Kronos(クロノス)294TLは、イタリアのビルダー、ローラーチームが製作する、フィアットデュカトをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。日本にはフジカーズジャパンが輸入販売している。
ローラーチームのキャンピングカーは、今までゼフィーロやリビエラ、リビングストンが輸入されているが、クロノスは初めて。
ローラーチームはイタリアに拠点を置くが、フランスのトリガノの翼下にある会社。中級のキャブコンとバンコンをラインアップしている。

ナチュラルな配色のインテリア
コンセプト:6.4mと比較的短い(日本国内では十分長いが)車長で、後部にハイマウントダブルベッド、前部にプルダウンベッドを持つファミリー向けモデル。輸入モデルの中では手頃な価格なのも魅力。
エクステリア:FRP製のシェルを架装し、バンクレスのスマートなシルエットを持つ。ベース車はディーゼル 2300 / 140HPのフィアットデュカトだが、160HP、あるいは180HPエンジンにアップグレードできる。エントランスは右側。左ハンドルが標準で、右ハンドルはオプション。
インテリア:ビデオの展示車はナチュラルなトーンの家具とホワイトをベースにした収納で明るい室内演出がされている。いかにも欧州車らしいインテリアとなっている。
レイアウト:前部にダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、中央にギャレーとサニタリールームを配置する。プルダウンベッドを備えており、就寝人数は4名なので、ファミリーにも対応できる。

5~6名が着座できるダイネット
ダイネット:欧州車の定番通り、運転席、助手席が回転してダイネットチェアになり、L字型ソファとで対座できる。また右側にサイドソファもあるので、5~6名でテーブルを囲める。キャブ上には大きなサンルーフがあり、明るいダイネットになっている。

ダイネット上にあるプルダウンベッド
ベッド:後部のハイマウントダブルベッドはド 2160x1350mm(一部1200mm)、プルダウンベッドは 1900x1280mm(1070mm)、ダイネットベッド
はオプションで2160x900mm(500mm)の大きさ。ダブルベッドは家庭用のレギュラーダブルベッドにほぼ相当する。プルダウンベッドは家庭用のセミダブルベッドに相当し、電動で昇降する。
プルダウンベッド全般に言えることだが、子供が寝るケースが多いと思われるので、簡単にセットできる転落防止用の柵が欲しいところ。なお、プルダウンベッドを下げてしまうと、ダイネットは事実上使えない。

3口コンロをビルトインしたギャレー
ギャレー:3口のガスコンロと、独立したシンクがビルトインされている。ギャレーコンソール上部にはコンロとシンク以外のスペースが少ししかないので、料理を作りたいユーザーにとっては少し狭いかもしれない。
冷蔵庫/電子レンジ:140L 3wayの2ドア冷蔵庫が標準装備される。容量的には全く問題ないが、電源は標準のサブバッテリー(105Ah x1)だけでは賄えない。外部電源やガスが調達できない環境が多いなら、オプションのリチウムイオンバッテリー(400Ah)の搭載をお勧めする。

温水シャワーが使用できるサニタリールーム
サニタリールーム:温水シャワーとカセットトイレが標準装備される。また専用の手洗いも用意されており、お洒落な一角となっている。シャワールームとトイレルームは共通だが、シャワー時はトイレとの境に仕切りがあるので、便器が濡れることはない。
温水はトルマのガスボイラーで10Lの湯を沸かし、水と混合して適温にするが、ファミリーが全員シャワーを使うには何度か沸かす必要がある。

大きな外部収納には自転車も積載できる
収納:ダイネット上部やギャレー上部に大容量のオーバーヘッド収納が用意されている他、ベッドルーム後部にもオーバーヘッド収納が並んでいる。また、ギャレーコンソールにはカトラリー収納も含め多くの収納スペースがあり、鍋や食器の収納に便利。更に、ベッド下は巨大な外部収納庫になっており、自転車も余裕で積み込める。
空調:暖房はトルマボイラーがFFヒーターにもなる。冷房はディーラーオプションで家庭用エアコンが設置できる。家庭用エアコンは日本で取り付ける。
テレビ/ナビ:テレビやナビはオプション設定されている。これも地デジチューナーを含め日本で取り付けるので、もちろん日本の放送が見られる。
電装系:サブバッテリーは105Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備されている。常に外部100V電源があるところに停泊するなら問題ないが、そうでない場合はオプションのリチウムイオンバッテリーを装備することをお勧めする。200Ahと400Ahが選択できる。3000Wインバーターや充電機能なども同時に装備される。ただし価格は200Ahで70万円(税別)、400Ahで100万円(同)と非常に高価だ。

価格:車両本体価格は780万円~(税別)。輸入モーターホームとしては安価と言える。ただし先述のリチウムイオンバッテリーや家庭用エアコン、その他のオプションを付けると、追加で200万円程度は必要になるだろう。
他車:比較的安価な設定のサンライトとサンリビングのモデルでも、6.4mの車長で価格が800万円以下のモデルは存在しない。近いところならサンライトロープロファイルT67Sは6.96mの車長で880万円(同)、またサンリビングのS65SLは6.7mで価格は808万円(同)がある。なお、6m以下ならSwift(スイフト)のEscape Compact 404(864万円~ 2019年3月時:同)がある。
まとめ:クロノス294TLは輸入車としてはサイズ的にも比較的手頃で、1000万円以下で家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーが装備できることを考えると、輸入モデルを希望するユーザーにとってはかなり魅力的なモデルだろう。
国産モデルなら、5m超のカムロードベースキャブコンで、800万円台(同)のモデルは、アネックスのリバティ52シリーズやバンテックのジルシリーズをはじめ多々存在する。例えばリバティ52SPなら家庭用エアコン、リチウムイオンバッテリー、床下暖房などが標準装備で801万円~(同)だ。
輸入車(特に欧州車)は独特のインテリアセンスがあり、国産車と比較するのはあまり適切ではないかもしれないが、最近では国産モデルでもモーターホームと呼べるキャブコンも発売されており、輸入車と国産車で迷う場合もあるかもしれない。
しかし手頃な輸入モーターホームを望むなら、クロノス294TLはかなり現実的な選択肢になる。
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