MOBY DICK(モビーディック SH#01)はFLEX(フレックス)が製作する、ハイエース スーパーロングをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社はハイエースやランドクルーザーの販売やカスタマイズを行っているが、オリジナルのキャンピングカーも製作している。それが「MOBY DICK」シリーズで、ハイエーススーパーロングと、標準ボディハイルーフの2種類のボディサイズをラインアップしている。
現在「MOBY DICK SH#01」、「MOBY DICK SH#02」、「MOBY DICK NH#01」、「MOBY DICK NH#02」、「COMCAN」の5モデルをラインアップしている。
「SH」はスーパーロングを、「NH」は標準ボディハイルーフをベース車にし、「01」は2列目にマルチモードシートを配置するレイアウト。「02」はマルチモードシートは持たず、後部に横座り対座ダイネットを持つレイアウトを採用する。なお。「COMCAM」はスーパーロングのワゴンモデルのコミューターをベース車にしている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
「MOBY DICK SH#01」はハイエース スーパーロングをベース車にする、バン・コンバージョン キャンピングカー。2列目にマルチモードシートを配置し、後部にギャレーキャビネットと、向かい合うベンチシートを配置する。
シンプルな装備で手頃な価格を実現しているが、40L上開き式冷蔵庫や105Ahサブバッテリーなど、キャンピングカーとして基本的な装備は標準装備する。
マルチモードシートを設置しているので、ファミリー全員が前向き乗車でき、チャイルドシートの装着もできる。小さな子供連れのファミリーに適したレイアウトと言える。
アピールポイント
・2列目に3人掛けのマルチモードシートを配置、5名が前向きに乗車できる
・2種類の家具色から選択可能
・大きなギャレーキャビネット
・40L上開き式冷蔵庫を標準装備
・電子レンジをオプションで設置可能
ベース車とエクステリア
モビーディック SH#01のエクステリア
ベース車はハイエース スーパーロング特装。ボディ外側への架装はなく、外観はノーマルのハイエースと変わらない。
インテリア
濃い木目の家具を選択したインテリア
展示車は上の写真のように、濃い木目の家具とグレー系のシート地の組み合わせ。インテリアカラーは明るい木目と濃い木目の2種類から選択できる。
オーバーヘッド収納の横のスポットライト
照明はメイン照明にバーライトを採用。ダイネットテーブルを照らすお洒落なスポットライトも用意されている。
レイアウト
モビーディック SH#01のレイアウト
2列目に3人掛けマルチモードシート、後部にギャレーキャビネットと、それに向かい合ったベンチシートを配置する。2列目にマルチモードシートを置くことにより、前向き乗車できる人数を確保、ファミリーで長距離を乗車できる。
後部は広いギャレーでファミリー分の調理も可能。ベンチシートもあるので、全員がゆったり寛げる
ダイネット
後部のみベッドモードにしたダイネット
2列目シートを後ろ向きにするとベンチシートとでL字型のダイネットを形成する。ダイネットテーブルも標準装備される。
後部のみベッドモードにすると、フラットフロアのセカンドダイネットになり、子供やペットが遊べる空間になる。
ベッド
大人2名と小さな子供2名が就寝できる
シートを全てフラットにすると、前部が1520x1200mm、後部が1945x1100mmのベッドになる。即ち大人2名なら、マルチモードシートをベッド展開しなくても就寝できる。ただし、後部ベッドの幅は1100mmなので、家庭用のセミダブルベッドの幅(1200mm)に満たない。
前部のベッドは身長方向(車幅方向)が1600mmに満たないので子供用ベッドにはカウントされないが、小さな子供なら2名が就寝できる。
就寝定員は大人3名となっているが、大人3名の就寝は厳しい。大人2名と子供2名が現実的だろう。なお、このスタイルのレイアウトでよくある、上段ベッドボードオプションは用意されていない。
ギャレー
後部右側のギャレーキャビネット
後部右側には大きなギャレーキャビネットが設置されている。シンクや冷蔵庫には上蓋があり、使用しない場合は大きなカウンターとして使用できる。もちろん調理する場合は広く使いやすいキッチンになる。
シンクの下の給排水タンク
ギャレーキャビネットの前部の端には丸形のシンクとフォーセットがビルトインされている。シンクの下には、各10Lの給排水タンクが収納されている。エントランスから離れており、マルチモードシートもあるので、タンクの出し入れは多少面倒だが、10Lなので非常に重いということは無いだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
