バンビー(bambee)はAtoZが製作する、カムロードをベース車にした5mを超える車長のフルサイズキャブコン。2021年6月に開催された東京キャンピングカーショー時点ではまだ開発中とのことで、ビデオの展示車は完全な形ではない。
同社は現在カムロードキャブコンとしてアンソニーをラインアップしているが、アンソニーは5m未満の車長で、5m超のモデルが同社のラインアップに無かった。バンビーは5m超のカテゴリーを埋めるモデルと位置付けられる。

アルビオン
同社は以前5m超のモデルとして、ビーカムベースのアルビオンというモデルを製作していたが、販売を終了していた。今回カムロードベースのバンビーでこのポジションを埋める。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
5mを超えるフルサイズキャブコン。同社のキャブコンとしてはフラグシップの存在になる。室内最大高は2000mm、最大幅1940mmという広い空間を生かし、余裕ある室内と、トイレはもちろん温水シャワーを設置するなど充実した装備を搭載する。
エクステリア

バンビーのエクステリア
ベース車はトヨタカムロード3.0Lディーゼルターボ。前述の通り、5m超の車長を持ち、ベースシャシーはダブルタイヤ仕様、シェルはFRPパネル製を架装している。バンクはしっかりした大きさを確保し、大人が就寝できる。
右サイド後部の大きな縦長ドアはベッドルームとサニタリールームのもの。ベッドルームへのドアは、ベッドボードを取り外した場合自転車等の大きな積載物を車外から出し入れするためのドア。右サイドにも同様のドアが用意されている。
サニタリールームへの外部ドアは、スキーウエアなど濡れたものを車外から直接入れるためのドアだ。
インテリア

ホワイトを基調としたインテリア
展示車はホワイトを基調にした収納家具とベージュ系のシートとベッドで、モダンながらも暖かい雰囲気を持ったインテリアになっている。同社は他のモデルでは白木風の家具を使用しているが、バンビーでは白い家具に統一されている。
同社はアンソニーやアルファで、インテリアにネーミングし選択できるインテリア戦力を取っているが、このバンビーでもインテリアを選択できるのかは不明。しかし、このバンビーのインテリアも洗練されたものだ。
レイアウト

前部のレイアウト
前部に対座ダイネット、後部に横置き2段ベッド、中央にギャレーとサニタリールームを配置するレイアウトを採用。これはアンソニーシリーズではセンターエントランスの「アンソニー」と同じレイアウトだ。
ただし車長が長くなっている分、ベッドやダイネットに余裕がある。例えばアンソニーの上段ベッド幅は650mm(一部750mm)だが、バンビーのそれは780mm(一部650mm)になっている。
このレイアウトはスペース効率の良い横置き2段ベッドのため、ダイネットやサニタリールームのスペースに余裕を持たせることができる。また、アンソニーと同様に、ベッドボードを取り去ると自転車など縦に大きな積載物を収納できるというメリットがある。
ダイネット

4名が対座できるダイネット
前部に4名対座ダイネットを配置している。3列目シートには2名分の3点式シートベルトが用意されている。ダイネットは展開して2名が就寝できるベッドとして使えるが、マルチモードシートのため、多少労力が必要になる。
ベッド

2段ベッドには読書灯が用意されている
後部の常設2段ベッドは上下段とも780(640)x1940mmの大きさ。家庭用のシングルベッドの幅が970mmなのでこれには及ばないが、寝返りも打てる十分な幅がある。なおサニタリールームのため足元が多少狭くなる変形サイズとなっている。

キングサイズの大きさのバンクベッド
バンクベッドは1800x1800mmの大きさで、家庭用ベッドではキングサイズの大きさ。大人が3名就寝できる。高さも十分とられており、圧迫感は皆無だ。
また使用しない場合は手前部分を跳ね上げる方式で、最小の労力でベッド展開できるほか、走行中の荷物の落下を防ぐことができる。

セミダブルベッドサイズのダイネット展開ベッド
ダイネット展開ベッドは1900x1250mmの大きさで、セミダブルベッドより少し広いベッド幅で、大人が2名が就寝できる。シート自体は900mm幅だが、ベッド展開時はシートを横方向にスライドさせ、サブマットを追加することにより1250mmの幅になる。
ギャレー

引き出し収納が充実したギャレーセクション
左側中央にはギャレーコンソールが配置され、上面にはシンクが埋め込まれている。またシャワーフォーセットは引き延ばして車外で使える。ただしコンロはビルトインされておらず、コンロを使う場合はポータブルカセットガスコンロをいちいち設置する必要がある。
アンソニーも同様にコンロはビルトインされていないが、バンビーはフラグシップのモデルになるだけに、ここはビルトインコンロが欲しいところだ。不要なユーザーにはレスオプションで対応できないものだろうか。
素晴らしいのは引き出し収納で、4段の引き出しが用意されている。これだけあればカトラリーから食器まで収納できるだろう。
冷蔵庫/電子レンジ

