リバティ(Liberty)52DBは、2018年7月の東京キャンピングカーショーでアネックスから発表された、トヨタカムロードベースのスタンダードキャブコン。
従来にないスタイリングは、発表当初から話題になった。
当サイトでも既に記事をリリースしているが、今回は展示会で撮影した動画も含めた記事だ。
スタイリングは前回お知らせしたとおり、バンクを持ちながら、今までの同様のキャブコンとは一線を画した美しいシルエットで、新しいデザインを提案している。
トラックベースなので所詮スタイリングは限界があると思われていたキャブコンのデザインに一石を投じた形だ。
レイアウトは、前部に対座ダイネット、後部に2段ベッド、中央にギャレーとサニタリールームから構成されている。
インテリアも外観に負けておらず、淡い配色で明るいトーンながら高級感があり、欧州車のインテリアに通じるものがある。
ゆったり座れる対座ダイネット
それらを総合的に見ていると、やはりこのモデルはモーターホームを目指していることが分かる。キャンピングカーとモーターホームは何が違うのかという議論はあるかもしれないが、少なくとも日本のキャンピングカーに無く、欧州車にはあったテイストがリバティ52DBには備わっている。
今や家庭用エアコンの標準装備はニューモデルのスタンダードキャブコンなら当たり前だが、温水シャワーまで完備されたセンスの良いサニタリールームが標準装備のキャブコンは数えるほどしか無い。日本ではどこでも温泉があるからという理由で、バスコンやセミフルコンでさえオプションというモデルが多い中、リバティ52DBは標準装備としている。
標準装備の温水シャワー付きサニタリールーム
更に240Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備されている。これで家庭用エアコンは実用的な時間使える。とりあえずエアコンを付けたのではなく、多少コストがかかっても使えなければ意味がないので、納得できる選択だ。
ギャレーには2口コンロが埋め込まれており、これも最近のユーザーは料理をしないからという理由で卓上型カセットコンロにしてしまっているモデルとは考え方を異にしている。また、引出し収納が豊富に用意されているのも、食器を収納するのに便利だ。更に、跳ね上げ式調理台もスマートに装備されている。
二口コンロをビルトインし、引出し収納が充実したギャレー
そして、モーターホームのコンセプトを強く感じさせるのが、床暖房。海外の高級モデルには普通に搭載されているが、リバティ52DBにもさり気なく標準搭載されている。しかもそれは海外モデルのようにボイラーで2L程度の湯を沸かし水と混合するのではなく、床下暖房の熱で給水タンク全体の湯を沸かすという方式。海外モデルでも実用化されていない、理想的な考え方といえる。
もっとも、海外モデルのように、トイレルームとシャワールームを仕切る仕掛けが無いので、温水シャワーを使うと便器が濡れてしまうというところなどは、まだ追いついていない。
標準でほぼフル装備なので、それ以外に追加するオプションはそれほどないだろう。ただ充電に関しては特別なソリューションはなく、走行充電かオプションのソーラーシステムということになるが、どちらも大容量のリチウムイオンバッテリーを短時間に充電する能力はない。従って、外部電源を求めて停泊する必要があるだろう。できれば発電機のオプションも提案して欲しいところだ。
後部の2段ベッド
やっと国産キャブコンにもモーターホームと呼べるモデルが出現したように思える。
確かに、どこにでも温泉があり、トイレがある日本の環境で、温水シャワーやサニタリールームが必要か、という意見もあるだろうし、ほとんど料理をしないのに豪華なキッチンは不要という意見もあるだろう。しかし、これらの装備を求めるユーザーも少なからず存在する。リバティ52DBはこのようなユーザーに向けて、日本のモーターホームとはこうあるべき、という提案をしているように思える。すなわち、海外モデルでは設置スペースさえも設けられていない家庭用エアコンや、ほとんど考えられていない大容量サブバッテリーなどを標準搭載し、かつ、温水シャワーやトイレ、あるいは床暖房など海外モデルのように充実し、加えて洗練されたインテリを持つモデルだ。
価格は車両本体価格815万円~(千円単位切り上げ:2WD/4AT 税別)。おそらく直接のライバルであろうジル520は、740万円~(同)。リバティ52DBのほうが75万円ほど高価だが、床下暖房や温水システム、あるいはリチウムイオンバッテリーなどを考えると、この差は納得できるもだろう。