バレンシア520はマックレーが製作する、三菱ふそうキャンターベースのキャブコンキャンピングカー。同社はキャブコン専門ビルダーで、このようなフルサイズキャブコンから、軽キャブコンまでラインアップしている。
コンセプト:安全面を重視してふそうキャンターをベース車にした5mを超えるフルサイズキャブコンで、カセットトイレや家庭用エアコンはもちろん、床暖房や温水シャワー、240Ahリチウムイオンバッテリー、2800Wの大型発電機まで標準装備した、国産モーターホームと呼べる内容。

後部のレイアウト
エクステリア:バレンシア520は、キャンピングカーによく使われるカムロードではなく、キャンターをベース車に使用しているのが特徴。ビデオの展示車は3000ccディーゼルターボ6ATを搭載している。標準は110psだが150psバージョンも選択可能。
衝突被害軽減ブレーキや車両安定性制御装置が標準装備されるのがキャンターのアドバンテージ。ミッションはDIONIC2.0 でと呼ばれるもので、スムースな変速ができ、燃費の向上にも貢献している。ワイドトレッドバージョンでも製作可能で、どちらもダブルタイヤとなる。

前部は広いダイネット
インテリア:展示車はベージュを基調にしたソファや家具で落ち着いた車内となっているが、これらは変更可能で好みのインテリアにできる。照明は間接照明とスポットライトで演出されている。
レイアウト:ビデオの展示車はリアエントランスだが、センターエントランスのレイアウトも可能。同社は自由度の高いビルダーなのでワンオフに近いレイアウトにも対応できる。ただし、4WDではリアエントランスに限られる。
ダイネット:4名対座とサイドソファに2名が座れるので、計6名でテーブルを囲むことができる。展示車は8名乗車で、前向きは運転席、助手席と、3列目シートに2名で計4名が可能。2列目シートは後ろ向き2名着座で、3列目と対座してドライブできる。

ダイネットを展開したベッド
ベッド:リアエントランスのレイアウトではフロアに常設ベッドは無いため、バンクベッドがメインベッドになる。バンクベッドはスライド式で簡単にセットでき、寝具もそのままにしておけるので、準常設ベッドと言える。
もちろんダイネットを展開すると大きなベッドになり、バンクベッドと合わせて、計6名が就寝できる。

引き出し式のバンクベッド
ギャレー:リアエントランスの定石通り、ギャレーは最後部に配置されており、1口コンロが一体になったコンビネーションシンクがビルトインされている。これも希望に応じて2口コンロなどに変更可能。なお、エントランス横のキャビネットにはIHコンロがビルトインされている。
ギャレーコンソール下には70Lの清水タンクが収納されており、カセットガス3本を使用する瞬間湯沸かし器で瞬時に湯が使える。

1口コンロが組み合わされたシンクがビルトイン
冷蔵庫/電子レンジ:ドメティック製90L冷蔵庫が標準装備されている。また電子レンジも標準装備。

瞬間湯沸かし器で待つことなく豊富に温水シャワーが使える
サニタリールーム:カセットトイレと温水シャワーが標準装備。専用手洗いも用意されている。温水シャワーはギャレー下の瞬間湯沸かし器で瞬時に湯が使える。ファミリーで使っても十分な湯量があり、湯が沸くのを待たずにすぐに使えるのが魅了だ。

冷蔵庫下の大きな収納スペース
収納:ダイネット上、ギャレー上にオーバーヘッド収納が並んでいる。奥行きもあり、十分な容量がある。リアエントランスレイアウトではハイマウントベッドのレイアウトのように大きな収納が取れないのが難点だが、バレンシア520では冷蔵庫下に大きな収納スペースを用意している。また、サニタリールームと車外からアクセスできる大容量収納もある。
その他コートなど長いものも吊るしておけるワードローブも用意されている。
空調:床暖房が標準装備されるほかFFヒーターも標準装備。床暖房はAC100Vで温める。なおバンクベッドにも床暖房が装備されているのは他に例を見ない。冷房は家庭用セパレートエアコンが標準装備される。同社独自のV-Specシステムで、走行中はオルタネーターで使用できる。また停泊中は発電機かリチウムイオンバッテリーで稼働できる。240Ahのリチウムイオンバッテリーで6時間程度運転できるとしている。
テレビ/ナビ:9インチのナビシステムがオプション設定されている。テレビは標準装備ではなく、任意のものを取り付けできる。

電装系:240Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。満充電でエアコンが6時間稼働できるとしている。なお、リチウムイオンバッテリーはもう1個増設して240Ah
x2とする子著ができる。
また、V-SPECシステムによりオルタネーターで家庭用エアコンが使用できるので、走行中やアイドリングで快適に過ごすことができる。これはナッツRVのEvolutionシステムと同様、サブバッテリーを使わずオルタネーターだけでエアコンを使えるという考え方。
なお、100Wのソーラーパネルが3枚標準で搭載されている。うち1枚はメインバッテリーの充電用に切り替えることもできる。
更に2800Wの発電機も標準装備。外部電源が無くても電気切れの心配がない。また、発電機でエアコンや床暖房を稼働させることができる。多くの発電機が搭載できるキャブコンはホンダEU-18iクラスを使用しているが、これはより大容量なうえ、車内から始動停止ができるのが優位点。

価格:展示車は1327万円。高価に見えるが、ほとんどの装備が付いているので、追加する大きな装備は無い。同社の「ビルドアッププラン」は装備を選択するプランで、基本価格は995万円から用意されている。
他車:キャンターベースのキャブコンキャンピングカーはチェンジのソブリン(1290万円~)がある。ソブリンも発電機、温水シャワーなどフル装備に近い標準装備を持つが、バレンシア520は更に床暖房や家庭用セパレートエアコン、リチウムイオンバッテリーを装備する。
まとめ:同社は従来よりモーターホームをコンセプトとしてきたビルダーで、即ち、車内でもホーム(家)にいるような快適性を重視したキャンピングカー作りをしている。
それゆえ当初から家庭用エアコンは当たり前についているし、それを実用的に動かすため発電機も標準装備している。
最近は先のソブリンや、リバティ52DB、あるいはトリップといったモーターホームと呼べるキャブコンが発表されている。その中でもバレンシア520は、ヘビーデューティかつフル装備のハイエンドキャブコンの1台と言える。
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