MR(ミニバンレボリューション)は、バンテック新潟(Van Revo:バンレボ)が製作する、トヨタ エスクァイア、ノア、ヴォクシー(選択可能)をベース車にしたミニバンベースキャンピングカー。
同社はハイエースやNV350キャラバンをベース車にしたVR(Van Revolution)シリーズやディアリオシリーズを展開しているが、MRはミニバンをベースにしたシリーズとしてラインアップされている。
なお、ポップアップルーフバージョンも選択できるほか、後部収納家具をハーフサイズにしたMR-2や更に簡略化したMR-Sも用意されている。
コンセプト
商用車ではないミニバンをベース車にすることにより、インテリアや乗り心地、あるいは「普通の」クルマであることを重視するユーザーに向けたモデル。
多くの場合ミニバンベースのモデルはフラットベッドを追加する程度の装備が多いが、MRではギャレー、ポータブル冷蔵庫、100V仕様電子レンジなど装備が充実しているのが特徴。
なお30th アニバーサリーモデルでは、ナビやモニター、ETC、160Wソーラーパネル等が標準装備されている。
(記事中の価格は全て税別です)
エクステリア
MRのエクステリア
ベース車はエスクァイア、ノア、ヴォクシーの3車種から選択できる。もちろんハイブリッドも選択可能。エスクァイアは5ナンバー、ヴォクシーは3ナンバー、ノアはノーマルが5ナンバー、エアロパーツを装備したSiは3ナンバー登録。
外観への架装はなく、見た目は通常のミニバンと見分けがつかない。従って、目立つことなく日常用途に使用できる。
インテリア
ブラックが基調のインテリア
展示車はブラックが基調の「ブラックバージョン」だったが、白が基調の「ホワイトバージョンも選択できる。
ホワイトバージョンのインテリア(写真:バンレボ)
ベッドマットはいずれも白。ホワイトバージョンでは電子レンジの扉の色までホワイトになっている。
レイアウト
ベッドマットの下にはスペーサーが置かれている
2列目シートを寝かせてフラットにし、上にベッドマットを敷いているが、シートの凸凹を埋めフラットベッドにするため、スペーサーが置かれている。
後部両側に収納家具がルーフまで立ち上がっており、大きな収納スペースとなっている。なお、3列目シートは取り外されているため、乗車人数はガソリン車の場合は5名、ハイブリッド車では4名となる。
ダイネット
ベッドボードを利用した簡易シートの対座ダイネット(写真:バンレボ)
ベッドボードを利用して簡易シートとし、標準装備のテーブルを渡すと、対座ダイネットが形成される。
フロントシート回転機構(OP)(写真:バンレボ)
オプションで運転席、助手席の回転機構を設置でき、これを付けるとフロントシートとセカンドシートとで対座ダイネットにできる。なお、このテーブルはリアゲートを開けて車外に設置することもできる。
ベッド
ベッドモードでは2名が就寝できる
ベッド展開は2列目シートをフラットにし、凸凹を補正するためのスペーサーを置いて、その上にベッドマットを敷く。作業はマルチモードシートの展開ほど面倒ではないが、雨の日は車内で行う必要があり、多少面倒ではある。
ベッドサイズの表記は無いが2名が就寝できる。両側に家具があるので2名で就寝する場合は多少窮屈かもしれない。ただし、家具の下部はへこませ、できるだけベッド幅を広く取るように工夫がされている。
ギャレー
ホワイトバージョンのギャレー(写真:バンレボ)
コンパクトなシンクが埋め込まれたミニギャレーが標準装備される。ギャレーにはシャワーフォーセットが用意されており、これは引き出して車外で使うことができる。下には各5Lの給排水タンクが収納されており、車外から出し入れできる。
なお、コンロは装備されていない。ポータブルカセットコンロを車内で使うこともできるが、調理台は無いのでテーブルの上で使用することになる。ただしベンチレーターが無いので、換気には十分注意する必要がある。
冷蔵庫/電子レンジ
ポータブル冷蔵庫が標準装備される(写真:バンレボ)
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫がオプションで用意されている。上の写真の位置に置くと、ベッドボードの下に収まり、車外からもアクセスでき、更に電源も近くにある。走行中に動かなよう固定できるかは不明だが、簡単にできるだろう。
家庭用100V仕様の電子レンジが標準装備されるのは特筆できる。簡易な装備が多いミニバンキャンパーだが、MRは突出して装備が充実している。2000Wインバーターまで標準装備されているのでバッテリーでも駆動できる。
ユーティリティールーム
