スマートキャンパー5Xはフォーシーズが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社は、数多くのハイエースベースバンコンキャンピングカーを製作しているが、5Xは5人が前向き乗車できる、シンプル装備の8ナンバーキャンピングカー。
コンセプト:5名が前向き乗車でき、フロントシートバックを使った後ろ向きシートとで対座ダイネットを持ち、更に後部は常設ベッドとして、あるいは、広い荷室として使用できる。ファミリーでマルチパーパス的に使えるレイアウトを持つ。
エクステリア:外装への架装は無く、外観はノーマルのハイエースと変わらない。
インテリア:シンプルな作りで、特別に凝ったインテリアではない。展示車はホワイト系のビニールレザーシートで、運転席、助手席も同様にコーディネートされている。
家具は濃い木目調だが、シート地、色ともに選択できる。

スマートキャンパー5Xの後部ベッド
レイアウト:2列目にマルチモードシートを配置。前向きにして計5名が乗車できる。また運転席、助手席のシートバックを前に倒し、シート背面をシートバックとすることで、5名が対座できるダイネットを形成する。
後部は右側に薄手の収納家具を配置。ここにコンパクトなシンクとコンロを収納する。また、ベッドボードを並べて常設ベッドとする他、ベッドボードを除くと広い荷室ができ、トランポとしても使える。

運転席、助手席のシートバックを利用した対座ダイネット
ダイネット:運転席、助手席のシートバックを前に倒して後ろ向きシートのシートバックとする手法は他車でも使用されており、レクビィのファイブスターのように本格的なものもあるが、スマートキャンパー5Xに採用されているのは簡易なもので、座面もそれほど深くない。

2列目シートのシートバックを倒した状態(写真:フォーシーズ)
ベッド:2列目シート以後はフラットベッドになっており、常設ベッドとして設置できる。2列目シートのシートバックを前に倒すと背面はフラットになり、ここもベッドとして使用できる。ただし、後部ベッドとは段差がある。最大ベッドサイズは2740x1360mmとされており、これは家庭用ではレギュラーダブルベッドより少し狭い幅となる。
上段ベッドの設定は無いので、就寝人数は大人2名+子供1~2名。小さい子供のいるファミリー向けの車中泊仕様と言える。

右側収納家具にビルトインされたコンロとシンク
ギャレー:後部右側の細長い家具がギャレーコンソールになっており、シンクと小型のカセットコンロが収納されている。シンクに蓋をし、コンロはさかさまにして収納すると家具上面は完全にフラットになる。なお、給排水タンクは各10L。
冷蔵庫/電子レンジ:冷蔵庫や電子レンジのオプション設定や設置場所の設定は無い。冷蔵庫が必要な場合は、ポータブル冷蔵庫を持ち込むことになる。12Vの電源コネクターは2列目シートの右側の家具側面に用意されているので、これを冷蔵庫の電源として使える。

左側のオーバーヘッド収納
収納:両側にオーバーヘッド収納が備わっており、小物の収納に大変便利。シンプルさを特徴とするモデルの場合、収納までシンプルなモデルが多いが、スマートキャンパー5Xでは考慮されている。
その他、右側の収納ラックにも扉付きの収納スペースが用意されており、ここにも小物を入れておくことができる。

右側家具の収納
大きな荷物はベッド下の広いスペースを使用できる。

ベッド下の収納スペース
なお、ベッドボードを取り去ると、広いカーゴスペースが出現し、自転車などの大きな積載物も積むことができる。ただしこの場合、就寝スペースは無くなる。

広いカーゴスペース(写真:フォーシーズ)
空調:FFヒーターはオプション。ただし、冷房のソリューションは用意されていない。
電装系:容量が不明だが、サブバッテリーが1個標準装備される。また走行充電機能も標準装備される。外部電源入力、外部電源でのサブバッテリー充電機能はオプション。
ソーラーシステムなどのオプションも、恐らく可能と思われる。

後部右側に収納された電装系
価格:ベース車がDXグレードで359万円~。スーパーロングベースでシンプル装備の8ナンバーモデルは300万円~400万円台なので、スマートキャンパー5Xは比較的安価な方に属する。
装備しておきたいオプションはFFヒーター、外部電源入力と充電機能が挙げられる。
他車:5名程度が前向き乗車でき、後部にベッドと自転車が積める広い荷室を持つモデルは多くあるが、8ナンバーで価格が比較的近いモデルは、デルタリンクのバージルV3(380万円~)、リンエイプロダクトのスーパーロングバカンチェストランポ(414万円~)などがある。
ただし、後部のハイマウントベッドを採用するモデルが多く、フォーシーズのモデルではスマートキャンパー8+に近い。スマートキャンパー5Xのようなローポジションのベッドを持つモデルは他社には見当たらないが、同社のスマートキャンパー5+(398万円~)が最も近いレイアウトを持つ。

まとめ:スマートキャンパー5Xの特徴は、運転席、助手席を使った対座ダイネットと後部の広いローポジションベッド、そして広い荷室を持つトランポとしても使えるレイアウト。
このレイアウトと近いスマートキャンパー5+とどちらにするか迷うところだろう。より広いフルフラットベッドを望むなら5+の方が適している。ただし、どちらもトランポ状態では就寝できない。
自転車の高さ制限はあるが、自転車を積んでかつ就寝もしたい場合はスマートキャンパー8+のようなレイアウトが考えられる。
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