2-8. 暑くないの? 寒くないの?


キャンピングカーと言ってもクルマですので、夏は暑いし、冬は寒いです。バンコンスタイルのキャンピングカーは、全面鉄板で覆われたクルマですので、より外気温の影響を受けやすいと言えます。

キャブコンでは、多くの場合、ある程度断熱処理が施されたFRPやアルミ合板で作られていますので、バンコンほどではないにしても、エアコンの無い部屋にいるのと同じですので、やはり快適ではありません。

なお、バンコンでも、多くのビルダーでは、車体の鉄板の隙間に断熱材を充填したり、あるいは窓ガラスの部分を加工したりして、できるだけ断熱性を高める努力はしていますので、通常のミニバンよりは改善されています。

 Webasto(べバスト)のFFヒーター

そこで、暖房に関しては、クルマのエンジンを止めていても寒くないように、”FFヒーター”というものがあります。クルマのガソリンタンクからガソリンを引いて、燃焼させることにより温風が出てきます。FFですので、排気が車内に入ってくることはありません。

冬場はもちろんですが、春先や秋口には、夜に気温が下がる場合も多く、FFヒーターがあると暖かく過ごせます。ビルダーやモデルによってはオプション設定されている場合がありますが、これは是非装備することをお勧めします。

一方、冷房に関しては、キャンピングカーの世界は遅れていると言わざるを得ません。そもそもキャンプに行くクルマという位置付けだったため、涼しいところに行くのが前提で、冷房は不要なはずだったわけです。

アウトドアを満喫しようとしているのに冷房なんて、という意識もあったかもしれません。しかし、昨今の夏の暑さは異常です。家の中でも熱中症が心配されるのですから、クルマの中で暑さを我慢していると危険でさえあります。

最近では「グランピング」という言葉の通り、キャンピングカーにも快適性が求められています。そこでエアコンの搭載が進んでいます。

キャンピングカーで使われるエアコンは、家庭用エアコンが主流です。日本の家庭用エアコンは効率が良く軽量でもあります。
家庭用エアコンが使われる理由はもう一つあり、サブバッテリーで運転できることです。外部電源設備が乏しい環境ですので、バッテリーで運転できることが必須です。

 ハイエース標準ボディハイルーフに装備した家庭用エアコン プラスLV レクビィ

しかし、省電力化が進んだと言ってもエアコンは電力を食う機器ですので動作時間は限られています。それでもキャンピングカーにエアコンを搭載してサブバッテリーで動作させることが現実的になったわけです。

家庭用エアコンの難点は、室外機を収納するスペースが必要なことで、このため、ある程度大型のキャブコンを中心に搭載車が増えていきました。
現在では、カムロードクラスのスタンダードキャブコンには、ほとんど装備ができるようになっています。

バンコンではハイエーススーパーロングくらいの大きさなら、搭載するモデルが増えてきました。中には標準ボディのハイルーフに搭載したモデルもあります。

さて、室外機の収納場所を確保できたとしても、残る問題はサブバッテリーです。一般的に、ツインバッテリーで家庭用エアコンが動かせる時間は、外気温が30℃で3時間程度です。

ただ、これはエアコンのみの前提ですので、他の電気製品、例えば冷蔵庫や電子レンジを使うと、エアコンを運転できるのはごく短時間です。
更に一般的に使われるディープサイクルバッテリーは経年変化があり、エアコンのような大電力で使い続けると2年程度で容量が激減します。

最近ではリチウムイオンバッテリーがキャンピングカーにも使われ始めました。リチウムイオンバッテリーは大電力に強く、また経年変化も少ないので、エアコンを実用的に使えます。
このように、キャンピングカーにもエアコンが搭載できる環境が整いつつありますので、今後はますますエアコン搭載車が増えていくと思われます。

 

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