キャンピングカーショーでのチェックポイント


キャンピングカーを選択する場合のケース別選択ポイントを「失敗しないキャンピングカー選び」で説明したが、今回は実際にキャンピングカーを見る上でのチェックポイントを考えてみたい。

キャンピングカーショーでのチェックポイント


キャンピングカーショーに行くと、ついついインテリアの好みや外観の格好良さに目が奪われて、本質的なところを見失ってしまう。例えば、インテリアを気に入って購入したが、実際に使ってみると毎回のベッド展開に疲れ果ててしまったとか、意外に収納場所がなく、荷物が車内に溢れているといったケースがある。
そのような失敗を避けるため、ショー会場で展示車を見るときのチェックポイントを上げてみた。

車庫に入るか?
NV200バネットハイエースでも標準ボディクラスなら、一般的なミニバンとあまり変わらないサイズなので、比較的イメージしやすい。
しかし、ハイエーススーパーロングになると、ミニバンが入ったからと言って入るとは限らない。特にスーパーロングは小回りが苦手なため、車庫入れに苦労することがある。また、キャンピングカーは一般的に高さがあるので、車庫近辺に障害物が無いかもチェックしておこう。

使用方法に適したレイアウトか?
ファミリーで使うか、二人で使うか、あるいは一人で使うかによってレイアウトが異なる。二人で使うのにファミリー向けのレイアウトを選択してしまうと、いろいろなところで無駄が多くなる。これに関しては、前回の記事を参考にして欲しい。

前後の動線は確保されているか?
特にバンコンで車幅方向に幅が広い2~3名掛けのマルチモードシートが配置されている場合、運転席から後部に行くのが困難な場合がある。ふたり旅専用の場合は、ロングソファタイプのダイネットをお勧めする。
また、ギャレーが前部にあるレイアウトで、同様に運転席から後部に行くのにギャレーコンソールが邪魔になることがある。前後の動線が確保されているか確認しよう。

ロードセレクトWM カスタムセレクト

 ロードセレクトWM カスタムセレクト 前後の動線が確保され移動しやすい

前向き着座できるか?
ファミリーで使用する場合は、ミニバンや乗用車のように全員が前向き着座できるレイアウトをお勧めする。キャンピングカーの多くは商用車をベース車に使用しており、後部座席の乗り心地は良いとは言えない。しっかり身体をホールドできるシートでないと気分が悪くなる。また、安全面からも前向き、あるいは後ろ向き着座が有利だ。

 ボンド(Bonds) ダイレクトカーズ マルチモードシートは前向きにも後ろ向きにもなる

ベッド展開はし易いか?
特にバンコンでは、ダイネットを展開してベッドにすることを前提にしているモデルが多い。パズルのようにベッド展開するモデルもあり、それを毎回やることになる。問題はそれを人が乗ったまま、荷物がある状態でも簡単か、ということだ。雨が降ったら、車内で行う必要がある。できれば常設ベッドが設置されているモデル、あるいはベッド展開が簡単なモデルを選びたい。

 PopCom キャンピングカー広島 背もたれがスイングしてワンアクションでベッドに

実際に使う人数で乗ってみる
キャンピングカーの室内はハイエース標準ボディでも3畳間に満たない。ここにファミリーで長時間過ごすことになる。特にダイネットは長時間座っていても窮屈さを感じないかチェックしよう。なお、ルーフの高いモデルやポップアップルーフ装着モデルを選ぶと、圧迫感が格段に減る。

ベッドで実際に横になってみる
キャンピングカーのベッドは、ベッド幅500mmで一人分と計算される。従ってダブルベッドと言っても家庭用セミダブル以下の場合もある。実際に横になってみることで、実感がつかめるだろう。2段ベッドならプライバシーが保てる。

 銀河 オーエムシー 2段ベッドはプライバシーが保てる

寝具は普段どこに置いておくか?
シュラフ(寝袋)派のユーザーはあまり大きな問題ではないが、フトン派のユーザーは寝具を使わない時はどこに置いておくかを考えておこう。ベッドをダイネットに展開すると、寝具はベッドに残しておくことはできない。フトン派のユーザーは常設ベッド設置モデルがお勧め。

 ACSリトルノオクタービアM RVビックフット 常設ベッドなら寝具をそのままにしておける

荷物があることを忘れるなかれ
ショーで見るキャンピングカーは実際に使う状態ではない。実際に使う場合は、衣類を入れたバッグ、食料品、あるいは寝具など、場所を取るものが積まれる。それらはどの場所に収まっているべきか、を考えよう。例えば収納が少ない場合でも、常設ベッドがあれば昼間はベッドの上に荷物をおいておくことができる。

雨の日のことを考える
屋内で行われるキャンピングカーショーでは、ついつい雨が降ることを忘れてしまう。もし雨が降ったら、今やっていることはできるのか、を考えてみよう。例えば、ベッド展開やフロントシートの回転は、雨が降ればそれを車内でやらなければならない。荷物や人の退避場所があるかチェックしよう。

