オフタイムトラベラー2ポップアップルーフはスマイルファクトリーが製作する、スズキエブリイバンをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。
同社は軽バンコン専門ビルダーで、「オフタイム」シリーズをラインアップしている。今回紹介する「オフタイムトラベラー2」の他に、「オフタイムトラベラー3」、「オフタイム和（なごみ）」、「オフタイム・クロスロード」をラインアップする。
また今回は「オフタイムトラベラー2」に同社オリジナル横開きポップアップルーフを架装しているが、他のモデルにも架装することができる。
オフタイムトラベラー2には「ベーシックパック」グレードと「フルパック」グレードが用意されている。ベーシックパックは電装系がオプションになり、できるだけシンプルな構成となっている。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
コンセプト
オフタイムトラベラー2は、シンプルな架装で居住空間を最大限にした軽バンコン。ギャレーや大きな収納ラックは持たず、その分ベッドは足元が窮屈になることは無い。
しかし、今回の注目点はクルマ本体ではなく、架装されたポップアップルーフだ。今までのポップアップルーフは追加のベッドとして考えられていたが、オフタイムトラベラー2のポップアップルーフは横開きで、第2のリビングとしても考えられている。
アピールポイント
・第2のリビングとして使える横開き式ポップアップルーフ
・このポップアップルーフは他のモデルにも架装可能
・もちろんルーフベッドとしても使用でき、ファミリーでの車中泊にも対応
・ルーフを下げれば日常使用にも目立つことなく使用できる
・リチウムイオンバッテリー標準装備
・レインカバーにもなるサイドオーニング
・車両の空調ファンをサブバッテリーで作動させるベンチレーションシステム
・サブバッテリーでパワーウインドウの開閉が可能
エクステリア
オフタイムトラベラーのエクステリア
ベース車はスズキ エブリイバン。これに横開き式のポップアップルーフを架装している。ポップアップルーフにはダンパーがあり、軽い力で開閉することができる。ルーフは全体的に高さがあり、ルーフ内の室内高は1000mmを確保している。
ルーフを閉じると、見た目は通常のエブリイと変わらないため、日常使用で目立つことは無い。なお、ポップアップルーフはオプションとして設定されており（1,078,000円）、ポップアップルーフバージョンがあるわけではない。また、ポップアップルーフは通常の後ろ開きタイプも用意されているが価格は同じだ。
なお、エアサスの装着もオプションで用意されている。また、エブリイのボディカラーはJOINとJOINターボを選択した場合は、6色から選択できる。
ベース車はバンのみで、ワゴンの設定は無い。ワゴンはバンに比べて積載重量が少なく設定されており、架装重量や積載物の重量を想定すると対応が難しいため。
オプションのサイドオーニング
サイドオーニングはオプションで用意されている。小型で軽量なため、ビデオにあるように設置はそれほど大変ではない。
オーニングはレインカバーとしても使用できる
オーニングはポップアップルーフを覆い包むようにしてレインカバーとしても使用できる。
インテリア
家具色、ベッドマットの生地と色は選択できる
展示車は上の写真のように鮮やかなブルーのベッドマットだったが、家具色、ベッドマットの生地と色は選択することができる。
なお写真のテーブルも標準装備される。
ポップアップルーフはリビングとして使用できる
ポップアップルーフには前面に大きな窓が2か所あり、そこから見える景色は爽快だ。ここにテーブルを持ち込んでリビングとして使用すると、今までになかったキャンピングカーでの過ごし方が実現できる。
ルーフテントの窓には網戸も付いており、ムシの侵入を防げる。またシェードもあるので、就寝時は閉じることができる。なお、ルーフテントの色は選択することができる。
レイアウト
オフタイムトラベラー2のレイアウトはシンプルで、折り畳んだシートの上にベッドボードを並べフラットにしたベッドと、後部両側に架装された薄い家具がある。
軽キャンパーの場合、シンクや冷蔵庫など装備を充実させると、後部両側の家具が大きくなり、ベッドの足元が狭くなる場合がある。オフタイムトラベラー2では薄型家具を採用し、ベッドスペースを優先している。
ベッドマットの裏は固い平板になっている
なお、ベッドマットの裏は固い平板になっており、裏返してセットするとポータブル冷蔵庫などを置くスペースになる。
ダイネット
リクライニングできるダイネット
軽キャンパーのダイネットは、多くはベッドと兼用で、単にフラットなフロアになっている。もちろんこれでもちゃぶ台スタイルで寛げるので問題ないのだが、オフタイムトラベラー2では最後部のマットがリクライニングできるようになっている。
キャンピングカーではダイネットは寛ぐ場でもあるので、どのように寛げるかも重要なポイントだ。オフタイムトラベラー2ではこの点までも考慮されている。
ベッド
ベッドは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する
