コンパスグランドはホワイトハウスが製作する、ハイエースワイドロングバンベースのバンコンバージョンキャンピングカー。
コンパスは同社の看板ブランドで、従来より多くのシリーズモデルを発売しており、現在でも標準ボディからスーパーロングまで充実したラインアップを揃えている。

今回紹介するコンパスグランドはその中でも2017年に追加された最も新しいモデルで、FRP製のハイルーフを架装している。
コンパスと言えば、ポップアップルーフがすぐにイメージされるほどその印象が強く、ハイルーフの架装は同社でも初のモデルとなる。

ハイルーフのメリットは、常に高い天井高が確保されており、ポップアップルーフのように上げ下げする手間が不要なこと。
また、断熱性も確保されており、強度も心配ないので、風雨が強い場合にポップアップルーフを上げるのをためらうということもない。

一方デメリットは、高さ制限のあるパーキングにはまず入れないこと。
常に高さには注意している必要がある。

コンパスグランドに架装されるハイルーフは、フロントウインドウから立ち上がる曲線に連続しており、オリジナルのミドルルーフよりも美しいフォルムとなっている。
一般的にハイルーフの架装が今一つ人気のない理由は、いかにも架装したというスタイリングになり注目を集めてしまうことにあるが、コンパスグランドのハイルーフなら自然な感じなので、そのような心配はない。
むしろハイエースを知る人は、その美しいスタイリングに振り向くだろう。

レイアウトはポップアップルーフバージョンと同じで、フロントに対座ダイネット、ダイネットサイドにギャレー、リアには上段ベッドをセットできる。

ダイネットは2列目と3列目にマルチモードシートを使用し、対座ダイネットモードからフルフラットにしてベッドモードに移行できる。
ただ、一般的にマルチモードシートの展開は面倒なので、4名以下のファミリーであれば、ルーフベッドと後部上段ベッドを使えば、ダイネットはそのままにして就寝できる。

後部上段ベッドは、エクステンションウインドウにより、車幅方向の就寝が可能。
これは常設ベッドとして使えるので、就寝時のベッドメーキングは不要だ。

ルーフベッドはさすがに多少圧迫感があるが、断熱効果が高いため、特に寒い時期や雨風が強いときはポップアップルーフより快適だ。
また、常にこの空間は確保されているため、寝具はそのままにしておくことができる。

ギャレーはコンパクトながら機能的な作りになっている。
ダイネットのすぐ横にあるのでアクセスし易く、いちいち立たなくても手が届く。
ギャレーコンソールには1口コンロが一体になったシンクと上蓋式の40L冷蔵庫が埋め込まれている。

空間的にも装備的にも料理することは想定されていないが、コンロが常設されているので、コーヒーを入れるために湯を沸かす、といった場合には便利だ。
最近では卓上式のカセットコンロをいちいちセットしなければ使えないモデルが多いので、バンコンで常設コンロを持つモデルは貴重だ。

なお、電子レンジはオプションで用意されている。
電子レンジを駆動するのに必要な1500Wインバーターは、標準装備されているので、1万円の電子レンジを追加するだけで良い。
電子レンジは、ちょっとした温めものに大変便利なので、是非付けておくことをお勧めする。

収納は、ギャレーコンソールにちいさな収納スペースがある他は、全て後部のベッド下に集中している。
後部両側には収納キャビネットがあり、それぞれ2段用意されている。
ただし、ベッド状態にしている場合は、アクセスし易いとは言えない。
手前にある収納は、むしろ車外からアクセスする方が取り出しやすいだろう。
ひとつビルダーにお願いしたいのは、扉をジャバラスライドにして欲しいこと。
現在の扉は上から下、あるいは横に開くのだが、ベッド下に荷物を積んでいると、荷物が邪魔になって開けることができない。
ジャバラスライド扉だと、手前に荷物があっても、少し動かすだけで取り出せる。

なお、ベッド下は大きな収納スペースになっており、ファミリー分の大き目の鞄なども問題なく収納できる。

電装系で特筆できるのは、2個のサブバッテリーと1500Wインバーターが標準装備されていること。
サブバッテリーはやはり2個搭載が理想的だし、安心できる。
更に、FFヒーターも標準装備される。
FFヒーターも必需品に近い装備なので、ほとんどのユーザーはオプション設定されていても装備することになる。
スペックをよく見ないと分からないところだが、ユーザーに見えないところでも必要なものはきちっと標準装備する姿勢は信頼感が持てる。

これらの装備を標準装備にすると、当然見かけの価格は高くなってしまうが、ユーザーにとってはむしろ有意義な設定と考えるべきだろう。