HANA(ハナ)1.5はタコスが製作する、トヨタ ライトエースバンをベース車に使用した、コンパクトバンコン。FRP製のハイルーフを架装しているのが特徴。
HANAシリーズには、「HANA」の他、この「HANA1.5」と「HANA2」、それにポップアップルーフ仕様の「HANA Eve(イブ)」がある。「HANA Eve」以外はすべて外観が同じハイルーフ仕様だが、レイアウトが多少異なっている。
まず「HANA」は、ギャレーに上開き式冷蔵庫が標準装備され、ルーフベッド(子供用)を持つ。すなわち、大人2名と子供2名が就寝できるファミリー向けのレイアウトだ。
一方「HANA2」は、ルーフベッドは持たず、冷蔵庫も持たない。HANAで冷蔵庫がビルトインされていた部分は収納スペースになっている。冷蔵庫がない分、ダイネットやダイネットを展開するベッド幅が多少広くなっている。大人2名しか就寝できないので、二人旅向けのレイアウトといえる。
そして今回紹介する「HANA1.5 」は、ルーフベッドを持つが、冷蔵庫は持たないレイアウト。すなわち「HANA」と「HANA2」の中間を取ったレイアウトで、ファミリーで使うが冷蔵庫は不要といった需要に応えるレイアウトだ。
コンセプト
コンパクトなボディで取り回しが楽。また広い室内の上にハイルーフで車内に窮屈感がなく、小さい子供がいるファミリー向けのレイアウトを持つ。
ポップアップルーフではなくFRPハイルーフにすることにより断熱効果を高め、寒い季節でも暖かい室内となっている他、常にハイルーフなのでポップアップルーフを上げ下げする必要がない。ただし弱点は、高さ制限のある駐車場には入れない。
エクステリア
FRPハイルーフが架装されている
HANA1.5(HANAとHANA2を含め)の外観上の特徴は、FRP製のハイルーフ。デザイン的には多少高いルーフが目立つが、違和感はない。また、右後部のウインドウは窓埋めされている。窓埋めされた室内側には大きな鏡が付いている。
展示車はホワイトのボディカラーだったので、ルーフも窓埋めもホワイトだったが、ベース車のボディカラーを選択した場合は、同色ペイントは追加料金(10万円:税別)になる。
インテリア
HANA1.5の室内
HANA1.5のインテリアは水色+薄いベージュのツートーンのシートと、明るい木目調の家具で構成されている。なお、HANA2はオレンジとグレーのツートーンのシートに変更されている。
HANA1.5をHANA2のインテリアカラーにしたい場合、これが可能かどうかの記述はないが、自由度の高いビルダーなので相談するとよいだろう。
レイアウト
2列目にマルチモードシートを配置し、後部はL字型の固定シートになっている。従ってシートはコの字型に配置されており、もう一辺にギャレーコンソールが配置されている。
ただし、前後の動線は2列目シートによって遮られており、運転席、助手席からダイネットに移動するには一度車外に出てからスライドドアから入りなおす方が簡単だ。
2列目シートを前向きにすると計5名が前向き着座でドライブできる
2列目シートを前向きにすると、計5名が前向きに座ってドライブできる。チャイルドシートを固定することも可能だ。
また、ダイネットをベッド展開すると大人が2名就寝でき、更にルーフベッドに子供が2名就寝できるので、小さな子供を持つ4名程度のファミリーで車中泊できる。
ダイネット
後部から見たダイネット
2列目シートを後ろ向きにしてできるコの字型ダイネットでは、4名程度がテーブルを囲んでリラックスできる。2名で使うなら、足を伸ばして寛げるだろう。
なお、ベッドモードにして寛ぐこともできる。この場合、テーブルの脚を短くしてちゃぶ台スタイルにすることができる。小さな子供やペットがいる場合は、こちらの方が適しているかもしれない。
ベッド
ダイネット展開したフロアベッド(写真はHANA)
ダイネットを展開すると、大人2名が就寝できるダイネットベッドになる。大きさは2000x1180mmで、家庭用ではほぼセミダブルベッドの幅に相当する。
HANA1.5にはルーフベッド(子供用)が装備されている
HANA1.5 はルーフベッドもあり、ベッドボードを並べてベッドメークする。こちらは1500x1000mmの大きさ。家庭用ベッドではシングルサイズよりも少し広い幅だが、高さが規定に満たないため、大人用ベッドとしてはカウントされない。
ギャレー
丸形シンクと収納が設置されたギャレー
ギャレーコンソールには丸形のシンが設置されている。左隣にあるのは冷蔵庫ではなく収納スペース。「HANA」には40L上開き式冷蔵庫が標準装備されるが、HANA1.5とHANA2には設置されない。
これはギャレーコンソールの奥行きをできるだけ薄くしてベッド幅を稼いでいるため。HANAでは1050mmしかないが、HANA1.5とHANA2では1180mmで、ベッド幅は13cm広くなっている。