MRにユーティリティールームは無いが、ポータブルトイレを乗せておいて、子供が急にトイレに行きたいと言い出した場合に対応できる。できるだけ背の低いポータブルトイレを選択すると、ベッドボードの下に収まる。
収納
右側の家具の扉付き収納
MRは収納スペースも充実している。まず両側の家具には様々な収納スペースが用意されており、小型の食器等を収納できる。
12Vの炊飯器「タケルくん」を想定した収納スペース(写真:バンレボ)
また、12Vの炊飯器「タケルくん」や電子ケトルに合わせた収納スペースも用意されている。そのほか棚やマガジンラックも用意されており、収納が貧弱なキャンピングカーよりはるかに充実している。
ベッド下の収納スペース
更に、ベッド下は大きな収納スペースになり、大き目のバッグ等を収納しておくことができる。2列目シートをフラットにした場合も下に多少収納スペースができる。加えてベッドボードを取り除くと、大きな荷室ができる。
空調
FFヒーターが標準装備される。FFヒーターはキャンピングカーでもほとんどがオプション設定であるだけに、MRに標準装備されるのは素晴らしい。FFヒーターは車中泊では必要な装備で、冬だけではなく早春や晩秋にも使うことが多い。
さすがに冷房設備の搭載は難しく、冷房のソリューションは用意されていない。またベンチレーターもオプション設置されていない。
テレビ/ナビ
ルーフに取り付け型のフリップダウンモニターとナビ、ETCなどが30thアニバーサーリーモデルに標準装備される。ナビはノアなどにオプション設定されている10型フルセグチューナーナビが用意されているが、好みのナビを指定することもできるだろう。
なお、ナビをメインバッテリーとサブバッテリーで切り替えることができるリレーもアニバーサリーモデルに標準装備される。
電装系
後部に搭載された電装系とFFヒーター(写真:バンレボ)
105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電、外部100V入力とバッテリーチャージャー、2000Wインバーターが全て標準装備される。また、160Wのソーラーシステムもアニバーサリーモデルに標準装備される。ハイブリッド車はもともと標準装備。
これだけ装備されていればオプションで追加する電装系は無いが、2000Wインバーターは矩形波タイプなので、パソコンやスマートフォンの充電などをする場合は(多少高価だが)正弦波インバーターに交換してことをお勧めする。
またサブバッテリーの増設ができないが、オプションで190Ahのものに交換することができる。炊飯器や電子レンジを良く使う場合はこちらにしておくと良いだろう。
価格(2021年2月現在:千円台切り上げ)
最も安価なのはノアX 2WDで370万円~。アニバーサリーモデルは410万円~。ノア ハイブリッドGは445万円~。
ビデオのエスクァイアGi 2WDアニバーサリーモデルは492万円~。エスクァイアGi標準モデルが448万円~なので、 アニバーサリーモデルは44万円高となる。ナビやフリップダウンモニターは指定品になる。
他モデル
エスクァイア、ノア、ヴォクシーベースのミニバンキャンパーは東海特装車のクロス シティ カプセル、ホワイトハウスのデイズ(ノアX JOY:387万円~)が挙げられる。
MRに最も近いコンセプトはデイズ JOYで、シンクや電子レンジも搭載している。ただ収納はMRほど充実しているわけではなく、むしろMR-2(ノアX:310万円~)に近い。従って、MRに匹敵する装備を持つエスクァイア、ノア、ヴォクシーベースのミニバンキャンパーは他に見当たらない。
まとめ
MRはミニバンベースのキャンピングカーで最も装備が充実したモデルと言える。外観は通常のミニバンなので、当然目立つことなく日常使用でき、休日には、ギャレーや冷蔵庫、電子レンジまで搭載し、収納も充実したキャンピングカーとして、長期旅にも対応できる。
ポップアップルーフバージョンも用意されており、この場合はルーフベッドも併せて4名が就寝できるのでファミリーでの車中泊も可能となる。
ミニバンのノアX 2WD(8人乗り)が233万円~なので、MRは単純計算では137万円高価なことになる。これは相当な追加出費となるが、これにより休日の行動範囲が大きく広がり、新しい楽しみが増えるなら、妥当か価格かもしれない。
なお、ポップアップルーフバージョンは更に100万円高となる。ここまで来るとノーマルのノアがもう1台買えることになるが、ファミリーで車中泊できるミニバンベースのキャンピングカーとしてはほぼ完ぺきなモデルが手に入る。
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