クレソンジャーニーは、ナッツRVが製作する、トヨタカムロードベースのキャブコン。ナッツRVはセミフルコンから、軽キャンパーまでラインアップする総合ビルダー。クレソンは同社のクレアに対し普及モデルの位置付けとなる。
18年ぶりにフルモデルチェンジされ、クレソンボヤージュからクレソンジャーニーとモデル名も新たになった。
コンセプト:クレソンボヤージュではFRP一体成型シェルを採用していたが、クレソンジャーニーではFRPコンポジットパネルに変更、より断熱性の向上を図っている。また同社独自の電装システム”Evolite”バージョンを設定、標準仕様とEvolite仕様が選択できる。この記事はEvolite仕様を対象としている。
エクステリア:クレアではバンクの無い「クレア スティング」シリーズも選択できるが、クレソンでは全てバンクを持つ。また、クレアでは5m以下と5m超を選択できるが、クレソンでは全てのレイアウトで5m以下となっている。ボディカラーは数色から選択できる。
落ち着いたダークオークのインテリア
インテリア:クレソンに採用されているPVC家具は、ダークオークとパウダーオークの2種類から色を選択できる。PVC(Polyvinyl chloride :ポリビニールクロライド)とは木材に樹脂シートを張り付けた素材で、汚れに強いのが特徴。シート地はベルギーリネンを採用し、多くのカラーから選択できる。
クレソンジャーニーTypeWのレイアウト
レイアウト:クレソンジャーニーのレイアウトはTypeW、TypeX、TypeRの3種類があり、TypeWは後部に2段ベッド、TypeXは後部にハイマウントダブルベッド、TypeRはセミダブルベッドとソファダイネットを持つ二人旅仕様となっている。ビデオの展示車はTypeWで、この記事もTypeWを対象にしている。
2列目シートは後ろ向き固定なので、4名が前向きに座れる。また、TypeWにはユーティリティールームも用意されており、トイレルームやシャワールームとして使用できる。
TypeWは、大人2名+子供2~3名のファミリーに適したレイアウトだ。
4名が対座できるダイネット
ダイネット:4名が対座できる他、2列目シートには三角形の延長部があり、ゆったり座れる。また、エントランス部に補助シートが設置でき、更に2名が座れる。
後部2段ベッドの下段ベッド。上段もウッドスプリングを採用
ベッド:TypeWは後部に1930x820mm(足元は720mm)の2段ベッドを配置。特筆できるのは、上下段ベッドにウッドスプリングを採用していること。適度なバネと通気性で、快適な寝心地を提供する。
また、バンクベッドはスライド式で、1,870x1,800mmの大きさ。家庭用のキングサイズに匹敵するが、簡単に引き出してベッドセットできる。ここでも大人3名が就寝できる。更にダイネットも展開して1,920x900mmのベッドになり、ここでは大人が1名就寝でき、計6名が就寝できる。
大人が2名就寝できるバンクベッド
ギャレー:エントランス横にはギャレーコンソールがあり、FRP製のシンクとシャワーフォーセットがビルトインされている。シャワーフォーセットは窓から車外に引き出して使用できる。下には各20Lの給排水タンクが収納されている。
コンロはポータブルカセットコンロが用意されているが、使用する場合はその都度セットする必要がある。
また温水キットがオプションで用意されており、これを装備すると22Lのボイラーで湯を沸かし、水と混合して湯が使える。温水シャワーが不要な場合でもギャレーだけで湯を使うこともできる。
FRP製シンクと90L冷蔵庫がビルトインされたギャレーコンソール
冷蔵庫/電子レンジ:Evolite仕様は90L冷蔵庫が標準装備され、ギャレーコンソールにビルトインされる。電子レンジも標準装備され、これはギャレー上部の棚に収納されている。
ユーティリティールーム:オプションでカセットトイレやポータブルトイレを設置してトイレルームにできる。また、ユーティリティールームは半防水処理されており、温水キットとシャワーパンを装備すると、シャワールームにすることができる。ただし22Lのボイラーなので、1回で1~2名程度の湯量しか使えない。オプションで給水タンクは60Lに変更できるが、ファミリーでシャワーを使う場合は数回沸かす必要がある。
