コンパスリチウムイオンバージョン:ホワイトハウス


コンパスは、ホワイトハウスが製作する、ハイエースワイドロングバンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。

同社はミニバンやハイエースベースのモデルを多数ラインアップしているが、特ににポップアップルーフを架装したモデルを得意としている。

コンパスは同社のハイエースラインアップの中では中心的な存在で、サイズ的にも扱いやすい。なお、ポップアップルーフではなくFRPハイルーフを架装したコンパスグランド、上級バージョンのコンパスプレシャス、大きな荷室ができるコンパスProなども選択できる。

(記事中の価格は全て税込です)


コンセプト

ハイエースワイドロングボディをベース車にし、これにポップアップルーフを架装することにより、小型車駐車枠(5x2m)に入る最大の室内空間を確保している。さらにエクステンションウインドウも標準装備し、限られたスペースを最大限に活用している。

今回ジャパンキャンピングカーショーに展示されたリチウムイオンバージョンでは、コンパクトなボディにクーラー(COOLSTAR)を搭載、リチウムイオンバッテリーで実用的な使用を可能にしている。「リチウムイオンバージョン」というモデルがあるわけではなく、エアコン、リチウムイオンバッテリーはどちらもオプションで装着可能としている。

なお、標準ボディハイルーフを使用したコンパスビッツにもエアコンとリチウムイオンバッテリーが搭載できるようになった。


エクステリア

 コンパスのエクステリア

ベース車はハイエースワイドロングバン。5x2mの駐車枠に駐車できるため、コインパーキングなどにも駐車でき、また車高が2090mm(ポップアップルーフを下げた状態)なので、高さ制限のある駐車場にも入れる可能性が高い。

ポップアップルーフは、閉じた状態ではノーマル車とほとんど見分けがつかないため、日常使用にも違和感なく使える。また右側にはエクステンションウインドウを標準で架装しており、アクリルウインドウ化して断熱性を高めるとともに、車内を広く見せている。

なお、右サイドにもドアがあるが、エクステンションウインドウのため開くことはできない。


インテリア

 コンパスのインテリア

インテリアは2020年モデルから変更されていない。なお、写真の展示車にはPRIME PLUS(プライムプラス)というインテリアバリエーションが採用されている。ダークウッドの家具と上質素材のベッドマットを採用した、シックなインテリアを選択できる。


レイアウト

レイアウトも従来と変わりなく、前部にダイネットとダイネットサイドギャレー、後部にハイマウントダブルベッドの組み合わせ。

このレイアウトは、6名が前向き乗車でき、ルーフベッドを含めると大人5名が就寝できるベッドを持つのが特徴。また、ダイネットから冷蔵庫やシンクにすぐに手が届くのも便利だ。

ワイドボディなのでエクステンションウインドウで拡張することにより、後部のハイマウントダブルベッドで車幅方向に就寝できる。これにより前部にベッドが侵食することなく、効率の良いスペース配分が可能になっている。

欠点はサイドギャレーのためダイネットが狭くなり、ダイネットで閉じ込められ感があること。前後の動線が無く、移動が難しいことが挙げられる。なお、ハイマウントベッドの採用で、ベッド下に大きな収納スペースが取れるのはこのレイアウトの大きな利点だ。


ダイネット

 サイドギャレーを持つダイネット(標準のインテリア)

2列目と3列目シートを向かい合わせにセットすることにより、4名が対座できるダイネットが形成される。シートはどちらも900mm幅。

ギャレーがダイネットの横にあるため、冷蔵庫やシンクにすぐに手が届き、冷蔵庫から飲み物を出すのに移動する必要が無い。

ただし、ギャレーとシートで車幅いっぱいになっているため、前後の移動が難しく、ダイネットに閉じ込められ感がある。ペットや小さな子供がいる場合はフルフラットのベッド状態にしておく方が寛げるかもしれない。


ベッド

 ダイネットベッドとハイマウントダブルベッド(写真:ホワイトハウス)

ベッドはルーフベッド、ハイマウントダブルベッド、ダイネット展開ベッドの3つがあり、合わせて5名が就寝できる。大人2名と小さな子供2~3名ならダイネットはそのままにしてルーフベッドとハイマウントダブルベッドで就寝できる。

後部のハイマウントダブルベッドは、エクステンションウインドウにより車幅方向が拡張され、車幅方向に就寝できる。1800mmが確保されているので大人が就寝可能だが、長身のユーザーには多少窮屈かもしれない。

ダイネット展開ベッドは幅が900mmなので、大人1名が就寝できる。身長方向の長さは不明だが、1800mm以上は確保されており、また家庭用シングルベッドの幅があるので窮屈感はない。

