MRカランタ:レクビィ


MRカランタは、レクビィが製作する、ハイエースワイドミドルルーフワゴンをベース車にするバンコンキャンピングカー。

同社は愛知県瀬戸市に本拠を置くバンコン専門ビルダーで、ハイエースを中心にキャラバンやタウンエースベースのモデルもラインアップしており、高品質で洗練されたインテリアで知られている。

MRカランタは2024年7月に発表されたニューモデルで、同社の創業40周年を記念して企画された。車名のQuarantaも40に因んでいる。レイアウトとインテリアはプラスMRがベースとなっている。


(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


概要

ハイエースワイドミドルルーフワゴンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。従来のプラスMRをベースにしたレイアウトで、対角上にベンチシート兼シングルベッドを配置する。

二人旅を想定したレイアウトだが、それぞれのプライベートタイムを尊重することを優先したコンセプト。ベンチシートの先端には多段階のリクライニング機構が備えられている。

プラスMRからの大きな変更点は、以下の通り。

1.シンクとフォーセットはソランシリーズのようにエントランスの横に移動
2.後部右側のキャビネットはデスクとして使用可能
3.家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーが標準装備された

なお、様々な製造上の効率化によるコスト削減を行い、「同クラスの家庭用エアコンを備えたキャンピングカーと比べても、比較的安価に価格設定しています。」と謳っている。


アピールポイント

・5x2mの一般的な駐車枠に収まる、機動性と広さを併せ持ったベース車
・パートナーとの適度な距離感とそれぞれのプライベートタイムを重視したレイアウト
・リクライニング機構で寛げるダイネット
・家庭用のシングルベッドに相当する大きさのツインベッド
・家庭用エアコンと300Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
・デスクにもなるキャビネット


ベース車とエクステリア

 MRカランタと同型のエクステリア(写真はプラスMR)

ベース車はハイエースワイドミドルルーフ ワゴンで、プラスMRと同じベース車を使用。ボディ外側への架装は特にないため、外観は通常のハイエースと変わらない。

MRカランタには右側後部ウインドウ部にソランワイドと同型の家庭用エアコンが設置されるが、ソランワイドのようにエクステンションウインドウではなく、単なる窓埋めで設置されている。


インテリア

 MRカランタのインテリア

インテリアのトーンもプラスMRを踏襲しているが、シート地の色は多少異なっている。

 インテリアライト

照明はプラスMRとほぼ同じで、シーリングボードにLEDライトが組み込まれている。また、スポットライトが2か所についているが、これらのデザインはプラスMRと異なっている。


レイアウト

MRカランタ(プラスMRも)の最大の特徴は、対角線上に配置したベンチシート兼シングルベッドだ。2名で使用することが想定されているが、適度な距離感を保っており、それぞれのプライベートタイムを尊重するレイアウトになっている。

長期のクルマ旅では、常に顔を合わせ、同じ時間に就寝するというのはストレスになる。例えば、ダブルベッドだと、パートナーが就寝すれば、自分は本を読みたいと思っても一緒に就寝しなければならない。

MRカランタやプラスMRでは、対角線上に配置されたシングルベッドなのでパートナーが先に就寝しても、自分は本を読んだりYouTubeを見たりと、パートナーに影響を与えずプライベートタイムを過ごすことができる。


ダイネット

 多段階のリクライニング

MRカランタやプラスMRのもう一つの特徴は、寛ぎ方を提案していること。多くのキャンピングカーは対座ダイネットなど楽しそうな印象を与えているが、対座ダイネットのままで寛ぐのは難しい。

MRカランタやプラスMRでは、ベンチシートの端に多段階のリクライニング機構が設置されており、足を投げ出して寛ぐことができる。キャンピングカーを見る場合、どのような姿勢で寛ぐことができるのかをチェックすることは極めて重要だ。


ベッド

 シングルベッドモード

先述のように、MRカランタやプラスMRでは、あえてベッド展開しなくても、ベンチシートがシングルベッドとして使用できる。この場合のベッドサイズは、右サイドのベッドは1880x750mm(最大)。左サイドは1860x750mm(最大)だ。

