FCスリーパーはMDNマドンナが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にした、バンコンキャンピングカー。
同社は大阪に拠点を置くビルダーで、ハイエースやキャラバンを中心にコンプリートカーを製作している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にしたモデルで、前部にギャレーキャビネット、後部は横座り対座ダイネットのレイアウト。左右のシートのシートバックは、跳ね上げると上段ベッドになり、左右両側が2段ベッドになる。
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫(OP)ながら電子レンジは標準装備され、クルマ旅にも対応する。また車載用12Vセパレートクーラー(CoolStar)をオプションで設置でき、夏でも快適なクルマ旅が期待できる。
乗車可能人数は10名、就寝可能人数は5名で、大人数での使用にも対応するが、片側だけ常設2段ベッドにして二人旅にも使用でき、幅広い用途に対応できる。リアルウッドを使用したインテリアは山小屋風の室内を実現している。
アピールポイント
・左右両側に2段ベッドを設置でき5名が就寝できる
・ベッドとダイネットシートの柔軟な組み合わせで、二人旅にも大人数にも対応
・リアルウッドを使用したインテリア
・標準装備の電子レンジとポータブル冷蔵庫(OP)装備可能
・セパレートクーラー(OP)を設置可能
ベース車とエクステリア
FCスリーパーのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車。基本的にボディ外側への架装は無いが、展示車にはFRPボンネットやエアログリル、バンパーガードなどの装飾が施されていた。これらは全てオプションとなる。
インテリア
リアルウッドを使用したインテリア
リアルウッドを使用した室内は山小屋風で、落ち付いたインテリアとなっている。照明はスポットライトを多用している。
ただ、窓はウッド調パネルで埋めてあるが、後部は窓が無いので暗いし外が見えないのは残念なところ。折角景色が良いところに来てもこれではもったいない気がする。窓埋めはオプションの方が良いのではないだろうか。
レイアウト
FCスリーパーの後部レイアウト
前部にギャレーを配置し、後部は横座り対座シートのダイネットになっている。ダイネットのシートバックを跳ね上げると、左右両側が2段ベッドになる。これで4名が就寝できるが、下段の中央をベッドマットで埋めると計5名が就寝できる。
乗車人数は、左右のベンチシートに各4名が乗車できるので、運転席、助手席を含めて乗車定員は10名となっている。なお、前向きシートはフロントの2名のみ。
このレイアウトの特徴は、大勢で移動、就寝できることで、キャンプ場で別にテントを張るなら、10名までが1台で移動でき、テントと車内で分かれて就寝するという使い方もできる。
また様々なベッドアレンジが可能で、2名で使用する場合、片側だけ2段ベッドにすれば、常設2段ベッドとして使用でき、ベッド展開が不要になる。更に、左右の上段ベッドは荷物置き場にして下段にベッドボードを敷けば、広いベッドが出現する。
ダイネット
左右両側にベンチシートを配したダイネット
左右両側のベンチシートは広く、6~8名でテーブルを囲むことができる。また2人で使用する場合も、室内が広く開放感があるので、長時間室内にいてもストレスが少ない。なお、テーブルはオプション(77,000円)。
ベッド
左右両側が2段ベッドになる
先述のように、左右両側が2段ベッドになる。上段ベッドのサイズは表記されていないが、ハイエースワイドボディの荷室幅が1730mmなので、下段ベッドは、家庭用ではクイーンサイズベッドの幅(1600mm)以上はある。
上段ベッドのサイズも不明だが、600mm程度と思われる。転落防護柵が無いので、(特に子供は)就寝中に落下しないように注意する必要がある。
ギャレー
広いギャレーセクション
ギャレーはエントランスの対面にあるので前が広く取られており、調理しやすい。上面にはシンクがビルトインされており、調理面が広く取られている。
常設コンロを採用したギャレー
シンクはコンロ一体型になっており、1口コンロながら常設されているので、ポータブルコンロのように使う度にセットする必要が無く、すぐに使用することができる。頻繁にコンロを使用するユーザーには嬉しい装備だ。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が備わっており、カトラリーなどを収納しておける。
シンク下の各15Lの給排水タンク
シンクの下には各15Lの給排水タンクが収納されている。エントランスの向かいで広くなっているので、タンクの出し入れは比較的楽だ。
冷蔵庫/電子レンジ
18Lポータブル冷蔵庫
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫がオプション設定されている。展示車にはHiKOKI(ハイコーキ) の25Lが置かれていた。このポータブル冷蔵庫は内部に仕切り板があり、異なる温度(例えば-18℃と5℃)で保存できる優れモノだ。
