クレソンヴォヤージュは、ナッツRVのキャブコンラインアップの中で、普及モデルの位置付けにあるが、優れたコストパフォーマンスを誇り、価格が手頃な割にインテリアは豪華に見える。
クレソンヴォヤージュの上位にはクレアシリーズがあるが、これには同社独自の”EVOLUTION”システムが搭載されている。これは、オルタネーターの出力を最適化して、アイドリングだけで100Ahのサブバッテリー3個を5時間程度でほぼ満充電できるというもの。また、エアコンは走行中やアイドリングで使え、その場合も充電できる。
今回クレソンヴォヤージュに搭載されたのは、”EVOTUTION”システムの廉価版とも言うべきもので、”EVOLITE”システムと名付けられている。”EVOLUTION”システムとの主な違いは、EVOLUTIONシステムが充電器に自社製を使っているのに対し、EVOLITEシステムはC-TEK社製のものを使っていること。
EVOLITEシステム(ナッツRVのサイトから)
これによりコストを抑えているが、充電電流はEVOLUTIONシステムに比べ低く、サブバッテリーの充電時間も8.5~10時間と長くなっている。また、アイドリング中に家庭用エアコンを使っている場合、EVOLUTIONシステムでは充電できるが、EVOLITEでは充電する余裕はなくなる。更に、EVOLUTIONシステムではリチウムイオンバッテリーに対応できるが、EVOLITEシステムでは鉛バッテリーのみ対応となっている。
EVOLUTIONシステムもEVOLITEシステムも、クルマの発電機(オルタネーター)で充電する場合メリットがあるシステムであり、外部充電に関するものではない。従って、外部電源がいつも取れるような環境、即ちキャンプ場やRVパークをよく利用するユーザーにはあまりメリットがないかもしれない。しかしそうでない場合、クルマの発電機(エンジン)を有効に使用できるこれらのシステムは利用価値が高いだろう。自分のキャンピングカーの利用パターンを考えて選択する必要がある。
Type-X EVOLITEのレイアウト
クレソンヴォヤージュはレイアウトにより、Type-X、Type-W、Type-Rの3種類が選べる。Type-Xは対座ダイネットとハイマウントダブルベッド、Type-Wは対座ダイネットと後部2段ベッドおよびユーティリティールーム、Type-Rはロングソファとハイマウントダブルベッドおよびユーティリティールームを組み合わせた二人仕様となっている。
今回取り上げたクレソンヴォヤージュType-X EVOLITEは、ユーティリティールームを廃したレイアウトで、ダイネットとベッドが余裕をもって配置されている。ダイネットを展開すると、後部のハイマウントダブルベッドと合わせて4名が就寝できるので、ファミリーにも使用できる。
ギャレーコンソールには大き目のシンクがビルトインされているが、コンロは卓上型カセットコンロを置いて使用する。跳ね上げ式の調理台も用意されているので、ここにコンロを置くことができる。また90リッター冷蔵庫と電子レンジが標準装備される。
Type-X EVOLITEのギャレーコンソール
収納はダイネット上、ギャレー上、エントランス上、ベッドルームにオーバーヘッド収納が用意され、収納力が高い。また、ギャレーコンソールには引き出し収納が豊富に用意されているので、食器や小物の収納ができる。更に、ベッド下は大きな収納スペースになっており、外部と内部からアクセスできる。
空調は、家庭用セパレートエアコンの他、FFヒーターも標準装備される。
また、電装系は、ACデルコ社製ディープサイクルバッテリーを3個標準装備している。エアコンは、もちろんバッテリーだけでも駆動することができる。
なお、EVOLITE仕様ではない通常のクレソンヴォヤージュには、アバンテ仕様とグランデ仕様があり、グランデ仕様には、65リッター冷蔵庫、FFヒーター、走行用リアクーラー、ファンタスティックベンチレーター、地デジアンテナ、バックカメラが標準装備される。
クレソンヴォヤージュはグランデ仕様が558万円~、EVOLITEシステム仕様が630万円~で、約72万円の差がある。家庭用エアコンオプションは20万円程度なので、追加バッテリーを入れてもEVOLITEシステム仕様より安価ではある。外部充電が取れることが多いなら、この方法でも良いだろう。
EVOLITEシステムは8.5~10時間のアイドリングで満充電できるが、このような長時間のアイドリングは非現実的だ。やはり走行充電でいかに早く充電できるか、がポイントとなるだろう。そうすると、やはりEVOLUTIONシステムのほうが実用的ということになるだろう。