Bergen(ベルゲン) Casa Home Style Editionはトイファクトリーが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社は「バーデン」などハイエースを中心にしたバンコンをラインナップしているが、「Bergen:ベルゲン」は新たに登場したレイアウトモデル。
Bergen(ベルゲン)はノルウェー西岸にあるノルウェー第2の都市の名前で、美しい三角屋根の街並みが世界遺産にもなっている。ハイエースのフロント左側のロゴ(動画参照)もこれを表したものだ。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
同社の「ランドティピー」のサイドギャレーダイネットと「バーデン」のハイマウントダブルベッドをドッキングしたレイアウトを「ベルゲン」として新たにラインアップに加えた。また同時にオプションで「With
Pet」とネーミングされたシート生地をオプション設定。
展示車は「With Pet」を採用しているためペット仕様になっているが、ベルゲンがペット専用のレイアウトということではない。「With Pet」生地は他のレイアウトにも対応できる。
エクステリア
ベルゲンのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロングのキャンパー特装車を使用。同社の他のスーパーロングモデル同様、右側はエクステンションウインドウを標準で架装している。これにより室内が広く見えると同時にアクリル窓で断熱性を高めている。
またオプションだが、ソーラーパネルは同社独自のボディと一体になった「エアロソーラーシステム」でルーフ後部に取り付けられており、一目で同社のモデルと分かる。約30万円程するオプションだが、これはできれば付けておきたい。
インテリア
ブルーの「With Pet」シートを配置したインテリア
展示車には、新たに発表された「With Pet」とネーミングされた生地を装着したシートやベッドが採用されている。「With Pet」は特にペットと旅行するユーザー向けに、汚れにくく、爪などの引っ掻きにも強い生地を特徴としている。
これはオプション(11万円)で、ベルゲンに限らず他のレイアウトモデルにも適応できる。色はこのブルーの他、グレーンとグレーが選択できる。ペット以外でも、小さな子供がいるファミリーにも有用なオプションだ。
なお、展示車はCasa Home Style Editionで、バーデンCasaなどのCasa仕様と同様、国産ヒノキを使用した天然素材のフローリングやキッチンに美濃焼タイルが使用されている。
レイアウト
ベルゲンは現在の「バーデン」、「GT」、「ランドティピー」、「コルドバクルーズ」、「アルコーバ」に加えて新たに登場したレイアウトモデルで、前部はランドティピーのサイドギャレーと対座ダイネット、後部はバーデンのハイマウントダブルベッドを併せ持ったレイアウトとなっている。
トイファクトリーのスーパーロングモデルは全て対座ダイネットを持つが、バーデンの2列目シートは3人掛け1200mmに対し、ランドティピーはサイドギャレーがあるため900mm2人掛けとなっている。
即ち、ベッドにした時はバーデンの方がベッド幅が広い。ベルゲンはランドティピーと同等のダイネットなので、やはりベッド幅がバーデンより狭いことになる。バーデンは広いダイネットが特徴で、ランドティピーは後部まで続く広いフロアベッドが特徴だったが、この2点はベルゲンでは失われる。
一方、ベルゲンはバーデンに対しサイドギャレーとなり、ランドティピーに対しては常設ダブルベッドが与えられベッド展開が不要になるというメリットがある。また、ベッド下に大きな収納スペースが得られるのも大きなメリットだ。
なお、ベルゲンはランドティピー同様6名乗車、3名就寝となっており、二人旅や小さな子供がいるファミリーに向いている。
ダイネット
サイドギャレーがあるダイネット
ベルゲンのダイネットの特徴は、ランドティピーと同じようにサイドギャレーがあること。ダイネットに居ながらにしてギャレーに手が届く。冷蔵庫や電子レンジにも手を伸ばせば届く。
なお、2列目シートは前向きにすると2名が前向き乗車でき、計6名が前向きに乗車してドライブできる。
ベッド
ダイネットを展開したフロアベッド
2列目シートをフラットにすると、大人が1名就寝できるフロアベッドになる。ベッドサイズは不明だが、2列目シートが900mmなのでベッド幅も900mmとなる。これは家庭用のシングルベッドサイズに相当する。
フルベッド状態では下段に3名就寝できる
また、後部のハイマウントベッドは、これもサイズが不明だが、大人が2名就寝でき、ダイネットベッドと合わせて計3名が就寝できる。なお、エクステンションウインドウで車幅が拡張されているので、車幅方向に就寝できる。
ギャレー
ギャレーコンソールには引き出し収納が備わる
ギャレーはランドティピーと同様で、シンクと上開き式40L冷蔵庫が標準でビルトインされる。コンロは無く、8ナンバー取得のための調理器具は電子レンジとなっている。同社の他のモデル同様、コンロで調理することは想定されていない。