ただし、冷蔵庫の設置スペースは特に用意されていないので、電源と固定方法は考える必要がある。
なお横開き式の冷蔵庫を希望する場合は、ギャレーキャビネットの引き出し収納とその下のポータブル電源を無くせば、入るかもしれない。
電子レンジが標準装備される
電子レンジ示は標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理には便利だ。
多目的ルーム
FCスリーパーには多目的ルームは設置されていないが、ポータブルトイレを積んでおくことはできる。後部のベッド下に入れておけば目に触れることは無い。ポータブルトイレはオプションでも用意されている。(55,000円)
収納
両側のベンチシート下は全て収納になっている
オーバーヘッド収納は無いが、両側のベンチシート下は全て収納になっているので、大きな収納力がある。
ベッド下の収納スペース
更に、ベッド下も大きな収納スペースとして使用できる。かさばるキャンプ用部などをリアゲートを開けて車外から積み込むことができる。
空調
車載用セパレートクーラー(OP)
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。また、冷房は車載用セパレートクーラー(CoolStar:330,000円)か家庭用エアコン(385,000円)がオプションで用意されており、選択できる。
テレビ/ナビ
13.1型のフリップダウンモニター(OP)
展示車には13.1型のフリップダウンモニター(OP:66,000円)が搭載されていた。ナビは特に指定のものは無いようだが、好みのものを取り付けることができるだろう。またAピラーとリアゲートにスピーカーを取り付けることができる。(OP)
電装系
ポータブル電源が標準装備される
展示車にはポータブル電源のASAGAOのAS2K-JPが搭載されていたが、これは標準装備。プラグインしてシステム電源として使用できるので、照明等の電源として使える。充電は走行充電も可能だし、持ち出して家庭用電源で充電することもできる。
AS2K-JPの容量は2028Whと大容量で、これは実質的に100Ahのディープサイクルバッテリーの2個分程度に相当する。もちろんリチウムイオンバッテリーなので、経年変化も少ない。
また外部100V電源入力とこれによるポータブルバッテリーの充電も可能。なお、ポータブル電源から100Vが取り出せるので、インバーターはオプション設定されていない。
このポータブル電源にはソーラーパネル接続ケーブルが同梱されているので。ソーラーパネルからの充電も可能だが、ソーラーパネルを車載する場合の詳細はビルダーにご確認いただきたい。
価格(2022年10月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATの価格は734万円~、4WDは765万円~、ディーゼル2WDは782万円~、4WDは813万円~となっている。付けておきたい必需オプションはFFヒーター(330,000円)とマックスファン(99,000円)が挙げられる。
また予算に余裕があれば車載用12Vセパレートクーラー(330,000円)、あるいは家庭用100Vエアコン(385,000円)を搭載しておくと、夏場も快適に過ごせる。なお、ポータブル電源AS2K-JPが大容量なので、これだけで日中でも4時間程度駆動できる。夜間なら更に長時間運転できるだろう。
他モデル
FCスリーパーのように両側に2段ベッドを持つモデルは他に思いつかない。また、10名が乗車できるモデルも他にない。ただしハイエーススーパーロングで就寝人数が5名のモデルは、トイファクトリーのバーデン(651万円~)やレクビィのトップセイル(619万円~)など、多数存在する。
とにかく大人数が乗車したいという場合はFCスリーパーが最有力だ。ただ10名が乗車するようなケースがどれほどあるのかは分からないが。
まとめ
FCスリーパーは大人数(10名)の移動と大人数(5名)の就寝から、常設2段ベッドを持つ二人旅まで、多目的に対応することができる。このカバーレンジの広さは他モデルにないアドバンテージだ。
ただ、後部に前向きシートが無いので3人以上のクルマ旅(長距離移動)には向かない。また二人旅では、2段ベッドが両側にあるなど無駄な点があるし、冷蔵庫はやはり横開き式が欲しい。
考えられるシチュエーションは、ファミリーや仲間で比較的近場のキャンプ場へ行くようなケースかもしれない。近場なら横座りでも我慢できるし、キャンプ場ではちょっとした調理はクルマのギャレーと電子レンジでできる。ポータブル電源とポータブル冷蔵庫は持ち出して使用できる。テントなどのキャンプ用具も大きなベッド下収納スペースに積み込むことができる。
しかし、FCスリーパーは特定の使い方を想定して作り込んだモデルというよりは、様々な使い方に対応し、使い方はユーザーに任すというのはコンセプトかもしれない。
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