40L上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L上開き式が標準装備される。冷凍か冷蔵かの切り替えができるが、横開き式のように冷凍室が独立していないので、冷凍と冷蔵を同時にはできない。
電子レンジはオプションで装備できる
電子レンジはオプションだが、ギャレーキャビネットにすっきり収納できる。位置的にも使いやすい。なお、1500W正弦波インバーターはオプションなので、サブバッテリーで使いたい場合はインバーターも装備する必要がある。
多目的ルーム
モビーディックSH#01に多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを乗せておくことはできる。後部ベッド下に入れておけば目に触れることはない。小さな子供がいる場合は有用だ。
収納
ギャレーキャビネット上の収納
オーバーヘッド収納はギャレーキャビネット上に標準で設置されている。オプションで、左サイドに追加することも可能で、同様の3連のオーバーヘッド収納が設置できる。ダイネット上にも設置するスペースがあるが、ここに設置するオプションは無いようだ。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットにも扉付きの収納が用意されている。あまり大きくないが、食器や調理用具、あるいは食料品を収納しておくことができる。
ベンチシート下の収納
ベンチシートの後部には一角だけ収納スペースになっている。ベッドマットを外して車内からアクセスできるが、リアゲートを開けて車外からアクセスすることもできる。
ベンチシート下の引き出し収納
ベンチシート前部には引き出し収納も用意されている。引き出し式なのですぐにアクセスでき、便利だ。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで用意されているが、冷房のオプションは用意されていない。モビーディック SH#01は充実した装備を追い求めるコンセプトではないが、ユーザーの選択肢としてオプション設定が望まれる。
テレビ/ナビ
テレビはオプション設定が無いが、取り付けることはできるだろう。ナビは好みのものが装着できる。
電装系
標準では、105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。外部電源入力も標準装備されるが、これによる充電機能はオプション。
350W、1500W正弦波インバーターがオプションで用意されている。電子レンジを装備し、サブバッテリーで使用する場合は1500Wのものを選択する。電子レンジを装備しない場合でも、1500Wを選択しておけば安心だ。
サブバッテリーは、オプションでディープサイクルバッテリーをもう1個追加できるので、選択しておくと電気の心配が軽減する。
価格(2023年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATは513万円~。4WDやディーゼルの価格は下の比較表を参照いただきたい。
付けておきたい必需オプションは、外部電源による充電機能(69,300円)、1500W正弦波インバーター(167,200円)、FFヒーター(286,000円)、マックスファンベンチレーター(110,000円)が挙げられる。
予算に余裕があれば、追加サブバッテリー(34,100円)、ソーラーシステム(141,900円)、追加オーバーヘッド収納(82,500円)、必要に応じて電子レンジ(50,600円)が挙げられる。
他モデル
ハイエーススーパーロングのバンコンで、モビーディック SH#01と似たレイアウトを持つモデルをピックアップすると、RVグランモービルのカーサツーリング(価格不明)、RVトラストのTR540Sリラ(754万円~)、リンエイプロダクトのスーパーロングバカンチェスMoMo(591万円~:2022.4時点)が挙げられる。
カーサツーリングは2列目の2脚のキャプテンシートが特徴。リラは跳ね上げ式の上段ベッドが特徴だ。レイアウトとしてはスーパーロングバカンチェスMoMoが最も近い。
まとめ
モビーディック SH#01は、車中泊の装備を必要最小限なものに留め、日常用途にも使えるキャンピングカーをコンセプトにしている。それゆえ価格も抑えられ、比較的手ごろな価格設定がされている。
とりあえず車中泊をしてみたいというユーザーの入門モデルとしては適しているだろう。ただ、スーパーロングは日常用途に気軽に使えるかというと、取り回しの面でそうではない。もし、日常用途に使う予定があるなら、標準ボディハイルーフのNH#01の方が適している。(と言っても車高には注意)
また、穏やかな季節の1~2泊の車中泊なら良いが、クルマ旅に使うなら、FFヒーターや電子レンジ、電装系の充実などが必要で、そうすると価格は高価になってくる。このモデルに限らないが、どのような使い方をするのかを想定することが、キャンピングカー選びでは重要だ。
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