 フルベッドモード

しかし、ベッド展開してフルベッドモードにすると、それぞれ1880x990mm、1860x990mmとなり、この幅は家庭用シングルベッド(970mm)以上となる。ただし、これには少しトリックがあって、ベッドがかみ合っている部分は共有部分となる。

ベッド展開は、シートの座面をスライドさせ、背もたれを移動するだけ。 就寝前の作業は最小限、短時間で済む。


ギャレー

 前部に移動したシンクとシャワーフォーセット

プラスMRでは後部のキャビネットに設置されていたシンクとシャワーフォーセットは、ソランシリーズと同じように、エントランスの横に移動した。下には各13Lの給排水タンクが収納され、シャワーフォーセットは引き出して車外で使用できる。

 以前シンクがあったところはデスクに

なお、以前シンクが設置されていた後部のキャビネットはデスクとして利用できるようになった。プラスMRでもデスクとして使用できないことはないが、シンクとフォーセットが多少邪魔ではあった。


冷蔵庫/電子レンジ

 49L横開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は49L横開き式が標準装備される。もちろん、製氷・冷凍と冷蔵が同時にできるので、クルマ旅には不可欠な存在だ。リアゲートを開けると車外から直接アクセスできる。

家庭用の100V仕様の電子レンジも標準装備だ。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に便利で、これもクルマ旅には欠かせない装備と言える。2000Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。


多目的ルーム

MRカランタには多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。最後部のリクライニングを倒しても干渉しない高さのものを選ぶと目に触れることもない。

ただ、MRカランタは二人使用を想定したモデルなので、子供が乗る機会は少ないと思われる。ポータブルトイレを置くユーザーは少ないかもしれない


収納

 左サイドのシート下収納

左サイドのシートの下が大きな収納になっている。跳ね上げた座面を支えるヒンジは開けた状態でロックできるので、両手が使えて使いやすい。

最後部にはラゲッジスペースが設けられているので、バッグなどの荷物もここに収納できる。リクライニングを立てると、背の高い荷物も積み込むことができる。

 左サイドのハンガー

左右のシートの上部にはハンガーが設けられている。


空調

 家庭用セパレートエアコンを標準装備

MRカランタではダイキン製エアコン「リソラ」が標準装備された。これはソランシリーズでも採用されている最新の薄型エアコンで、運転時のみ前方にせり出す。使わない時は最小限の出っ張りとなるので、室内を広く見せることができる。

なお、ソランソランワイドソランハイルーフでは、エクステンションボックスを使用して、少し車外に逃がしていたが、MRカランタではその手法は用いていない。

なお、FFヒーターはオプションになっている。「リソラ」は暖房も可能なのでFFヒーターはオプションになっていると思われるが、FFヒーターの方が暖房効率は格段に良いので、寒い時期に出かけることが多い場合はFFヒーターの設置をお勧めする。

マックスファンベンチレーターもオプション。設置すると全高が高くなり、高さ制限のある駐車場に入れなくなる可能性があるので、設置する場合は注意が必要。


テレビ/ナビ

テレビはフリップダウンモニターがオプションで用意されている。またリアスピーカーもオプションで設置できる。ナビは好みのものを設置できるだろう。


電装系

 MRカランタの電装系

サブバッテリーは300Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備。エアコンを実用的に動作させることができる。

その他の電装系では、走行充電、外部電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーターが標準装備される。240W相当ソーラーシステムはオプション。


価格(2024年8月現在:千円台切り上げ:税込)

MRカランタはガソリン2WDと4WDが選択でき、2WDは680万円~、4WDは711万円~となっている。

付けておきたい必需オプションはFFヒーター(297,000円)が挙げられる。予算に余裕があれば、240W相当ソーラーシステムもあると便利だ。(ナビ関連は除く)

MRカランタは価格も特筆される。エアコンが装着されないプラスMR Superior(200Ahのリチウムイオンバッテリー標準装備)と比べると、22万円高価だ(2WD)。即ち、たった22万円でエアコンと+100Ahリチウムイオンバッテリーが付くことになる。


