リビングストンK3プレステージは、イタリアのコーチビルダー、ローラーチームが製作する、フィアットデュカトベースのバン・コンバージョンキャンピングカー。輸入販売はフジカーズジャパンが行っている。
フジカーズジャパンは、リビングストン5プレステージを2016年に始め、ローラーチームの国内販売を開始したが、その後キャブコンのリビエラ、ゼフィーロを加え、このリビングストンK3プレステージで4モデル目になる。
リビングストン5プレステージが6mを超す全長だったのに対し、リビングストンK3プレステージは5,410mmと6mを大きく下回っている。これはハイエーススーパーロングとほぼ同じ長さで、国内では比較的運転しやすいだろう。
また、リビングストン5プレステージが、後部にダブルベッドの2段ベッドを持ち、ファミリーを意識しているのに対し、リビングストンK3プレステージは、ハイマウントダブルベッド1段のみで、ふたり旅に焦点を当てている。もちろん、ダイネットを展開すれば3人以上の就寝もできるが、展開の手間などを考えると、やはりふたり旅での使用が理想だろう。
後部のベッドルーム
レイアウトは、欧州車の例に倣い、運転席と助手席が反転してダイネットチェアになる構造で、2列目シートとでテーブルを囲むことができる。
運転席、助手席が回転して対座ダイネットになる
後部のハイマウントダブルベッドは1900x1330mmで、家庭用で言えば、ダブルとセミダブルの中間の幅。なお、リビングストン5プレステージは、ほぼ同じベッド幅で2段ベッドになっている。
後部のハイマウントダブルベッド
ギャレーコンソールは右側中央、エントランスの横にあり、2口コンロが一体になったコンビネーションシンクがビルトインされている。調理台が無いので、手の混んだ料理は難しいかもしれないが、多くの国産バンコンに比べると充実したキッチンだ。
なお、ギャレーコンソールには多くの引き出し収納が設けられており、小さな食器や皿などの収納に便利。
また、1Way/85リッター冷蔵庫が標準装備される。なお、電子レンジのオプション設定は無い。これは収納スペースを含め、是非設定して欲しいアイテムだ。
2口コンロを持つギャレーコンソール
サニタリールームは、コンパクトなボディでも輸入車のセオリー通り豪華な仕様で、カセットトイレと温水シャワーが標準装備される。また、専用の手洗いも用意されている。
サニタリールームは、スライドするジャバラウォールで囲われており、サニタリールームを使用する場合は、通路部までジャバラウォールが囲って広いスペースとなる。限られた空間をうまく使う工夫がされている。
収納は、ダイネット、ギャレー、ベッドルームの上にオーバーヘッド収納が設置されており、また大きな容積を持つので、収納力が高い。また、家具の各所に収納スペースが設けられている。そしてベッド下は大きな収納スペースになっているので、大きなバッグがあっても全く問題ない。更に、ベッドマットを跳ね上げるとバイクも積み込める。
空調は、FFヒーターが標準装備される他、ルーフエアコンがオプション設定されている。ただし、エアコンは外部電源でのみ運転可能で、バッテリーでは運転できない。難しいかも知れないが、やはりバッテリーで運転できる家庭用エアコンが望まれる。
電装系は、サブバッテリーとして105Ahの鉛バッテリーが1個標準装備されるが、オプションでもう1個追加できる。なお、リチウムイオンバッテリーは3000Wのインバーターとセットでオプション設定されている。
リビングストンK3プレステージは、扱いやすいサイズとお洒落なインテリアを併せ持つ、数少ない欧州車だ。洗練されたインテリアは国産車に無い室内を作っており、やはり一味違っている。手軽なバンコンスタイルというのも、手が出しやすい。
難点を言うなら、やはり家庭用エアコンが使えないこと。バッテリーで運転できるエアコンでないと、使用できる状況が大きく制限される。また、これはデュカトをベース車にするモデル全体に言えることだが、4WDは存在しない。
価格は659万円(税別)で、リビングストン5プレステージよりも30万円安い。ハイエーススーパーロングベースの国産バンコンとも十分戦える価格付けだ。車両サイズも含め、国産バンコンと迷うユーザーが増えるだろう。
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