B-SL(B-Class SupremeLine704)はHYMER(ハイマー)が製作する、フィアットデュカトベースのフルコンモーターホーム。B-Classはハイマーのラインアップの中でフラグシップに位置する最高級モーターホームだ。
日本に輸入されているB-ClassはSupremeLineだけだが、本国にはベンツスプリンターベースのB-Class MasterLineとB-Class
ModernComfortもあり、3シリーズが存在する。

B-SL704のインテリア「Grand Oak」
コンセプト:全長7mを超えるフルコンで、後部にツインベッド、前部にプルダウンベッドを持ちファミリーにも対応できる。欧州モーターホームの最高峰で、豪華なインテリアを誇る。
エクステリア:フィアットデュカトがベース車。デュカトのマイナーチェンジでエンジンが従来と同じ2.3Lながら改良されており、ATも9速に変更された。日本仕様には本国では最上位オプションとなる178PSエンジンが標準装備される。
シャシーには「HYMER SLCシャーシ」を採用、従来のAL-KOシャーシに比べ約16%の軽量化を図っている。外装パネルはアルミと断熱発泡材のサンドイッチ構造で軽量、高断熱を誇るHYMER-PUAL構造を採用している。また、フロントマスクやバンパー、ルーフ、リヤパネルにはGRP(ガラス繊維強化ポリエステル)素材を使用し、跳ね石など外的要因に弱いアルミ素材を補う構造になっている。
外装色はホワイトとシルバーメタリックが選択できる。なお右ハンドルはオプション(242,000円:税込)

B-SLのインテリア「Velvet Ash」
インテリア:欧州モーターホームのインテリアらしく、ナチュラルなトーンでまとめられている。家具色は濃い目のVelvet Ashと、明るめのGrand Oakが選択できる。またシート色も12種類から選択できる。
レイアウト:前部にダイネット、後部にベッドルーム、中央にギャレーとトイレルーム、そして独立したシャワールームが配置されている。なお、B-SL674ではトイレルームとシャワールームが一体となっている。

日本仕様には丸テーブルが採用されたダイネット
ダイネット:デュカトベースの欧州車でおなじみの、運転席、助手席が回転し、ダイネットシートとして使用できる。2列目にはL字型シートがあり、2名が前向きに座れる。更に横座りの単座サイドシートもあり、最大計6名でテーブルを囲むことができる。
なお、日本仕様には専用の丸テーブルが与えられている。

最後部に置かれたベッドルーム
ベッド:最後部のベッドルームには、各2000x820mmのツインベッドが配置される。なお中央を埋めると室内幅全てを使った広大なベッドになる。またスプリングベースのシェラフコンフォートシステムを搭載したコールドフォームベッドマットが使われており、最上の寝心地を提供する。
ダイネット上部には1940x1480mmのプルダウンベッドが装備されており、ここでも2名が就寝できる。なお標準では手動だが、オプションで電動にもできる。

3口コンロをビルトインしたギャレー
ギャレー:3口コンロと丸形シンクがビルトインされている。ギャレーコンソールはカトラリー用引き出しを含む多くの引き出し収納と、更に扉を持つ大きめの収納があり、食器や鍋などの調理用具は全て収まる。
なお、ガスは8kg LPガスボンベ 2本を搭載する。
冷蔵庫/電子レンジ:153Lの3Way2ドア冷蔵庫が標準装備される。また、グリルオーブンも標準装備。ただし電子レンジはオプションになる。

専用手洗いを持つトイレルーム
サニタリールーム:B-SL704と708はトイレルームと独立したシャワールームを持つ。トイレルームには電動カセットトイレと専用の手洗いが装備される。
給水タンクは凍結防止180Lなので、ファミリーでシャワーを使っても十分に足りる。ただし瞬間湯沸かしではないので、ファミリーで温水シャワーを使う場合は何度か沸かす必要がある。

奥行きがあり大きな収納力を持つオーバーヘッド収納
収納:ダイネット上、ギャレー上、およびベッドルーム3面に大容量のオーバーヘッド収納があり、十分な収納力を持つ。またギャレーコンソールには豊富に引き出し収納が用意されており、食器や大きな調理器具も収納できる。更に長いコートも収納できるクローゼットも用意されている。
ベッド下には両側からアクセスできる巨大な外部収納があり、自転車などの大きな積載物も余裕で収納できる。

自転車も積めるベッド下の外部収納
空調:暖房は温水ボイラー兼FFヒーターが標準装備。冷房はルーフエアコン (327,800円:税込)か、ルーフセパレートエアコン(473,000円:同)が選択できる。ただしこれらは外部電源を前提にしているので、外部電源が無いところでは基本的に使えない。外部電源が無いところでも使うためには、冷蔵庫などの家電品も含め、電装系の強化が必要となる。
なお、床暖房は装備されていない。
電装系:95Ah AGMバッテリー2個が標準装備される。AGMバッテリーは高性能ではあるが、冷蔵庫やFFヒーター、電子レンジ多用する場合はこれだけでは多少心もとない。
セパレートルーフエアコンがバッテリーでどの程度運転できるか不明だが、やはりリチウムイオンバッテリーが理想的だ。リチウムイオンバッテリーや家庭用エアコンについてはオプションリストに掲載されていないので、ディーラーに確認すると良いだろう。
価格:B-SL704の車両本体価格は1650万円~(税別)。オプションで付けておくべきものは、やはりエアコンだ。ただし、家庭用エアコンを後付けする場合は、それなりの工事が必要となる。
1500W正弦波インバーターもオプションなので、外部電源が無いところで100V家電を使うためにはこれも搭載しておく必要がある。
他車:7m~8mの輸入フルコンモーターホームでは、
ESPRIT i7150-2 EB デスレフ(1680万円:同)
SONIC SUPREME710SL アドリアモービル(1448万円~:税別)
が匹敵する。いずれもツインベッド仕様でプルダウンベッドを持つ。
まとめ:ハイマーのモデルだけあって、全てがハイグレード。欧州のユーザーなら特に問題は無いだろう。ただし、日本では多少事情が異なる。日本には欧州のようにキャンピングカーに適した施設が非常に少なく、またガスボンベの充填は、出先ではまず期待できない。また殺人的な暑さの日本の夏にはバッテリーで動作するエアコンシステムは必須だ。
これを満足するには、家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーの組み合わせが理想的。しかし残念ながらB-SL704のオプションリストには記述がなく、価格はもとより可否も分からない。(デスレフは両方とも記述されている)輸入車であっても冷房がどのように使えるのか、明確な記述が欲しい。
また、大きな外部収納の扉は横に開くので、国内の狭い駐車場では非常に使いにくい。このあたりはバンテックのV670のように上にスライドする方式を採用してほしいものだ。
輸入モーターホームは国内で如何に快適に使えるかがキーポイントなので、快適化に関してはディーラーの対応が非常に重要になってくる。欧州のビルダーも少しは日本のマーケットを見て欲しいものだ。本国でも使えるアイデアは多くあると思う。
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