 ルーフベッドでも2名が就寝できる

ポップアップルーフを上げると、1850x1380mmのベッドができ、ここでも2名が就寝できる。家庭用ベッドではレギュラーダブルベッドとほぼ同じ幅なので、2名ならゆったり就寝できる。

上の写真のようなキルティング素材のカバーがオプションで用意されており、断熱性を高めている。なお、後述のようにルーフベッドにFFヒーターの吹き出し口を装備できるので、冬でも暖かく就寝できる。


ギャレー

 ダイネットサイドに設置されたギャレー

ギャレーはダイネットサイドに設置され、ギャレーコンソールには、1口コンロが一体になったシンクがビルトインされている。シンク自体はそれほど大きくなく中皿が辛うじて洗える程度の大きさだ。

ただしダイネットシートがあるため立って調理することができず、ギャレーに向かおうとすると不自然な体勢を強いられる。

即ち、あまり調理をすることは想定されておらず、湯を沸かしてコーヒーを飲む程度の使い方が想定されていると思われる。

なお、シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。ダイネットシートがあるので、給排水タンクの出し入れは少し面倒だ。ベッドモードにしていると出し入れはできない。


冷蔵庫/電子レンジ

 40L上開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は40L上開き式冷蔵庫が標準装備される。また電子レンジはオプション設定されている。1500Wインバーターが標準装備されているので、電子レンジをサブバッテリーで稼働することができる。


ユーティリティールーム

コンパスにユーティリティールームは用意されていないが、ポータブルトイレを後部ベッド下に積んでおくことはできる。子供が急にトイレに行きたいといった場合などに便利だ。


収納

 ギャレーコンソールの収納

ギャレーコンソールにはジャバラスライド扉の収納が用意されており、食器などを収納するのに便利だ。ダイネットに居ながらにしてすぐにアクセスすることができる。

 後部ベッド下には両側に収納家具がある

後部ハイマウントベッド下には大きな収納スペースがあり、キャンプ用具など大きな荷物を積むことができる。また、両側には収納家具があり、収納物を区別して収納することができる。

この扉は下にヒンジが付いており上が開くが、できればギャレーコンソールの収納と同じくジャバラスライド扉だと、ベッド下に荷物が積んであっても開けやすいのだが。

 ベッドボードを取り外すと大きなカーゴスペースになる(写真:ホワイトハウス)

更に、後部ベッドボードを取り外すと、大きなカーゴスペースになる。2列目3列目シートがバタフライシートでレールで前に移動できるわけではないので本格的なトランポ仕様ではないが、かなり大きな荷物を積むことができる。

空調

 12Vクーラー COOLSTARがオプション設定されている(左側)

暖房はFFヒーターがオプションで設置できる。また冷房は12VクーラーCOOLSTARがオプションで設置できる。設置場所は後部左側の窓部で、窓は塞がれてしまうがすっきり装着される。

特筆できるのは、オプションながらルーフベッドにFFヒーターの吹き出し口が設置できること。これにより冬のルーフベッドも寒くない。

なおベンチレーターはオプション設定されていない。(ハイルーフには装着できる)


テレビ/ナビ

10.1型のフリップダウンモニターがオプション設置されている。ナビはナビパックとしてオプションが用意されており、これにはメモリーナビ、ETC、バックカメラ、ナビ電源切替スイッチが含まれる。


電装系

 リチウムイオンバッテリーを搭載できる

標準では100Ahのディープサイクルサブバッテリーが2個、走行充電、外部100V電源入力と充電機能、1500Wインバーターが装備される。

特にクーラーを設置した場合では、バッテリー増設セットとして、ディープサイクルサブバッテリー 100Ah( 合計 300Ah)、CTEK スマートパス ( 大電流走行充電器 )、外部 100V 入力 50A サブバッテリーチャージャーがオプション設定されている。

そしてさらに、今回リチウムイオン化スペシャルオプションとして、210Ahのリチウムイオンバッテリー(オフグリッドソーラーのスーパーB)、外部100V電源によるリチウムバッテリー用チャージャー、CTEK スマートパスなどが設定された。

210Ahのリチウムイオンバッテリーなら、昼間のCOOLSTARの消費電力を平均500W程度とした場合、4時間半程度運転できることになる。夜なら外気温が低くなるのでもっと長く運転できるだろう。

また、走行充電ではCTEK昇圧システムが使われており、「ほぼ使い切った状態からは3時間20分ほどで約90%まで充電できる」とされている。走行充電でも実用的に充電できるようになる。


価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)

ガソリン2WD/6ATで676万円~。ただしこれにはエアコンやリチウムイオンバッテリーは含まれていない。エアコンは429,000円、リチウムイオンバッテリーシステムは748,000円なので、リチウムイオンバッテリーとエアコンを装備するには1,177,000円が追加費用として必要で、総額は794万円~となる。