他モデル

MRカランタはユニークな発想のモデルで、同様のレイアウトを持つモデルは存在しない。二人使用を想定し、適度な距離感と各自のプライベートタイムを重視するといったレイアウトを持つモデルとしては、リンエイプロダクトのワイドバカンチェスプライベートが挙げられる。(参考:バカンチェスプライベート

このモデルは、やはりハイエースワイドミドルルーフをベース車にしているが、標準ボディもラインアップしている。2名の対座ダイネットがあり、これと対角線上に後部のシングルベッドがある。ダイネットをベッド展開すると、MRカランタと同じように対角線上にシングルベッドが配置される。


まとめ

従来のプラスMRは独創的なレイアウトで好評だったが、エアコンが装備できない点が懸案点だった。MRカランタではこれを解消し、最新型の家庭用セパレートエアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備した。

これにより、快適で居心地の良い2名のスペースが実現した。冷蔵庫や電子レンジもあるので、クルマ旅にも対応できる。また、クルマ旅でなくても、ちょっとしたドライブ先でカウチソファダイネットでゆったり寛ぐこともできる。

MRカランタはキャンピングカーの新しい使い方を提案する画期的なモデルだ。



関連記事

ソラン

ソランワイド

イゾラ

     

モデル MRカランタ プラスMR
/Superior
ワイドバカンチェス
プライベート
ビルダー レクビィ レクビィ リンエイプロダクト
ナンバー区分 8 8 8
乗車人数 5 5 6
前向き乗車人数 2 2 4
就寝人数 2 2 3
エクステリア      
ベース車 ハイエースMW ハイエースMW ハイエースMW
ルーフ架装 - - -
窓架装 - - -
レイアウト      
ダイネット形態 ロングシート対角 ロングシート対角 2名対座
マルチモードシート - - -
ベッド
ツインベッド or
ダイネット展開ベッド
ツインベッド or
ダイネット展開ベッド
ダイネット展開ベッド
ベンチシート展開ベッド
常設ベッド ○(シングルベッド) ○(シングルベッド) -
シングルベッドサイズ(mm) 右:1880x750(最大)
左:1860x750(最大)
右:1880x750(最大)
左:1860x750(最大)
?
フルベッドサイズ(mm) 右:1880x990(最大)
左:1860x990(最大)
右:1880x990(最大)
左:1860x990(最大)
?
ギャレー      
コンロ - ○(カセット) -
シンク
給水タンク ○(13L) ○(13L) ○(10L)
排水タンク ○(13L) ○(13L) ○(10L)
冷蔵庫/設置スペース ○(49L横開き)/○ ○(49L横開き)/○ ○(40L上開き)/○
電子レンジ/設置スペース ○/○ OP/○
Superiorは標準装備
○/○
ユーティリティールーム      
有無
防水処理 - - -
トイレ - OP(ポータブル) -
シャワー設備 - - -
シャワー用給排水タンク - - -
温水設備 - - -
手洗い - - -
空調      
ベンチレーター OP(マックスファン) - OP(マックスファン)
FFヒーター OP OP
Superiorは標準装備
OP
エアコン ○(家庭用セパレートエアコン) - OP(車載用セパレートクーラー)
電装系      
サブバッテリー ○(Li300Ah相当) ○(Li100Ah相当
SuperiorはLi200Ah相当)
○(95Ah x2)
バッテリー増設 - - OP
走行充電システム
外部100V入力/充電 ○/○ ○/○ ○/○
インバーター ○(2000W正弦波) OP(1500W正弦波)
Superiorは標準装備
○(2000W正弦波)
ソーラーシステム OP(240W相当) OP(240W相当)
Superiorは標準装備
○(200W)
発電機 - - -
ナビ/テレビ      
ナビシステム OP OP OP
テレビ OP(FD) OP(19型)
Superiorは標準装備
OP(19型)
サイズ      
全長(mm) 4,840 4,840 4,840
全幅(mm) 1,880 1,880 1,880
全高(mm) 2,100 2,100 2,100
価格 (税別)      
ガソリン 2WD
6AT(特装車)
680万円~ 567万円~
/658万円~
?
ガソリン4WD
6AT(特装車)
711万円~ 598万円~
/689万円~
?

2024年8月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)
MW:ミドルルーフワゴン、FD:フリップダウン

動画はこちら

2024.8.3