7月21日から東京ビッグサイトで開催される東京キャンピングカーショー2018で、アネックスから新しいスタンダードキャブコンが発表される。
モデル名は 「Liberty(リバティ)52DB」。トヨタカムロードをベース車にし、全長5mを超えるフルサイズスタンダードキャブコンバージョンだ。
ファミリーワゴンやリコルソなどのバンコンがすぐに思い浮かぶ同社だが、キャブコンではリバティシリーズがラインナップされている。これらはハイエースをベースにしたキャブコンで、リバティシリーズといえばハイエースベースという先入観があった。
しかし今回発表されたのは、カムロードベース。 カムロードといえばどうしてもトラックのイメージがあったが、リバティ52DBは多くの人が「おっ」と思うのではないだろうか。
まず目にするエクステリアは、バンクを持っていながら実に流麗なフォルムを見せている。「バンクレス」という言葉が流麗なデザインを表すかのような表現があるが、まさにこの概念をひっくり返した感じだ。バンクの膨らみを後ろに流すことにより、躍動感があり、今までにない美しいシルエットを形作っている。
外観の美しさに目を奪われてしまうが、しかしこのモデルの最も重要なポイントは、 モーターホームのコンセプトを持つ数少ない国産モデルということだろう。
昨今はキャブコンにおいてもどんどん装備がシンプル化し、車中泊車のように見えるキャブコンも目にする中、海外のモーターホームのように車内での過ごし方に重点を置いたコンセプトで仕上げられている。
レイアウトはフロントにL字型ソファーと対座ソファーを組み合わせた広いダイネット、リアに二段ベッドの組み合わせ。そして中央にギャレーとサニタリールームを設置している。
バンクベッドもあるので、合計5名が就寝できるとしている。ハイエースベースのリバティNSシリーズにはリバティNS-SとNS-Wの2種類のレイアウトがあるが、どちらもバンクを持たないボディ。どちらかと言えば、バンクを持つリバティFSに近い構成だ。
5名就寝と前向きシートが与えられていることを見ると、ファミリー向けのコンセプトのように見受けられる。もちろんふたり旅で使うこともできるだろう。
特筆できるのは、サニタリールームと空調。
サニタリールームに関しては、カセットトイレはもちろん、標準で温水シャワーが装備されるようだ。ルーム内にある作り付けの手洗いシンクと大きな鏡は、一般的な国産キャブコンとは違った次元にある。温水の作り方や、シャワールームとトイレルームの分離など、どの程度実用性があるか今後レポートしたい。
さらに注目されるのが、空調面の充実度。今やキャブコンにルームエアコン標準装備は珍しいことではないが、これに加えFF床暖房が標準装備されている。すなわちオールシーズンを通して、快適な室内空間が保証されているわけだ。計算された照明効果も快適度に大きく貢献している。
更に電装系では、240Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されている。これも今どきの上位キャブコンには標準装備されるべきものだし、リバティ52DBはその先頭を走っている。
目先のライバルは、国産ではバンテックのZIL(ジル)シリーズだろう。バスコンやセミフルコンもターゲットに入る。しかし、その先にはやはり輸入モデルの存在がある。そのインテリアセンスにどこまで迫ったかが興味あるところだが、写真ではかなり肉薄しているのではないだろうか。そうなれば、”かゆいところに手が届く”国産車の装備が大きなアドバンテージになる。
5m超の国産スタンダードキャブコンの価格は、ジル520クルーズ(YouTube)の998万円~(車両本体価格、千円単位切り上げ、税別)は別格として、600万円~700万円台(同)が中心となっている。リバティ52DBは、装備から考えるとこの枠には収まらないだろう。しかしこれ以上高価だと、最近安価になってきた輸入モーターホームと直接競合する。どのようなポジショニングになるか、興味あるところだ。(参考:アサカゼとそのライバル比較)
(写真は同社のサイトから)