収納スペースは豊富に用意されているか?
収納スペースは大きく分けると、オーバーヘッド収納、ギャレーコンソールの収納、シート下の収納、ベッド下の収納などがある。一方、収納するモノとしては、衣類、寝具、食器、調理器具などがある。これらのものを収納しておくだけの収納スペースが無いと、車内が荷物で煩雑になってしまう。車内で食事をする場合は、箸やスプーン、マグカップなど小さな食器を収納する適当な収納スペースがあるかをチェックする。

 Alen Type1 エートゥゼット 小物の収納スペースがあると便利

キッチンは実際に使えるか?
車内で調理する場合は、調理のための十分なスペースがあるかをチェックする。最近では卓上型カセットガスコンロをいちいちセットするタイプが多いが、頻繁に調理する場合は面倒だ。調理する場合は常設のガスコンロ設置モデルが好ましい。

 コンパスハイルーフ ホワイトハウス 常設ガスコンロがあるとすぐ使えて便利

給排水タンクは取り出しやすい位置にあるか?
給水タンクとグレータンクと呼ばれる排水タンクは、ハイエースクラスでは各20リッター程度のポリ容器をシンクの下に収納している場合が多い。20リッターと言えば満タンで20Kgあり、持ち運びはかなり大変だ。これらのタンクが奥まったところに収納されていたり、エントランスや後部ゲートから離れている場合、車外に持ち出すのに苦労する。実際にどのように持ち出すかを確認する。

 Tom200 セキソーボディ エントランスから出し入れしやすい位置に置かれた給排水タンク

電子レンジの設置場所は用意されているか?
電子レンジがオプションの場合、実際に電子レンジをどこに取り付けるのか確認する。最初から電子レンジを取り付けることを考えて設計してあるとすっきり収まるが、そうでないと使い難い場所に設置したり、不自然に設置することになる。

電子レンジは実用性があるか?
調理はしないというユーザーでも、常に外食では飽きてくる。そんなとき、電子レンジがあると、ちょっとした食事に便利だ。しかし、サブバッテリーで電子レンジを使うためには1500W以上のインバーターが必要となる。電子レンジは付いているが、外部電源が無いと使えないというケースもあるので確認すると良いだろう。

冷蔵庫の設置場所は用意されているか?
冷蔵庫は多くのモデルで標準装備になりつつあるが、特に軽キャンパーではポータブル冷蔵庫を持ち込むケースが多い。よく考えられているモデルでは冷蔵庫の設置スペースも用意されているが、そうでない場合は床に置くことになり、就寝時など邪魔になってしまう。

冷蔵庫は氷が作れるか?
冷蔵庫は氷が作れないタイプもある。氷を浮かべて冷たい飲み物をつくったり、ウイスキーの水割りを作る場合は製氷機能のある冷蔵庫があると嬉しい。

トイレは本当に使うか?
特にカセットトイレや、トイレルームがあるモデルを選択する場合は、トイレの汚物処理をやる、という決意が必要。トイレを設置したが、汚物処理が嫌で結局使わなかったという場合は、金額だけでなくスペースも無駄になってしまう。今ではコンビニをはじめいたるところにトイレがあるので、トイレに困ることは少ない。もちろん、公衆トイレは抵抗があったり、子供の緊急用などという場合は車内にトイレがあると助かる。

サブバッテリーは増設できるか?
初めてキャンピングカーを購入する場合、どの程度電気を使うのか感覚がつかめない。多くのモデルは105Ahのサブバッテリーを1個標準装備しているが、電子レンジを使ったり、テレビを見たりする時間が長いならもう1個増設した方が良いだろう。しかしサブバッテリーの増設ができない場合もあるので、確認すると良いだろう。

 ダーウィンQ5 デルタリンク サブバッテリーは2個あると電気に余裕が出る 

リチウムバッテリーは装備できるか?
リチウムバッテリーがあると、省スペースで、かつ電気容量に余裕ができる。電子レンジやエアコンのように大容量の電気を使う機器を搭載している場合は、予算に余裕があればリチウムバッテリーをお勧めしたい。ただ、リチウムバッテリーをオプション設定していないモデルも多くあるので、確認すると良いだろう。

外部100V入力/充電機能は付いているか?
外部入力そのものがオプションだったり、外部入力はあるが充電機能がオプションだったりする場合がある。外部100V入力/充電機能は必需機能に近いので、付いていない場合はオプション選択すると良い。

以上、ショー会場でチェックすべき項目を上げてみた。後日ビルダーに赴いてゆっくり見る、ということができれば良いが、ビルダーが遠方の場合行くのも大変だ。できればビデオカメラを持って行き、気に入ったモデルを撮影しておくと良いだろう。


キャンピングカーに欲しい装備は?

 

 

2018.1.25