ぷちキャンVILLA(ヴィラ)Ⅱはカーショップアシストが製作する、エブリイバンをベース車に使用した軽バンコンキャンピングカー。
大阪を本拠にする同社は、軽自動車の専門店だが、同社のオリジナルキャンピングカーとして「ぷちキャン」シリーズを展開している。
今回取り上げた「ぷちキャン VILLAⅡ」の他にも「VILLA」、「VILLA Light」、「TRYⅡ」が選択できるほか、アトレーとハイゼットをベースにする『CHALET"S"』(シャレー ソレイユ)と『CHALET"L"』(シャレー リュヌ)が追加された。また、日産キャラバンをベース車にしたコンプリートモデルも手掛けている。
ぷちキャン VILLAⅡはぷちキャンシリーズ中、比較的充実した装備を持つモデルで、無垢の木材を使用した家具や間接照明が高級感を出している。また、家具はキット化されており、ユーザーが着脱できるのが特徴となっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
スズキ エブリイをベース車に使用した軽バンコン。家具はキット化されており、ユーザーが着脱できるのが特徴。必要な家具だけを購入することもできる。
家具は無垢材を使用し、木の温もりが感じられるインテリアとしている。ベッドは表と裏面の固さを変えた肉厚のあるベッドマットを使用しており、寝心地の良さが期待できる。
なお、照明やサブバッテリーなどの電装系もオプションで用意されており、コンプリートカーとしても購入できる。
アピールポイント
・ユーザーが家具の着脱をすることができる
・無垢材を使用した高級感ある家具
・肉厚のあるベッドマット
・豊富な収納
・調光できる間接照明(OP)
・105Ahのサブバッテリーなど電装系を装備可能(OP)
ベース車とエクステリア

ぷちキャンのエクステリア
ベース車はスズキ エブリイ バン。展示車にはJOINターボが使用されているが、現在ではエブリイJOINターボは廃止されている。
ボディ外側への架装は無く、外観は通常のエブリイと変わらない。オプションで、写真のような電動サイドオーニングが用意されている。
また、ポップアップルーフの架装も可能としている。ポップアップルーフで圧迫感の少ない室内になるほか、就寝人数を増やすこともでき、ファミリーでの車中泊も可能になる。
インテリア

間接光の照明
無垢材を使用した家具は高級感があり、また木の温かみが感じられる室内になっている。更に照明はスポットライトと間接光が採用されており、夜のインテリアを演出している。軽キャンパーの中では高品質な仕上がりだ。
家具色やベッド生地の選択肢は記されていないが、ベッド生地に関しては色の選択が可能なようだ。なお、新たに発表されたシャレー ソレイユやシャレー
リュヌでインテリアの選択肢が追加された。(動画はこちら)
レイアウト
軽バンコンに一般的な、フラットベッド兼ダイネットと、後部両側の収納キャビネットのレイアウトとなっている。後部の家具には跳ね上げ式テーブルが装備されている。
エブリイ バンにもともと設置されている2列目シートは折り畳まれた状態でベッドマットの下にあるので、これを立てると、4名が前向き乗車できる。また、就寝は2名が可能。
ダイネット

跳ね上げ式のテーブル
フラットベッドがそのままダイネットになっており、折り畳みテーブルなどを別途購入してちゃぶ台スタイルのダイネットにできる。跳ね上げ式のテーブルも用意されており、カップホルダーが付いているが、食事や仕事をするには小さいかもしれない。
このスタイルのレイアウトでは、後部の家具に広い板を乗せてテーブルとするケースが多く、広いテーブルは食事や仕事、あるいは就寝時に荷物を乗せたりと、大変便利だ。ちなみに、シャレー
リュヌでは用意されている。ぷちキャン VillaⅡには広いテーブルが無いので、このようなオプションも望まれる。
ベッド

2名が就寝できるベッドモード
ベッドサイズは記されていないが、ベッドはエブリイの室内幅いっぱいに取られているので、1200mm程度あると思われる。1200mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当するので、大人2名が就寝できる。ただし、足元(後部)は右側のキャビネットが出っ張っているため、多少窮屈になる。
ベッドマットは、表と裏の固さが異なり肉厚のあるもので、寝心地が期待できる。
ギャレー
ぷちキャン VILLAⅡにはギャレーは搭載されておらず、オプション設定もされていない。ギャレーや冷蔵庫を搭載してクルマ旅に使うといったコンセプトのモデルではないようだ。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫や電子レンジはオプション設定されていない。冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むことができるが、設置スペースは設定されていないため、ドライブ時や就寝時で場所を移動する必要がある。
収納
ぷちキャン VILLAⅡの収納は、軽キャンパーながら充実している。