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されており、タンクは後部車外から取り出すことができる。ちなみにHANAではシンクの位置はスライドドア側にある。
冷蔵庫/電子レンジ
HANA1.5とHANA2には冷蔵庫が装備されない。(ポータブル冷蔵庫やアイスボックスを持ち込むことができる)また電子レンジはどのモデルにもオプション設定されていない。
HANAとHANA1.5の選択基準はビルトイン冷蔵庫が必要かどうかによるが、HANA1.5では冷蔵庫の代わりに広いベッド幅を確保し、冷蔵庫はアイスボックスやポータブル冷蔵庫を持ち込むということも考えられる。
ユーティリティールーム
HANAに用意されているポータブルトイレ設置スペース
HANAには最後部右側にポータブルトイレ設置スペースが設けられている。ファミリー用で、しかも小さい子供がいる場合は、ポータブルトイレを積んでおくと便利だ。
HANA1.5ではポータブルトイレ設置スペースがない
HanaとHana1.5 にはこのスペースは設けられていないが、背の低いポータブルトイレならベッド下に収納できる可能性はある。
収納
HANA1.5のオーバーヘッド収納(対面にもある)
後部左右両側にオーバーヘッド収納が設置されており、食器など衛生的にしまっておきたいものを収納できる。また、HANAとHANA1.5 にはギャレーコンソールに収納が設けられており、ここも大きな容量がある。
シート下の収納
さらに、シート下の収納スペースにはバッグなどの荷物を収納できる。ここには後部ハッチを開けて、長物を収納することもできる。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。またベンチレーターもオプション。冷房に関しては設定が無い。
テレビ/ナビ
ナビはオプションで、持ち込みも可能。テレビはオプション設定されていないが、展示車には最後部に比較的大画面のテレビが取り付けられていた。この位置はテレビにちょうど良いかもしれない。
電装系
80Ahのサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。外部100V入力も標準装備されるが、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。
またインバーターも350Wと1500Wのものがオプション設定されている。サブバッテリーで100V家電品を使いたい場合はインバーターを追加する必要がある。
なお、ソーラーシステムはオプション設定されていない。
価格(税別)
2WD/4ATで375万円~(千円台切り上げ:税別)。ちなみにHANAは382万円~(同)、HANA2は362万円~(同)となっている。HANA1.5
は価格でも真ん中に設置されている。
必要なオプションは、FFヒーター(200,000円)、外部電源による充電機能(48,000円)、350Wインバーター(10,000円)が考えられる。
他モデル
ライトエース/タウンエースベースのバンコンで、ハイルーフを架装するモデルは他にない。HANAシリーズとコンセプトが似たモデルは、NV200バネットをベース車に使用し、FRPハイルーフを架装したエートゥーゼットのアンナか、やはりタコスのNVジャックが挙げられる。
アンナは2列目マルチモードシートを持つがルーフベッドはなく、就寝人数は2名のみ。従ってファミリーでの車中泊には向かない。NVジャックはHANAと同じレイアウトで作成されており、ルーフベッド(子供用)もあるので大人2名と子供2名が就寝できる。
まとめ
タウンエースやNV200バネットを用いたコンパクトバンコンではポップアップルーフが人気だが、HANAやNVジャックのようなFRPハードルーフも多くの利点を持つ。
例えば、ポップアップルーフのようにテントではないので風雨時も安心だし、断熱効果に優れているので、寒い季節に有利だ。
またポップアップルーフのようにいちいち上げ下ろしする手間も不要だ。ポップアップルーフの上げ下げ自体はそれほど苦にならないが、テントの畳み込みや、雨に濡れている場合の後処理など、結構面倒な点がある。
一方弱点は、常にハイルーフなので高さ制限に気をつける必要がある。地下駐車場など高さ制限のある駐車場にはまず入れない。外観が多少目立つのも、ユーザーによっては気になるところかもしれない。
HANAにはポップアップルーフ仕様のHANA Eveもあるので、見比べて見るとよいだろう。
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