ウィズ(WIZ)はアネックスが製作する、ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社はカムロードベースのキャブコン「リバティ52DB」や「リバティ52SP」からバンコンまでラインアップしている。
同社のバンコンにはファミリーを対象にした「ファミリーワゴン」から二人旅を対象にした「リコルソ」といったワイドボディベースのバンコンが多くあるが、ウィズは標準ボディをベースにして更に運転しやすいモデルとしている。

ウィズの室内
コンセプト:標準ボディで運転しやすく、かつハイルーフとスカイルーフウインドウで圧迫感の少ない室内を実現。ツインバッテリー、外部100V充電、1500インバーター、そしてFFヒーターまでもが標準装備される。二人旅を想定したハイエースバンコン。
エクステリア:サンルーフと大型ベンチレーターがルーフに搭載されている他は外装への架装は無い。外からは普通のハイエースに見えるので、目立つことなくファーストカーとしても使える。

スカイルーフウインドウがある室内
インテリア:同社らしい洗練された印象のインテリアを持つ。オプションで他のインテリアへの変更も可能だが、標準の家具色やシート色はナチュラルなトーンでうまくコーディネートされている。
レイアウト:前部にギャレー、後部にダイネットを配置し、二人旅に特化したレイアウトを持つ。従ってマルチモードシートは装備しないが、そのため前後の移動が楽で、ベッド展開もほとんど労力が要らない。

後部シートがリクライニングできるダイネット
ダイネット:テーブルを挟んで前後に2名が対座できる他、サイドソファもあるので、自由度が高い。また、ベッド状態にしてもテーブルが使えるので、ちゃぶ台スタイルで寛ぐことができる。
さらに嬉しいのは、後部がリクライニングし、2名が並んで足を投げ出して寛げること。この状態でテレビを楽しめる。ダイネットで楽な体制をとることまで考えてあるキャンピングカーは意外に少ない。

ちゃぶ台スタイルにもできるダイネット
ベッド:完全にフラットにしてしまうと、1900x1400mmのベッドになる。これは家庭用ダブルベッドの幅に相当する。足元に家具が無いので、フロア全体がベッドとして使える。

豊富な収納のあるギャレーコンソール
ギャレー:エントランスの前にあるので、立ち位置が広く取れ、調理するのに便利。ポータブルカセットコンロをセットして使うが、コンロを置くスペースも確保されている。また、給排水タンクは車外から取り出せるよう配慮されている。標準ボディのバンコンながらギャレーコンソールの充実した収納は素晴らしい。

エントランス右側シート下の引き出し式冷蔵庫
冷蔵庫/電子レンジ:冷蔵庫は30Lの引き出し式冷蔵庫がエントランス横のシート下に組み込まれている。車外にいても冷たい飲み物がすぐに取り出せる。
また電子レンジは100V仕様のものがギャレーコンソールにすっきりとビルトインされている。どちらも標準装備だ。更に1500Wインバーターも標準装備されているので、外部電源が取れないところでも、バッテリーで電子レンジを使うことができる。

右サイドのオーバーヘッドキャビネット
収納:右サイド上に大きなオーバーヘッド収納が設置されているほか、後部と左サイドにはネット上の収納が備え付けられている。中身が見えて便利ではあるが、入れるものによっては生活感が出て、折角のインテリアがスポイルされるかもしれない。
圧迫感が増すかもしれないが、オプションで右側と同じようなオーバーヘッドキャビネットがあっても良いかもしれない。

左サイドのメッシュ収納
空調:FFヒーターが標準装備される。他の多くのモデルではFFヒーターはオプションのことが多く、高額な装備だけにこれは特筆できる。また、マックスファンも標準装備される。ファミリーワゴンやリコルソでは10万円弱のオプションなので、これもウィズだけの特長だ。
ただし、冷房のソリューションは用意されていない。小型で高性能なエアコンも発売されているので、今後装備できるようになることを期待したい。
電装系:75Ahの高性能AGMバッテリーを2個標準装備。AGMバッテリーは高出力に強く、電子レンジが装備されているのでより適切なバッテリーと言える。
また充電は走行充電はもちろんだが、外部100V電源入力と、これによるサブバッテリーの充電も標準装備している他、更に80Wソーラーシステムまでも標準装備している。電装系に関して、非常に充実した標準装備となっている。
価格:ガソリン2WDで488万円~(税別)。ほとんどの必需品が標準装備されているので、装備に関する追加の出費はほとんど必要ない。特にサブバッテリーなどはユーザーの目に触れないところだが、安価なバッテリーで安易にコストを削っていないところも信頼が置ける。

他車:ハイエース標準ボディハイルーフがベース車で、二人旅仕様(後部に前向き乗車できるシートを持たない)、かつギャレーを持つ8ナンバーモデルは、以下のモデルが挙げられる。
ウォークIIタイプC:ドリーム・エーティー 376万円~
ハウベル:ビークル 375万円~
バカンチェスプライベート:リンエイプロダクト 449万円~
プラスLV:レクビィ 426万円~
マティアスC:M.Y.Sミスティック 410万円~
こうして比べるとウィズは高価だが、標準装備を考えると頷ける。もちろんこれらの装備が不要というユーザーには割高になるが、AGMツインバッテリー、外部100V電源による充電、FFヒーター、電子レンジと1500Wインバーター、ベンチレーターはほとんど必需品だ。
まとめ:高品質で洗練されたインテリア、開放的なスカイルーフウインドウ、充実した標準装備など、全方位的に高い完成度を持ったモデルと言える。しかし一点注文を付けたいのはエアコンのオプションだ。
CoolStarなどの高性能小型エアコンの登場により、小型バンコンでもエアコンの装着が可能になってきた。上記の「プラスLV」や「バカンチェスプライベート」、「マティアスC」ではエアコンの選択肢が用意されている。
高価なオプションなので誰もが選択するわけではないが、コンパクトなクルマで、かつ快適な装備を求めるユーザーも多い。特にウィズは上級モデルなので、エアコンのオプションは期待される。
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