後部両側にオーバーヘッド収納が設置される
まず、オーバーヘッド収納が後部左右に設置されているが、十分実用的な大きさと言える。なお、右サイドには棚も用意されているが、こちらは扉が無いので、走行中に落下しても良いものしか置けない。

キャブ上部のオーバーヘッド収納
また、キャブ上部にも扉付きのオーバーヘッド収納が用意されている。更に後部にも、扉は無いが収納スペースが用意されている。

後部左側のキャビネット収納
次に、後部左側のキャビネットには、扉付きの収納スペースと、扉なしの収納スペースが用意されている。共に大きな収納力があるが、やはり扉はあった方が使いやすいだろう。

右側キャビネットの天板下の収納
更に、右側キャビネットの天板下が収納スペースになっている。高さは無いが、カトラリーなどを収納しておくのに便利だ。
空調
FFヒーターやベンチレーターはオプションに記載されていない。車中泊ではFFヒーターはほぼ必需装備なので、オプション設定が望まれる。特注として取り付けることが可能かもしれないので、ビルダーへお問い合わせいただきたい。
冷房やベンチレーターもオプション設定はされていない。冷房は無理にしても、ベンチレーター(ウインドウファンでも良い)はオプション設定が望まれる。
テレビ/ナビ
テレビに関してもオプション設定はされていない。しかしテレビは今やスマートフォンやタブレットでも観ることができる。狭い車内に専用のテレビをつけるよりこのようなデバイスを使用する方法もある。
電装系
105Ahのディープサイクルサブバッテリーと走行充電がオプション設定されている。また、外部100V電源入力と、チャージャーもオプションで搭載可能。更に2000Wインバーターとソーラーシステム(容量不明)もオプションで選択できる。
なお、ポータブル電源も使用できるようで、この場合、ポータブル電源が照明などのシステム電源として使用できる。また、12Vで走行充電も可能。もちろん取り外して、車外で家庭用電源から充電できる。
価格(2022年10月現在:千円台切り上げ:税込)
展示会では電装系も組み込まれて2WDで360万円~として表示されていた。ただし、この価格にはソーラーシステム、HIDヘッドライト、2000Wインバーター、LED照明、ナビ関連などが含まれているようだ。
同社のサイトにはキット価格として表示されており、ぷちキャン VILLAⅡの標準キット価格は605,000円とされている。これには後部の左右キャビネットとベッドマットが含まれている。これだけなら、ユーザーが組み立てることができる。
照明やサブバッテリーなどの電装系はオプションとなっており、これらは取り付けてもらう必要がある。なお、オプションの価格は表示されていない。
他モデル
軽バンコンモデルは多数あるが、ぷちキャンのように本格的な家具をユーザーが取り付けられるようにしたモデルは存在しない。一例として、ボディに穴をあけないアルミフレーム工法を採用するメティオのラクネルが挙げられるが、これはビルダーが架装する。
ぷちキャンの場合は、家具のみを購入すればユーザーが自分で架装できるので、先の通り605,000円でシンプルながらも本格的な軽キャンパーが出来上がる。中古車に組み込めばさらに安価に仕上げることができる。
まとめ
ぷちキャンは上記のようにユニークで、今までになかったビジネス展開をしている。従来は自分で設置できるのはベッドキット程度しかなかったが、ぷちキャンでは本格的な収納キャビネットが設置できる。
ただし、シンクやFFヒーター、冷蔵庫などがオプション設定がされていないのでシンプルな装備で低価格のコンセプトのように見えるわりには、2000Wのインバーターや電動サイドオーニング、あるいは間接光の照明が用意されていたりと、どのようなユーザーを対象としているのか分かり難い点もある。
家具のみを装着するなら、シンプル系の軽キャンパーとして、車中泊初心者や日常用途を中心に使用するが、たまに車中泊をしたり、災害時のシェルターの用途などを考えているユーザーに向いている。
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