ベッドは1800x1200mmの大きさ。これは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。家具の出っ張りが無いので、足元まで1200mmが確保されている。またフロントシートとベッド間を埋めるオプションマットを追加すると2000x1200mmに拡張できる。
フルベッドでは2名が就寝就寝できる
ルーフベッドは1800x1070mmの大きさで、家庭用ではシングルベッド（970mm）より多少広い幅となっている。キャンピングカーの要件では2名就寝が可能だ。従ってポップアップルーフを架装すると計4名が就寝でき、ファミリーでも車中泊できる。
ギャレー
オフタイムトラベラー2にはギャレーの設定は無い。ギャレーが必要な場合は、オフタイム和（なごみ）が用意されている。
冷蔵庫/電子レンジ
オフタイムトラベラー2には冷蔵庫や電子レンジの設定は無いが、先述のように、ベッドボードを裏返せば固い平板面になる。移動中はそのようにしてポータブル冷蔵庫を置いておき、停泊中は冷蔵庫を運転席に移動するといった使い方は可能だ。
収納
ベッドボード下の収納
オフタイムトラベラー2でポップアップルーフを架装しない場合は、扉付きオーバーヘッド収納やキャブ上部に収納棚が付く。しかしポップアップルーフを架装する場合は、これらの収納は付けられない。
ポップアップルーフが架装される場合、最も大きな収納は最後部のベッドボード下になるが、それほど容量は大きくない。またそれ以外の収納はマガジンラックしかなく、全体的に収納スペースは多くない。
ただし、オフタイムトラベラー2は荷物をいっぱい積んで旅に出るようなコンセプトではなく、釣りや写真などの趣味、あるいは登山の基地として使用することを想定しているので、大きな問題ではないだろう。
空調
オフタイムトラベラー2には「ベンチレーションシステム」がオプション設定されている。これは、クルマに付いている外気導入をサブバッテリーで動かすもの。通常はエンジンをかけないと使えないが、このシステムによりエンジン停止中でもベンチレーションできる。
展示車に置かれていたセラミックヒーター
暖房はFFヒーターがフルパックにオプション設定されている。ただし、軽キャンパーではFFヒーターは暑すぎることもあり、展示車には小型のセラミックヒーターが置かれていた。
これは600Wの消費電力なので、フルパックに標準の50Ahリチウムイオンバッテリーでも1時間程度しか運転できない。主に外部電源が取れる場合には有用だ。
テレビ/ナビ
11.5型のフリップダウンモニターがオプションで設置できる。また、ナビは各種オプション設定されている。
電装系
リチウムイオンバッテリーが標準装備される
サブバッテリーは、フルパックに50Ahのリチウムイオンバッテリーと走行充電が標準装備される。また外部100V電源入力と充電機能、および1000Wインバーターが標準装備される。ベーシックパックではこれらの電装系はオプションとなる。
また、フルパックではリチウムイオンバッテリーを100Ahに変更することができる。更にフルパックでは100Wのソーラーパネルがオプション設定されており、100Ahリチウムイオンバッテリーと合わせて175Wにグレードアップすることもできる。
価格（2021年4月現在：千円台切り上げ：税込）
PAグレード 2WD/5MTベーシックパックの164万円から、JOINターボ4WD/4ATフルパックの271万円～まで選択できる。ただしここにはポップアップルーフは含まれておらず、架装には別途1,078,000円が必要になる。（後ろ開きルーフも同価格）
一般的なグレードのJOIN 2WD/4ATフルパックは245万円～なので、これにポップアップルーフを加えると353万円～となる。
フルパックを選択した場合はほとんどの必需装備は標準装備されているが、冬場に使用することが多いならFFヒーター（198,000円）は付けておきたい。
他モデル
軽バンコンは非常に多く存在するが、例えば、カーショップスリーセブンのMOCⅡポップアップ（246万円～：グレード不明）、オートワンの給電くん（212万円～/276万円～：JOIN）、ナッツRVのスピナ（238万円～/282万円～：JOIN）、フィールドライフのココワゴン（265万円～：JPターボ）等がある。（価格はポップアップルーフ無しと有り。価格が一つのものは有りのみ）
もちろんこの中で横開きのポップアップルーフを持つモデルは無い。またリチウムイオンバッテリーを搭載できるモデルも存在しない。即ち、オフタイムトラベラー2ポップアップルーフはかなり突出したモデルだ。
ただし価格的にも突出しており、ポップアップルーフを含めると他モデルよりかなり高くなる。
まとめ
オフタイムトラベラー2は（というかオフタイムシリーズは）、軽バンコンの中では異色の存在だ。他に類を見ない横開きポップアップルーフでセカンドダイネットを提案、リチウムイオンバッテリーの標準装備、サブバッテリーで動作するベンチレーションシステムやウインドウ開閉システムの提案など、非常に意欲的かつ魅力的なモデルだ。
一方弱点はやはり価格だ。ポップアップルーフ無しの場合はリチウムイオンバッテリーで多少高価になる程度だが、ポップアップルーフを架装した場合は、他モデルよりかなり高価になってしまう。
これはポップアップルーフの価格差が大きいためだが、しかしルーフ上のセカンドリビングの爽快感は、その価格以上の価値がある。
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