また、ギャレーコンソールには引き出し収納が用意されており、カトラリーや食器を収納しておける。ただ、これらの引き出しは対座ダイネットにすると引き出しにくくなるのが難点ではある。
冷蔵庫/電子レンジ
40L上開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L上開き式冷蔵庫が標準装備される。同社のスーパーロングモデルは全て上開き式冷蔵庫が採用されている。上から取り出せるので取り出しやすく、また冷気が逃げないのが利点だが、冷蔵と製氷が同時にできないのが難点。冷蔵庫として使っている場合は、氷は買って来なくてはならない。
また電子レンジは標準装備される。家庭用の100V仕様の電子レンジなので、温める時間も短くて済む。ただしオプションの1500Wインバーターを装備しないと、外部100V電源が取れるところでないと使用できない。
ユーティリティールーム
ベルゲンはバーデンやランドティピー同様、ユーティリティールームを持たない。しかし子供の急なトイレ用にポータブルトイレを乗せておくことは全く問題ない。後部ベッド下にスペースが十分にある。
収納
ギャレー横の収納
ベルゲンには新たにギャレーと後部ベッドの間に収納棚が設置された。ここには電子レンジも収納されている。電子レンジの上に2段、下に1段の収納棚が用意されており、いずれもジャバラ扉を閉めることができ、収納物が飛び出さないようになっている。
また、後部ベッド上にはオーバーヘッド収納が設置されている。ランドティピーにはオーバーヘッド収納が無かったので、これも大きな改善点だ。
後部ベッド下の大きな収納スペース
さらに、後部ベッド下左右に収納家具が用意されている。これらはバーデンにも装備されているもので、多くのものを仕分けして収納しておくことができる。また、中央にはキャンプ用品など大きな荷物を積むことができる。
空調
家庭用エアコンがオプション設定されている
暖房はFFヒーターが標準装備されるほか、冷房は同社のクールコンプシステムとして家庭用エアコンがオプション設定されている。室内機はギャレーの上部に、室外機は後部床下に設置される。ベンチレーターはオプション。
テレビ/ナビ
19インチのテレビがオプション設置されており、ギャレーサイドに設置できる。ナビはオプション。
電装系
100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個標準装備される。オプションで増設も可能。家庭用エアコンや電子レンジを搭載する場合は、少なくとも2個搭載する必要がある。なお、同社ではリチウムイオンバッテリーのオプション設定はしていない。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATは646万円~。付けておきたいオプションは、高価ではあるがやはりクールコンプシステム(家庭用エアコン)は選択したい。ベルゲンでは価格が不明だが、他のモデルから推測すると40万円程度だ。
また、1500Wインバーター(17万円程度)やMAXファンベンチレーター(8万円程度)も挙げておきたい。
なお、トイファクトリーのモデルの象徴とも言えるエアロソーラーシステム(約30万円)は、ぜひ装備したい。
他モデル
ハイエーススーパーロングをベース車にし、対座ダイネット、後部ハイマウントダブルベッド、エアコンが装備できるモデルは、同社のバーデンや、バーデンと同じレイアウトのモデルを含め多く存在する。
しかし、ダイネットサイドにギャレーを持ち、かつハイマウントダブルベッドのモデルは限られており、キャンパー鹿児島のレムBV(537万円~)、レムセカンドアクト(702万円~)と、ホワイトハウスのコンパスドルク(629万円~)くらいしかない。
レムシリーズではレムセカンドアクトは家庭用エアコンとリチウムイオンバッテリーを標準装備している。また、コンパスドルクはP-COOLバージョン(649万円~)でウインドウクーラーとAGMバッテリー(100Ah x3)が標準装備される。
まとめ
バーデンとベルゲンを比べると、他モデルの多さから言ってもバーデンの方が圧倒的にメジャーなレイアウトと言える。ベルゲンを選ぶ理由を挙げるとすると、ギャレーや冷蔵庫が手近にあるということに尽きる。
トイファクトリーのモデルはどれもコンロを使うことはあまり想定されておらず、また冷蔵庫も上開き式なので、調理をすること自体あまり想定されていないように思える。それでもバーデンは左サイドにギャレーを持ち、ギャレーの前に立って調理できる。しかしベルゲンではそれもできない。
従って、多少調理をするならバーデン、ほとんどく調理しないならベルゲンという選択肢になるだろう。しかし、一般的な見方をするとバーデンのレイアウトの方が使いやすいように思われる。同社のレイアウトでもランドティピー以外はすべてギャレーが左側にあることからもそう言えるのではないだろうか。
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