必要な装備はほぼ標準で付いているので、エアコンとリチウムイオンバッテリー以外で付けておきたいオプションは特に無いが、必要に応じてソーラーシステム(198,000円)と電子レンジ(24,200円)が挙げられる。また冬場はもちろん、春先や秋口にルーフベッドを使用するなら、防寒インナーテント(41,800円)とルーフ内ヒーティングダクト(49,500円)は装備しておきたい。


他モデル

ハイエースワイドロングベースでポップアップルーフを持ち、ファミリー使用に対応できるモデルは、ケイワークスのオーロラエクスクルーシブポップアップルーフ仕様770万円~:エアコン+リチウムイオンバッテリー標準装備、FFヒーター含む:標準ボディベースの記事はこちら)、ダイレクトカーズのボンドポップアップルーフ(658万円~)、バンレボのバンレボリューションVR480(543万円~)が挙げられる。

このうち、エアコンが装備できるのはオーロラエクスクルーシブ。なお、ダイレクトカーズは最近COOLSTARをNV200バネットベースのリトリートNV Popに装備している実績があるので、ボンドポップアップルーフにも搭載できるかもしれない。

なお、詳細の比較は「ポップアップルーフのハイエースワイドロングバンコン特集」も参考いただきたい。


まとめ

ワイドミドルボディでポップアップルーフを持ち、ファミリーに対応できるエアコン付きのバンコンを探すなら、現在のところは、コンパスとオーロラエクスクルーシブしか選択肢が無い。

どちらも選択して間違いは無いが、自分の使い方に合ったレイアウトを選択すると良いだろう。なお、ホワイトハウスのプレシャスやダイレクトカーズのボンドポップアップルーフもエアコンやリチウムイオンバッテリーの装備が可能かもしれないが、現在のところその記載は無い。

コンパスとオーロラエクスクルーシブを比較すると、どちらもファミリー使用に対応するがレイアウトは全く異なる。コンパスがダイネットサイドギャレースタイルなのに対し、オーロラエクスクルーシブは後部に独立したギャレーを持つ。

また、オーロラエクスクルーシブはリチウムイオンバッテリーが300Ahであることや横開き式の本格的な冷蔵庫を標準装備するアドバンテージがある。また2021年には水平にポップアップするエレベーションルーフも導入した。

一方コンパスは3列目にも乗車でき6名が前向き乗車できる(オーロラエクスクルーシブは5名)。またエクステンションウインドウを持ち6名が就寝できる。(オーロラエクスクルーシブは4名。ただしカスタマイズで6名まで可能)

このように同じボディスタイルでもコンセプトが多少異なるので、自分の使い方に合ったレイアウトや装備で選択すると良いだろう。


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コンパスグランド

N-VAN COMPO

ステップワゴンDeckOne

     

モデル コンパス
ビルダー ホワイトハウス
ナンバー区分 8
乗車人数 6
前向き乗車人数 6
就寝人数 5
エクステリア  
ベース車 ハイエースワイドロングバン
ルーフ架装 ポップアップルーフ
窓架装 エクステンションウインドウ
レイアウト  
ダイネット形態 4名対座(2列目3列目シート)
マルチモードシート ○(2列目単座シート)
ベッド
ルーフベッド
後部ハイマウントベッド
ダイネット展開ベッド
常設ベッド ○(ハイマウントダブルベッド)
ルーフベッド(mm) 1850x1380
後部ベッドサイズ(mm) 1870x1200
ダイネット展開ベッドサイズ(mm) 1800?x900
ギャレー  
コンロ ○(1口コンロシンク一体)
シンク
給水タンク ○(10L)
排水タンク ○(10L)
冷蔵庫/設置スペース ○(40L上開き)/○
電子レンジ/設置スペース -/-
ユーティリティールーム  
防水処理 -
トイレ -
シャワー設備 -
シャワー用給排水タンク -
温水設備 -
手洗い -
空調  
ベンチレーター -
FFヒーター
室内用エアコン OP
電装系  
サブバッテリー ○(105Ah x2)
バッテリー増設 -
リチウムバッテリー OP(210Ah x1)
走行充電システム ○(CTEK)
外部100V入力/充電 ○/○
インバーター ○(1500W)
ソーラーシステム -
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム OP
テレビ -
サイズ  
全長(mm) 4,840
全幅(mm) 1,920
全高(mm) 2,090
価格 (税込)  
ガソリン 2WD 6AT 676万円~
ガソリン 4WD 6AT 706万円~
ディーゼル 2WD 6AT 724万円~

2021年5月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこち

2021.5.4