S65SL Eはサンリビング(Sunliving)が製作し、国内へはデルタリンクが輸入販売する欧洲モーターホーム。サンリビングは アドリアモービルのグループ会社だが、アドリアのラインナップとは異なる比較的安価なモデルをラインナップしている。平たく言えば廉価版だが、欧州車の洗練されたインテリアやクオリティは何ら変わらないのでコストパフォーマンスは非常に高い。
サンリビングのラインナップはいずれもフィアットデュカトをベース車にしており、バンコンタイプの Vシリーズ、 バンクを持つキャブコンの Aシリーズ、そしてこのバンクを持たないキャブコンの Sシリーズの
3種類のシリーズがある。
S65SL Eは輸入されているSシリーズの中では最も全長が短いモデル。それでも6.7mの 全長で、国内では多少取り回しが面倒な面もある。なお、本国では全長6mを切る
S60SP もラインナップされているが、これは輸入されていない。
S65SL Eの”E”はエコノミーの意味で、S65SLと比べ 、ベース車のエンジンが異なる他、 アルミホイールや、パノラマウインドウが装備されない。しかし価格的には20万円(税別)しか違わないので、S65SLを選択した方がお得感があるだろう。
レイアウトは前にダイネット、後ろにベッドルーム、中央にギャレーとサニタリールームを配置する。ダイネットは欧州車では定番の、運転席と助手席が回転してダイネットチェアとして使用する構造を取っており、2列目の二人掛け前向きシートとでダイネットテーブルを囲むことができる。
最後部にあるベッドルームにはツインベッドが置かれており、中央を小さなクッションで埋めることにより、ここで子供が就寝することもできる。
なお、ダイネットも展開して簡易ベッドとして使用することができ、ベッドルームを含めて大人4名が就寝することができる。
ギャレーは、3口のコンロをシンクと一体化したコンビネーションユニットがビルトインされている。コンロの手前に 調理スペースが用意されているので、手の込んだ料理も楽しむことができる。
ギャレーコンソールには100リッターの冷蔵庫がビルトインされて おり、十分な食材をストックしておくことができる。また、ギャレーコンソールの右側には、大きな引き出し収納が用意されており、食器などを収納しておくのに便利だ。
電子レンジはディーラーオプションで用意されているので、必要な場合は1500Wのインバーターと一緒にオーダーすることになる。
サニタリールームは、 温水シャワーとカセットトイレ、そして独立した手洗いが標準装備されている。 温水はTruma Combi4で沸かし、110リッターの給水タンクの水と混合して適温にする。
サニタリールームは蛇腹のスライドウォールで仕切られており、使用しない場合はフロアの一部として、使用する場合はサニタリールームとして仕切りの役目を果たす。
シャワーを使う場合も、このスライドウォールによってカセットトイレが仕切られるので、トイレが水浸しになることはない。
収納は、ダイネットの上、ギャレーの上、そしてベッドルームの上にオーバーヘッド収納が豊富に用意されており、またそれぞれ奥行きが深く収納力が高い。
その他にもダイネット横にクローゼットが用意されており、ロングコートも収納しておくことができる。
なお、クローゼットの下には、引き出し式の簡易チェアがあり、ダイネットのエマージェンシーチェアとして使用することができる。
空調に関しては、ディーラーオプションで家庭用セパレートエアコンも選択できる。
電装系はサブバッテリーが一1個標準装備されるが、 ディーラーオプションで用意されているリチウムイオンバッテリーと1500Wのインバーターを導入することをお勧めしたい。 また、高価ではあるが発電機も装備しておくと100V 電源を求めて宿泊場所を制約されることがない。
サンリビングS65SL Eは 車両本体価格792万円(税別)で、輸入モーターホームにしては比較的リーズナブルな価格設定となっている。
本家アドリアのモデルと比べると、インテリアは少し地味な感じがするが、それでも欧州車の洗練されたインテリアテイストは保たれている。オプションをつけると多少高くなってしまうが、国産のハイエンドキャブコンやバスコンとは十分に比較対象になるポジショニングだ。
ところで、やはり気になるのは本家アドリアモービルのモデルと比べてどうかということだろう。アドリアのモデルならコンパクトプラスSLが同じような車両サイズで、似たレイアウトを持つ。この価格が862万円なので、S65SLからちょうど50万円高い。また、S65SL
Eからは70万円高価だ。
コンパクトプラスSLはエンジンが2.3L/150HPでサンリビングS65SLと同じで、装備に関してはほとんど同じ。異なるのはインテリアだけだ。そのインテリアが50万円の差があるかということになる。これはもう個人の好みによるところだろう。
国産車の価格が高くなっている一方、セカンドブランドに代表されるような輸入車は比較的手が届く価格帯になってきた。1000万円を超える国産車のハイエンドモデルが多い中、輸入車は今後セカンドブランドを中心に販売台数を増やすだろう。
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