ゼフィーロはフランスのトリガノ社のグループ会社であるイタリアのローラーチームが製作する輸入モーターホームで、フィアットのデュカトをベース車にするキャブコンバージョンタイプのキャンピングカー。
ちなみにトリガノは欧洲最大のアウトドア製品の会社でキャンピングカーやキャラバンのビルダーの多くを翼下に収めており、2017年にはアドリアモービルもトリガノ翼下の会社となった。
ローラーチームは以前バンコンバージョンタイプのリビングストン5プレステージで紹介したが、今回紹介するのは同社初の輸入キャブコンモデル。輸入販売はフジカーズジャパンが行っている。
本国では、ゼフィーロシリーズは30近いレイアウトバリエーションをラインアップしているが、日本に輸入されるのは現在のところ235TLのみ。
ただ、このモデルは数ある中で唯一6mを切る全長で、日本で使うには最も扱いやすいモデルだろう。
ベースのデュカトは2.3L 130HPのエンジンだが、オプションで150HPにグレードアップできる。また、右ハンドルはオプション。
レイアウトは輸入車では珍しく、フロアに常設ベッドを持たない。
ダイネット上に収納されているプルダウンベッドがメインベッドで、大人2名が就寝できる。
プルダウンベッドでは2名が就寝できる
ダイネットは欧州車によく見られるように、運転席と助手席が回転してダイネットチェアになるが、2列目の前向きシートとサイドのロングソファがあるので、二人で使用するなら、これだけで十分だろう。
なお、ダイネットを展開すれば、大人が更に2名就寝できるのでファミリーでも使用できるが、やはりベッド展開を考えるとふたり旅が理想だろう。
ファミリーでもゆったり寛げるダイネット
ダイネットの後部にはギャレーコンソールが配置されている。L 字型のギャレーでシンクは大きく、鍋や大きめの皿も楽に洗える。またコンロは3口のバーナーがあり、調理スペースも十分にあるので、
手の込んだ料理も問題なく行える。
調理スペースも広く取られたギャレー
ギャレーの向かい側のタワーには 冷蔵145L、冷凍25Lの大きな冷蔵庫がビルトインされている。ふたり分の食材を保冷しておくには十分な大きさだ。
なお電子レンジはオプション設定されていないが、スペース的には余裕があるので、必要な場合は確認すると良いだろう。電子レンジを駆動するための大容量インバーターは
オプション設定されている。
ギャレーコンソールには引き出しの小物収納もあり、 ギャレー上のオーバーヘッド収納や冷蔵庫上の収納など豊富に用意されているので、食器や調理用品の収納は困らない。
最後部はサニタリールームになっており、カセットトイレが置かれたトイレルームと、その横にシャワールームがある。トイレルームには独立した手洗いも用意されている。
シャワールームは温水シャワーが使用でき、トイレルームとは独立しているので、便器が濡れることはない。湯はトルマのボイラーで沸かし、水と混合し、適温にして使うが、ボイラーの容量が10リッターなので、二人でもシャワーは節水する必要がある。20リッターのボイラーが欲しいところだ。
トイレルームの右側にシャワールームがある
空調はガスヒーターが標準装備される。小型のLPガスボンベが積まれているが、ガスがなくなれば充填してもらう必要がある。
旅先での充填は断られる可能性があるので、長期旅の場合はどこでできるか調べておく必要がある。
冷房に関してはルーフエアコンがオプションで装備できるが、外部電源が取り入れられるところでしか使用できない。家庭用エアコンのオプション設定は記載されていない。
電装系は、105Ahのサブバッテリーが1個標準装備されるが、これでは心細い。リチウムイオンバッテリーがオプションが用意されているので、少なくとも200Ahのものを使用することをお勧めする。展示車は400Ahのものが搭載されていたが、これならかなり余裕があるだろう。
なお、120Wのソーラーシステムが標準装備される。ただ、120Wでは十分な発電能力は期待できないので、少なくとも200Wは欲しいところだが、これも追加オプションは設定されてない。ルーフ面積に余裕があれば追加できるだろう。
収納は先に書いたようにギャレー周辺に用意されているが、プルダウンベッドがあるためダイネット周辺には収納がない。また、最後部にサニタリールームを配置しているため、ハイマウントベッドを採用しているモデルのような大きな外部収納を持っていない。このあたりがこのモデルの弱点ではある。
ゼフィーロは比較的コンパクトで国内でも扱いやすいだろう。また、二人で使用することを想定してフロアに常設ベッドを置かなかったことにより、サイズの割にゆったりしたリビングスペースが確保されている。二人旅で使用するコンパクトな輸入モデルが希望なら、最適な1台だ。