スマートキャンパー5G Pri-Base(プライベース)は4C's(フォーシーズ)が製作する、ハイエースワイドミドルをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースベースのバンコンを製作するバンコン専門ビルダーで、スーパーロングから標準ボディまで多くのレイアウトをラインアップしている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドミドル バンをベース車に使用。5x2mの一般的な駐車枠に収まる最大のボディサイズで、機動性と室内の広さを両立させている。キャンピングカーの要件変更により、このボディサイズでも8ナンバー登録となった。
2列目にマルチモードシートを配置し、日常用途でもミニバンと同じように使用できる。また、コンパクトなギャレーも装備し、後部にポータブル冷蔵庫も設置できる。
車名のPri-Base(プライベース)の通り、プライベート空間としての利用も想定されており、趣味の部屋として、あるいはテレワークの基地として使用できる。
アピールポイント
・一般的な駐車枠に入る最大サイズ
・2列目にマルチモードシートを持ち5名が前向き乗車できる
・ギャレーを装備し8ナンバー登録
・オーバーヘッド収納を含む豊富な収納
・ファーストカーとしてミニバンの代わりに使用できる
ベース車とエクステリア
ベース車はハイエースワイドミドル バンGLパッケージ
ベース車はハイエースワイドミドル バンGLパッケージ。オプションでスーパーGL“DARK PRIME Ⅱ”も選択できる。
ボディ外側への架装は無く、外観は通常のハイエースと変わらないので通勤や買い物などの日常用途にも違和感なく使用できる。
インテリア
白木目の家具を使ったインテリア
展示車は上の写真のようなインテリアカラーだったが、家具色やシート地は変更できると思われる。照明はダウンライトと間接照明が使用されている。
レイアウト
2列目に1500mm幅のREVOシートを配置
2列目に1500mm幅のREVOシートを配置。前向き、後ろ向き、フラットにできる他リクライニングも可能。前向きにすると、運転席、助手席を合わせて5名が前向き乗車できる。
後部は横座りのベンチシートと対面に大きなキャビネットの構成。後ろ向きにした2列目シートとベンチシートでL字型のダイネットを形成する。
このレイアウトの特徴は前向きに5名が乗車できるため、ミニバンと同じように使える点。全員が3点式シートベルトを使用できる。また、2列目シートを前向きにしたままでも、後部のベンチシートがダイネットとして使える。
ドライブの途中でちょっとした休憩時でも、2列目シートをいちいち後ろ向きにせずにダイネットで休憩したり食事したりできる。
ダイネット
L字型のダイネット
上記の通りL字型のダイネットが形成され、5名程度でテーブルを囲める。ただし、就寝人数が2名なので、2名で使用する場合は後部をベッドモードにすると、2列目シートに座って足を伸ばしてで寛げる。
テーブルは大きく、2名で食事するには十分な広さがある。
ベッド
マルチモードシートを展開したベッド
2列目シートをフラットにし、後部の通路部をベッドマットで埋めると、ベッドモードになる。1500mmマルチモードシートの展開は多少労力を要する。雨の日は車内で全てを行う必要があるので、なお大変ではある。
大人2名が就寝できるダイネットベッド
ベッドサイズは2330x1340(最大1530)mm。前方は1530mmあるが、後方はギャレーキャビネットがあるため、多少狭くなる。1340mmは家庭用ではセミダブル(1200mm)以上の幅があり、大人2名が就寝できる。
ギャレー
コンパクトなシンクとフォーセット
後部右側にはギャレーキャビネットが設置されており、後部にコンパクトなシンクとフォーセットが埋め込まれている。この大きさのシンクでは中皿は難しいが、カップなどの小さな食器は洗うことができる。
シンク下の給排水タンクと収納
シンクの下には。各10Lの給排水タンクが収納されている。またポータブルカセットコンロも標準装備され、下に収納されている。
冷蔵庫/電子レンジ
85L横開き式冷蔵庫が標準装備される
