リコルソはアネックスが製作する、ハイエースワイドロングワゴンベースのバンコンバージョンキャンピングカー。同社のバンコンラインアップには、メインブランドのファミリーワゴンがあるが、リコルソは上位バージョンに位置付けられ、かつファミリーワゴンがその名の通りファミリー向けなのに対し、リコルソは二人旅向けに作られている。
今回紹介するのは、リコルソの限定バージョン「Falster」。Falsterとはデンマークのファールスター島にちなんで付けられた名前。これは標準のリコルソと同じレイアウトながら北欧調のインテリアにした限定バージョン。リコルソは以前にも「Fiord(フィヨルド)」という限定バージョンが存在したが、Falsterも同様の企画だ。
また、リコルソには標準仕様とリミテッド仕様が選択でき、リミテッドではFFヒーターとカトラリー引き出し収納などが標準装備になる。
なお、リコルソのオリジナルバージョンの記事はこちらを参照いただきたい。
「北欧調」のインテリアを持つ室内
エクステリアは、ハイエースワイドロングワゴンの外観から変更なく、見た目はキャンピングカーと分からない。5mx2mの駐車スペースにも駐車できるので、スーパーやコンビニの駐車場でも扱いやすく、またコインパーキングにも駐車できる。
高さは2,105mmなので、高さ制限のある駐車場でも侵入できる確率は高い。
インテリアは前出の通り北欧をイメージしたもので、オリジナルのインテリアとは大きく異なる。特にオレンジのシート生地と白っぽい家具の組み合わせは、室内を明るく見せる。
一方、オリジナルのリコルソはグレーのシート生地とダーク系の家具色で、落ち着いた感じのインテリアとなっている。
レイアウトは、フロントにギャレー、後部は対座ロングシートの広いダイネットに割いている。また、最後部にはコンパクトなシンクとフォーセットが組み込まれている。
実は従来シンクはフロントのギャレーコンソールに丸形シンクがビルトインされていたのだが、2017年の道交法改正で4ナンバーで横座りが禁止され、8ナンバーに対応する必要に迫られたため設置されたのが、この後部のシンクだ。シンク前の高さも確保する必要があり、床には床下収納庫として掘り下げも行われている。なお、運転席、助手席から後部への移動は、ギャレーコンソールの一部が跳ね上げ式になっており、楽にできる。雨の日などは車内で行き来できるので非常に重宝する。
運転席、助手席から後部へも移動しやすい
ダイネットは後部が全てロングソファ対座ダイネットに充てられており、二人で使うなら十分な広さがある。しかし、このダイネットの優れている点は、後部の端がリクライニングするようにできており、ソファに足を投げ出してリラックスできること。ダイネットは長時間寛ぐ場所なので、寛ぐ体勢が提案されているのは重要なことだ。欲を言えば、ヘッドレストがあれば完璧なのだが。
リクライニング機構が付いたダイネットソファ
ベッドはロングソファーがそのままツインベッドになる。ただし、シングルベッドとして考えるとベッド幅は狭く、やはり中央部を埋めて大きなダブルベッドにした方がゆったり就寝できるだろう。
ビデオにもある通り、ベッド状態にしてもテーブルを使うことができるので、お酒を飲んでいて眠くなったらすぐに横になることもできる。ただ、就寝すると、やはりテーブルが邪魔と感じるかもしれない。そのような場合は、据え付けのテーブルではなく、折り畳みのテーブルを購入すると良いだろう。これならテーブルの位置は自由だし、折りたたむと小さくなるので邪魔になることもない。
ギャレーは、前述の通り最後部にコンパクトなシンクとフォーセットが設置されている。法改正により仕方なく設置されたギャレーなので、他モデルではシートの下に隠れてしまうような設計も見受けられる。リコルソの場合は、これを積極的に活用し、実用性を持たせている。
なお、フロントのギャレーコンソールにもシンクが欲しい場合は、オプションで従来の丸形シンクが設置できるが、これはリミテッドでは何故か対応できないようだ。
いずれにしてもポータブルカセットコンロは標準装備されるが、火を使って調理することはあまり想定されていないようだ。
フロントのギャレーコンソールには49リッターの冷蔵庫がビルトインされるほか、電子レンジもオプションで選択できる。
カトラリー付きの引き出し
収納はシート下や後部に多少大きな荷物が置ける他、後部を常にダブルベッド状態にしておくなら、ベッド中央下はかなり広い収納スペースになる。
なお、特筆できるのはギャレーコンソールにあるカトラリー付き引き出し。ここにスプーンやフォーク、箸など小物の食器を入れておける。輸入モデルには普通についているが国産モデルではキャブコンでも付いているモデルは非常に少ない。
空調はFFヒーターを標準装備しているが、家庭用エアコンなど冷房系のソリューションは無い。なお、ベンチレーターはオプション設定されている。調理で火を使う場合はもちろんベンチレーターが必要だが、夏には多少の冷却効果もある。
電装系は80AhのAGMバッテリーを標準で2個搭載している。しかし外部100V電源入力/充電機能はリミテッドでもオプション。外部電源入力/充電機能はほぼ必需品と思われるので、これはせめてリミテッドには標準装備して欲しいところだ。インバーターは1500Wと400Wがオプションだが、これは電子レンジの有無で選択肢が分かれるためオプションになっている。
80AhのAGMバッテリーを、標準で2個搭載
価格はリミテッドが450万円(2WD/6AT:税別)。Falsterとオリジナルのインテリアバージョンで価格の差は無い。また、標準仕様は422万円(同)で、リミテッドとの差は25万円だ。リミテッドではFFヒーターとカトラリー収納などが標準装備になるが、FFヒーターはほぼ必需品なのでリミテッドを選択すると良いだろう。ただし、フロントシンクが欲しい場合は標準仕様でオプション設定できる。
ハイエースワイドロングワゴンをベース車にしたバンコンは非常に多くのモデルが存在するが、価格は300万円台後半から400万円台中盤まで。従ってリコルソは高価な部類に入るが、このインテリアクオリティなら納得できるレベルだろう。