半防水のユーティリティールーム。 トイレルームやシャワールームとしても使える。
収納:ダイネット上、ギャレー上にオーバーヘッド収納が設置されている。取っ手にはロック機構も一体化されており、走行中に中身が飛び出すことはない。
ギャレーコンソールには小物収納が無いため、食器などの小物の収納には多少不便なところがある。
下段ベッド下は大きな収納スペースになっており、車外からはもちろん、下段ベッドマットを跳ね上げて車内からアクセスすることもできる。なお、車外からは車両の両サイドからアクセスできるが、TypeXやTypeRと異なり、リアのドアは用意されていない。
空調:Evolite仕様にはFFヒーター、家庭用エアコン、ベンチレーターがいずれも標準装備される。なお、標準仕様(Evoliteではない)では、家庭用エアコンはオプション設定となる。家庭用エアコンの現実的な使用を考えると、Evolite仕様がお勧めだ。
テレビ/ナビ:テレビやナビシステムは全てオプション設定。テレビは19インチがオプションで用意されている。
電装系:Evolite仕様では、105Ahのディープサイクルサブバッテリーが3個標準装備される。また、外部100V入力と、これによるサブバッテリーの充電機能も標準装備。更に1500Wインバーターも標準装備される。
クレソンではEvolite仕様が用意されており、これにより、走行充電や8.5~10時間のアイドリングでサブバッテリ-を満充電にすることができる。なお、上位モデルのクレアにはEvolutionシステムが搭載されており、これはEvoliteの上位機能。主な違いは、満充電までの時間とアイドリングでエアコンが運転できる能力。
価格:ガソリン 2WD/ATで653万円~(税別)。ディーゼル2WD/ATで708万円~(同)、ディーゼル4WD/ATで734万円~(同)、ダブルタイヤディーゼル2WD/ATで748万円~(同)となっている。
標準(Evoliteではない)バージョンではガソリン 2WD/ATで539万円~(同)なので、86万円の差があることになる。この差は家庭用エアコン、サブバッテリー、FFヒーター、冷蔵庫、インバーター、そしてEvoliteシステムの有無だが、標準装備品の必需性を考えると、やはりEvolite仕様の方がお勧めだ。
他車:5m以下のカムロードベースキャブコンは20モデル以上あるが、同じようなレイアウトを持ち、家庭用エアコンを装備できるモデルは以下のものがある。(いずれもガソリン
2WD/AT 税別)
アンセイエ M.Y.Sミスティック 675万円~
イグアス TypeW ファンルーチェ 529万円~(TypeXのレビュー記事)
ヴォーンノインR2B 東和モータース 638万円~(レビュー記事)
クレア5.0 TypeW ナッツRV 662万円~
クレア5.0 TypeW Evolution ナッツRV 735万円~(5.3Z Evolutionのレビュー記事)
コルドバンクス バンテック 586万円~
イグアスとコルドバンクスはFRP一体成型シェル、他はアルミパネルシェルを採用している。また、イグアスとクレア5.0TypeWはエアコンがオプションで、上記価格には含まれていない。
まとめ:上位モデルのクレア5.0Wのガソリン 2WD/ATは735万円~(同)で、クレソンに比べ82万円高価だ。クレアとクレソンの違いは、概して言えばシェルがアルミかFRPかの違いと、Evolution
かEvoliteかの違いだ。しかし、クレソンがモデルチェンジし、グレード感が向上した結果、その差は小さくなった。
他社モデルを考えると、やはりモデルチェンジしたコルドバンクスが最も好敵手と言える。また、ヴォーンノインR2Bはクレアと同種のアルミパネルを採用し、Evolite同等の電装系とエアコンも標準装備して、更に価格はクレソンよりも安価だ。
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