リラックスワゴンVPは、かーいんてりあ高橋が製作する、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバン・コンバージョンキャンピングカー。
「リラックスワゴン」は同社を代表するバンコンのオリジナルブランドで、標準ボディ、ワイドロングワゴン、スーパーロングの各ボディスタイルで多くのモデルをラインアップしている。
リラックスワゴンVPは、その中で最もコンパクトなサイズで、全高は1980mmと低く、高さ制限のあるパーキングでも駐車できる可能性が高い。従って、日常用途で使用するユーザーに対応したモデルと言える。
コンセプトは、ファミリーで日常用途に使え、二人で、あるいは小さな子供がいるファミリーで短期間のクルマ旅ができる車中泊車。5名が前向き乗車でき、就寝人数は2名となっているが、もっとも想定されるのは、小さな子供がいるファミリーで、日常用途に使いながら、車中泊では子供と一緒に3名で就寝するような使い方だ。子供が幼児ならチャイルドシートを付けて隣に親が座るといった使い方も考えられる。2列目シートを展開しないで後部だけでベッドになるので、チャイルドシートを付けたまま就寝できる。
常に2名で使用するなら2列目の前向き固定シートは不要なので、二人専用のレイアウトのモデルを選ぶことをお勧めする。
エクステリアには架装は無く、ノーマルのハイエースと全く変わらない。また標準ボディ、標準ルーフなので取り回しが良く、低いルーフなので街中に多い高さ制限のある駐車場にも入れる可能性が高い。
インテリアは同社の他のモデルにも通じる、アイボリーを基調にした明るい室内が特徴。ルーフまで作りこまれており、特別な高級感は無いが、すっきりとまとまった室内に仕上がっている。なお、2列目シートの同色化(張り替え)はオプション。
レイアウトは、2列目に2脚の前向き固定単座シートと、後部のコの字型ロングソファダイネットの組み合わせ。2脚の前向き固定単座シートはドライブで確実に体をホールドできる。後部にロングソファダイネットを持つレイアウトの場合、前部にギャレーを置くモデルが多いが、リラックスワゴンVPではあえてギャレーは排して、前向き固定シートにしたことから、長期旅よりも日常使用を重視していることが分かる。
ダイネットは後部のロングソファとテーブルの組み合わせ。就寝人数から考えると広すぎるダイネットだが、ダイネットでは以下に寛げる体勢がとれるかが重要。車長方向に寝そべり、後部がリクライニングし、足を投げ出して寛ぐモードがあれば、テレビを見ながら時間を過ごせるのだが。
広いコの字型ダイネット
ベッドはダイネットを展開してセットする。背もたれを外し、中央を埋めるだけなので、マルチモードシートの展開ほど苦労はしない。しかしテーブルの上のものを片付け、テーブルを外して収納するなど、やはり就寝前に多少の労力は必要となる。結局はちゃぶ台スタイルになってしまうことも多いだろう。2列目シートはベッド展開する必要はない。
ベッドは1800x1500mmで家庭用ダブルベッドの幅
ギャレーは装備されていない。また冷蔵庫や電子レンジの設置場所も特に用意されていない。(電子レンジはオプション設定されている)恐らく冷蔵庫は欲しい装備のひとつと思われるが、ポータブル冷蔵庫を持ち込み適当なところに置く、ということになる。
収納はシート下と、ベッドセット時はベッド下が収納スペースになる。またエントランス左側にシューズボックスがあり、テレビ台を兼ねている。
ただし、収納はこれだけ。室内に収納家具やオーバーヘッド収納は用意されていないので、小物の収納スペースが無い。もっともギャレーはもちろん、冷蔵庫や電子レンジも想定されていないので、食器は不要ということかもしれない。
空調はFFヒーターがオプション設定される。なお、Super Plusという名称でオプションセットがお得に用意されており、FFヒーターをはじめ、ナビやツインバッテリー、1500Wインバーターなど総額80万円相当のオプションが50万円で装備できる。
なお、家庭用エアコンのような冷房設備は、同社の他のモデルも含め用意されていない。
電装系は、サブバッテリー(容量は不明)が1個標準装備されるが、追加も可能。先のSuper Plusオプションにはツインバッテリーが含まれている。インバーターは350Wのものが標準装備されるが、オプションで1500Wも可能。電子レンジなど大容量の家電製品が無いので、350Wでも問題ないだろう。
外部100V入力は標準装備されているが、これによるサブバッテリーの充電機能が標準装備されているかは不明。
価格は330万円~(2WD/6AT 税別)。このクラスの価格帯は300万円はじめが中心なので、平均的な価格と言える。ハイエース標準ボディ標準ルーフをベースとするモデルは他社からも多く発売されており、選択肢が多すぎて迷うかもしれないが、2列目に前向き固定の単座シートを持つモデルは多くない。
リラックスワゴンVPは、日常でもファーストカーとして使い、休日には車中泊を伴う短いドライブに使う、小さな子供を持つファミリーに適しているだろう。
前向き固定シートは、マルチモードシートに比べホールド性に優れているので、よりミニバンに近い使い方を望むユーザーに適しているだろう。