気に入った容量のポータブル冷蔵庫をユーザーが持ち込むことになる。設置場所が決まっているわけではないので、上の写真のようにぴったり設置できるとスペース効率が良い。12Vコンセントはすぐ隣に設置されている。
なお、電子レンジは想定されていない。
収納
ギャレーの上にオーバーヘッド収納が設置される
右側後部にはギャレーキャビネットがあり、キャビネット自体と、その上部にオーバーヘッド収納がある。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットの収納は前出の給排水タンクが収納されている他に、前部に大きな収納スペースがある。
上部のオーバーヘッド収納
上部のオーバーヘッド収納も十分な容量がある。ミドルルーフではオーバーヘッド収納を持たないモデルが多くあるが、スマートキャンーパー5G Pri-Baseでは設置されている。大きなアドバンテージだ。
空調
暖房はFFヒーターが、おそらく設置できると思われるが、展示車には搭載されていなかった。ミニバンの延長線上で使用されるケースが多いためあまり需要が無いのかもしれないが、車中泊する予定があるなら、FFヒーターは装備することをお勧めする。
なお、エアコンなどの冷房装置は想定されていない。
テレビ/ナビ
テレビも必要に応じて設置できると思われるが、限りある室内スペースなので、タブレットでテレビを観るという方法もある。ナビは好みのものを設置できるだろう。
電装系
容量や種類が表記されていないが、サブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。外部100V電源入力と充電機能はオプション。インバーターやソーラーシステムの情報も無いが、おそらく設置は可能と思われる。
車内で100Vの家電品を使用したい場合はインバーターが必要となる。
価格(2022年9月現在:千円台切り上げ:税込)
ハイエースワイドミドルバンGLパッケージ2WD/6ATで469万円~。4WDやディーゼルも可能と思われるが、価格情報は無い。
付けておきたい必需装備は、外部電源入力や充電機能、またFFヒーターも装備したいところだ。ただ、このカテゴリーのモデルは日常用途が中心で、車中泊をする頻度はあまり高くない場合もある。
しかし、サブバッテリーが標準装備されているので、やはり少なくとも外部100V電源による充電機能はあった方が良いだろう。
他モデル
ハイエースワイドロングをベース車にし、比較的シンプルな装備のモデルは非常に多く存在する。一例をあげると、東和モータース販売のツェルトWG(463万円~:ワゴンGL)、ドリーム・エーティーのウォークMC(471万円~:ワゴンGL)、リンエイプロダクトのワイドバカンチェスサンティ(価格不明)などが挙げられる。
これらはどれも後部に上段ベッドを持たず、ダイネットを展開したベッドだけで2名、あるいは2名+子供2~3名の就寝人数としており、価格的にもスマートキャンパー5G
Pri-Baseに近いものだ。
まとめ
スマートキャンパー5G Pri-Baseは乗車定員5名、就寝定員2名なので、ファミリーで乗車できるとは言え、車中泊を伴う場合は2名しか乗車できない。少しちぐはぐな感じを受ける。
実際、ツェルトWGやウォークMCは上段ベッドがオプションで用意されているし、アネックスのファミリーワゴン(516万円~:バンS-GL))は上段ベッドが標準装備されている。
しかしスマートキャンパー5G Pri-Baseは、同社のホームページで『車名の通りプライベースつまり「プライベート基地」をコンセプトにした設計です。』としている通り、1名での使用を想定している。従って全くちぐはぐなことは無く、上記のモデルとは異なったコンセプトのモデルと言える。
もっとも、1名に割り切るならもっと思い切ったレイアウトも考えられるが、ここは2列目にマルチモードシートを残し、汎用性も持たせている。同社のサイトにはさらに、「自由度のあるシンプルなレイアウトなのでお好み応じたセミオーダー製作も可能なモデルです。」とあるので、自分に合ったプライベート空間を相談してみてはいかがだろうか。
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