる。
インテリア
多くの選択肢が用意されるインテリア
インテリアは特に凝ったものではなく、家具の作りも一般的なものだが、特に不満はないだろう。家具色、シート生地、フロア、カーテンなど多くの選択肢が用意されている。
レイアウト
先述の通りWalkやWalk IIにはType-AとType-Cが用意されているが、Walk IIIにはType-Aのレイアウト、即ちファミリー向けのレイアウトのみが設定されている。
これは、日常用途にも使うことを想定しているためで、このボディには二人旅用のレイアウトは不要だろう。二人旅にはWalk II Type-Cが適している。
5名が前向き乗車できる
Walk IIIのレイアウトは、2列目にマルチモードシートを配置し、前向きにすると5名が前向き乗車できる。2列目シートは両側のみ3点式シートベルトが装備されているので、計4名が3点式シートベルトで乗車できる。
3列目は横座り対座シートで、2列目シートが前向きになっていてもダイネットが形成できるのが特徴。ちょっとした休憩時に2列目シートを後ろ向きにする必要が無い。
2列目のマルチモードシートがあるため、前後の動線は通っていないが、3列目シートとギャレーの間はスムースに行き来できる。また、運転席、助手席から後部へ移動する場合、マルチモードシートを前向きにしておかないと車内で移動できない。
ダイネット
ロの字型ダイネットを形成する
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートと最後部のシートで、ロの字型ダイネットを形成する。就寝定員の3名で使用するなら、3列目の横座りシートだけでも十分広いダイネットになる。
さらに、最後部の折り畳みベッドマットをセットすると、更に広いダイネットになる。
ベッド
家庭用ダブルベッド相当のダイネットベッド
全てのシートをフラットにすると(動画はこちら)、大人3名、あるいは大人2名+子供2名が就寝できるベッドになる。ベッドサイズは記載されていないが、横幅は車幅いっぱいに取れるので、1500mm以上はある。家庭用ではダブルベッド以上の幅だ。
なお、最後部のベッド幅はギャレーがあるので狭くなる。また、運転席、助手席のシートバックも使ってベッド長を延長することができる。補助マット(220,000円)もオプションで用意されており、倒したシートバックの間にセットできる。(動画はこちら)
なお、オプションで上段ベッドボードも用意されている。これについてもサイズの情報が無いが、子供用ベッドとして使えそうだ。
ギャレー
最後部右側のギャレーセクション
最後部右側にギャレーキャビネットが配置されており、シンクとシャワーフォーセットが装備されている。また跳ね上げ式の調理台も用意されているので、コンロを置いて調理するのに便利だ。
実用的な大きさのシンク
シンクは実用的な大きさで、中皿程度は洗うことができる。シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されており、リアゲートを開けて車外から出し入れすることができる。
冷蔵庫/電子レンジ
ポータブル冷蔵庫がオプション設定されている
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫がオプション設定されている。ただし設置場所は特に用意されていないので、好みの機種を自分で調達しても良い。冷蔵庫の設置スペースは電源も含めて欲しいところだ。
また、電子レンジのオプション設定はされていない。このモデルの性格上、冷蔵庫や電子レンジの必要性は少ないという判断と思われる。
多目的ルーム
最後部の折り畳み式ベッドボード
Walk IIIに多目的ルームは無いが、小さな子供がいる場合はポータブルトイレを乗せておくと助かることがある。最後部の折り畳み式ベッドボードの下に収納しておくと、目につくことは無い。
収納
ギャレーキャビネットの収納スペース
ギャレーキャビネットに収納スペースが設けられているが、残念ながら扉が付いていない。ここは引き出し収納にすると、カトラリーや食器が収納できるのだが。
3列目シート下の収納スペース
3列目シート下は大きな収納スペースになっている。大き目のバッグなども収納しておける。シート部は開けたまま固定できるので、非常に使いやすい。
ギャレー前の床下収納
また、ギャレー前には床下収納が用意されている。これは8ナンバー取得のため、ギャレー前に1600mmの高さを確保するためのものだが、収納としても使用できる。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで用意されているが、冷房設備はクルマのエアコン以外無い。ボディサイズからエアコンの設置は簡単ではないが、小型のクーラーも開発されていることから、将来のオプション化も期待したい。
テレビ/ナビ
16型テレビが300Wインバーターなどとともにセットでオプション設定されている。設置場所は運転席と助手席間のコンソール上で、そのための台もセットに含まれている。またアルパイン製10.2型のプルダウンモニターも選択できる。
ナビは特にオプションとして用意されていないが、好みのものを取り付けることができる。
電装系
105Ahのディープサイクルサブバッテリー1個と走行充電が標準装備される。サブバッテリーはもう1個をオプションで追加できる。また外部電源入力も標準装備されるが、これによる充電機能はオプション。
インバーターは1500Wの正弦波と疑似正弦波のものがオプション設定されている。パソコンの充電など精密機器に給電する場合は、正弦波が必要となる。また155Wのソーラーシステムもオプション設定されている。
エアコンや電子レンジが無いので、サブバッテリーは105Ahが1個でも特に問題はないだろう。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
特設車ガソリン2WD/6ATの価格は427万円~。同ディーゼル2WD/6ATは482万円~、ディーゼル4WDは507万円~となっている。なおガソリンの4WDは設定が無い。
必需オプションは、外部電源による充電機能(39,600円)、1500W正弦波インバーター(140,800円)、FFヒーター(234,300円)が挙げられる。(ナビ関連は除く)
また、走行充電だけでは十分に充電できないため、予算に余裕があれば154W薄型ソーラーシステム(198,000円)を付けておきたい。
他モデル
ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にするバンコンモデルは非常に多く存在する。その中で似たレイアウトを持つモデルではリンエイプロダクトのラウンジリッツ(価格不明)があるが、意外に少ない。
多くは3列目シートも前向きになっており、Walk IIIのような横座り対座は少ない。
まとめ
Walk IIIは前述したように日常使用とファミリーでの車中泊どちらにも対応できる、マルチパーパスな1台。
本格的なキャンピングカーは駐車スペースやコストの面で躊躇しているユーザーも、ミニバンの代わりに購入すると、休日の過ごし方が大きく変わるだろう。キャンピングカーのエントリーモデルとして最適な1台だ。
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