アサカゼとそのライバル比較(1/4)


日本特殊ボディ(NTB)からアサカゼが発売された。
新興のビルダーNTBがいすゞビーカムをベース車に製作するとあって、以前から注目されているモデルだ。
同社は既にビーカム1.5トンベースのサクラを発売しており、先進の2重構造シェルや独自開発のウルトラキャパシターを採用した電源システムなどが好評で、これらの技術がアサカゼにも搭載されている。

そこで、今回はこのアサカゼと同価格帯にあるキャブコン、セミフルコン、輸入フルコンを比較してみることにした。
エントリーしたのは以下のモデル。
価格はいずれもスタート価格で税別。

・アサカゼ プレミアム NTB 1266万円 (キャブコン)
・ジル520クルーズ バンテック 1070万円(税込)(キャブコン)
・ボーダーバンクス ナッツRV 1073万円 (セミフルコン)
・グローブバスGT I1 デスレフ 1140万円 (輸入フルコン)

アサカゼとの比較のため、全長は5m以上、6m未満、対座ダイネットを持ち、ハイマウントベッドか2段ベッドで、4名以上のファミリーが常設ベッドで就寝できるモデルを選択している。
この条件なら、もっと安価なキャブコンも存在するが、今回はアサカゼの価格帯での比較とした。
当然それなりのクオリティを持つモデルが揃っている。


アサカゼ プレミアム NTB


まず、アサカゼについてレビューしておこう。(詳細はこちら
いすゞビーカムをベースに製作されているのが大きな特徴で、これに新設計の2重構造シェルを架装している。
このシェルは、エアサイクルシステムと名付けられており、冬は内壁と外壁の間の空気層で断熱し、夏は強制排気してこもった熱を逃がすという、他では見られない先進のシステム。
フロアも2重構造のエアサイクルフロアになっており、夏場に悩まされる、エンジンを止めてもフロアがいつまでも熱い現象を抑えている。

レイアウトは前部に対座ダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、中央にギャレーとユーティリティールームを配置する。
ダイネットは5名着座だが、5名座るとかなり窮屈で、ゆったり座るなら3名程度となる。


ベッドは後部のハイマウントダブルベドとバンクベッド、それとダイネットを展開してできるフロアベッドで、計5名が就寝できる。
4名のファミリーなら、ダイネット展開せずに就寝できる。

ギャレーは広く取ってあり、シンクも大きいが、コンロは卓上型のカセットコンロを置くタイプで、従ってバーナーは1個。
本格的な調理をするには、やはりビルトインタイプのコンロが欲しいところである。
冷蔵庫は90リッターが標準装備。
電子レンジと、それを駆動する1500Wインバーターも標準装備される。


ユーティリティールームはあるが、カセットトイレと温水シャワーはオプション。
エアコンはビーカムオリジナルのiCOOLが標準装備されるが、これは24V仕様で車載専用に開発されたセパレートエアコンで、信頼性が優位点。
FFヒーターも標準装備される。

電装系は、24V90Ahのサブバッテリーを4個標準搭載するが、オプションでリチウムイオンバッテリーも搭載可能。
S・E・P(Special Electrical Package)システムが採用されており、効率的な充電が可能。
また620Wの大容量ソーラーパネルを標準搭載し、専用設計されたシェルに美しく埋め込まれている。


ジル520クルーズ バンテック


ベース車はビーカムのベースになった、いすゞエルフ2.0tをベースに使用しているが、ジルシリーズでエルフを使用しているのはこのモデルだけ。
ジル520はじめ他のジルシリーズはトヨタカムロードを使用している。
価格的には高くなりジル520が800万円台(ディーゼル)に対し、ジル520クルーズは1000万円を超える。

シェルはCSボディと名付けられたFRP製で、弾力性に富み、骨格を持たない構造のため、衝突時にはたわんで衝撃を和らげるとしている。
FRP製なので断熱効果も高い。

レイアウトは前部にダイネット、後部に2段ベッド、中央にギャレーとサニタリールームを持つ。
ダイネットは4名対座だが、サイドソファがあり、ここでも2名が座れる。
ただし、2名座るとやはり窮屈ではある。


後部は2段ベッドで、上段は使わない場合は跳ね上げて収納することができる。
2段ベッドは前部のスペースに余裕ができるメリットがあるが、ハイマウントベッドほどは大きなベッド下収納スペースを取れない。
それでも下段ベッドの幅が比較的広く取ってあるため、その分ベッドした収納も広くなっている。

ギャレーは、シンクと2口コンロが一体になったコンビネーション型で、シンクは標準的な大きさ。
調理は可能だが、調理スペースが殆どないのが惜しいところ。
冷蔵庫は90リッターのものが標準装備される。
電子レンジはオプション。


温水シャワーとカセットトイレは標準装備され、シャワールームは輸入モーターホームに近いサニタリールームとなっている。
湯はエンジン熱交換か電気で加熱する。


空調に関しては、FFヒーターと家庭用エアコンが標準装備される。
電装系は100Ahのサブバッテリーを4個標準装備。
400Wのソーラーシステムも標準搭載している。

 ➡ (2/4)セミフルコンのボーダーバンクスと欧州モデルグローブバスGT I1


2017.3.14