キッチンタワーにビルトインされた冷蔵庫
ギャレーの横にはキッチンタワーが設置されており、展示車には横開き式冷凍冷蔵庫がビルトインされていた。電子レンジは設置されていなかったが、アンソニー同様恐らく冷蔵庫も電子レンジも標準装備となるだろう。
また冷蔵庫の下には深い引き出し収納が用意されている。ここには、鍋などの調理用具を入れておける。
サニタリールーム

防水処理がされたトイレシャワールーム
展示車の個室スペースは防水処理がされており、トイレやシャワーは装備されていなかったが、「クーラー、ヒーター、トイレ、ボイラー、シャワーまでフル装備のハイスペックモデル」という能書きなので、トイレと温水シャワーが設置できるようだ。
トイレは、カセットトイレかポータブルトイレかの記述は無いが、パンフレットではカセットトイレになっており、専用手洗いも付いている。ただしこれがバンビーにも装備されるかは不明。
また、展示車には排水溝やFFヒーター吹き出し口は無かったが、これらも今後装備されるのだろう。排水タンクは床下に設置されるだろうし、温水シャワーが使えるなら60L程度の給水タンクが必要になるので、これらがどのように設置されるのかは今度レポートしたい。
収納

ダイネット上のオーバーヘッド収納
バンビーの収納は充実している。まず、オーバーヘッド収納が、ダイネット上、ギャレーとエントランス上、ベッドルーム3面に設置されており、大きな収納力を確保している。また先述のように、ギャレー周辺の収納も十分に用意されている。
なお、大きめの荷物はベッド下の外部収納か、二人旅の場合ならバンクベッド部を収納として使用することができる。ベッド下の収納へは車内からもアクセスできるので、ここに大き目のバッグなどを収納できる。
空調
先にも書いたように「クーラー、ヒーター、トイレ、ボイラー、シャワーまでフル装備のハイスペックモデル」と記されているので、FFヒーターやクーラー(暖房もできる家庭用エアコンではない?)も標準装備されるようだが、展示車にはまだ設置されていなかった。
なお、アンソニーにはクレクールVがオプション設置、アンソニーLEには家庭用エアコンが標準装備されている。また、アンソニーLEにはリチウムイオンバッテリーがオプション設定されている。
テレビ/ナビ
ナビやテレビの情報は無いが、オプションで用意されると思われる。
電装系
電装系の情報も開示されていないが、最大の関心事はリチウムイオンバッテリーだろう。このクラスならリチウムイオンバッテリーが標準装備されるのが一般的になりつつあるし、同社もアンソニーLEで実績があるので、おおいに期待できる。
価格
現在開発中なので当然価格は未定だが、参考までにアンソニーは625万円~となっている。
他モデル
フルサイズのカムロードキャブコンマーケットは多くの競合モデルが各社より発売されている。中でも注目されるのはダイレクトカーズのトリップシリーズとアネックスのリバティシリーズだろう。
ダイレクトカーズは2020年のトリップ(1051万円~:ダブルタイヤ)に続き、2021年にはトリップⅡ(1099万円~)、トリップⅢ(1155万円~)を発売している。いずれもクーラー、400Ahのリチウムイオンバッテリー、瞬間湯沸かし付き温水シャワーが標準装備されれ最新鋭のモデルだ。
また、お洒落なインテリアと床暖房を含めた充実した装備で人気のアネックスのリバティ52DBとリバティ52SP(どちらも990万円~)も注目される。どちらも家庭用エアコンと240Ahリチウムイオンバッテリー、瞬間湯沸かし付き温水シャワー標準装備だ。
その他、2021年に開発が発表されたファンルーチェのヨセミテ(価格未定)、ナッツRVのクレア/スティング5.3ハイパーエボリューションシリーズ(1023万円~)、バンテックのジルシリーズ(907万円~)などがある。
なお上記の価格は全てダブルタイヤモデル。
まとめ
5mを超えるフルサイズカムロードキャブコンはキャブコンのフラグシップであるだけに、どのビルダーのモデルも最新の技術と洗練されたインテリアを競っている。エアコンやリチウムイオンバッテリーは当たり前だし、温水シャワーもほとんどのモデルに設定がある。
この中でバンビーがどのような特徴を出していくのか非情に興味があるところだ。外観は平凡なスタイルだが、アンソニーやライトキャブコンで見せる洗練されたインテリアと比較的低価格の設置がバンビーにも適応されるのか期待したい。
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