ベリーはタコスのハイエース標準ボディベースキャブコン。
発売は2015年だが、今回紹介するのは2017年に内装を前面変更したモデル。
前作からはレイアウトが完全に変わっており、前作では前部にダイネット、後部にギャレーを置き、ユーティリティールームを置かなかったが、2017年モデルでは前部にギャレー、後部にダイネットとユーティリティールームを配置している。(前モデルの記事はこちら)
前作では2列目にマルチモードシートを配し、3人以上でも前向き乗車できるようにしていたが、2017年モデルでは前向きシートは廃止された。
即ち、ファミリーユースの想定から、どちらかと言えば二人使用のコンセプトにシフトしたように見える。
外観は変更なく、従来通りボディカットしてシェルを乗せる工法ではなく、ルーフ以外はボディを残し、その上からシェルを被せるという構造をとっている。
この構造のメリットは大きくボディカットしないため強度的に有利なことと、コスト的にも有利なことだ。
ただし、デメリットもあり、室内のレイアウトや広さはオリジナルのボディのために制限されるところもある。
ただ、室内に入ってみれば、そのような印象はほとんど受けないだろう。
ベースはハイエース標準ボディなので、キャブコンにしても取り回しが良く、運転しやすい。
レイアウトは前部にギャレー、後部にダイネットとユーティリティ―ルームを配置する。
前部のギャレーは逆L字型だが、中央までは張り出していないため、運転席、助手席から後部への移動に差しさわりはない。
ギャレーコンソールには、比較的広いシンクが埋め込まれており、大き目の皿やフライパンも洗いやすい。
また、40リッター上開き式冷蔵庫も標準装備される。
コンロは卓上型カセットコンロを置くタイプで、電子レンジもギャレーコンソール卓上に設置されている。
ギャレーコンソール全体では比較的広い面積の調理面があるのだが、冷蔵庫の上蓋の上にカセットコンロを置いてしまうと、冷蔵庫が開けられなくなる。
かといってシンクの隣では電子レンジが近く火を使いにくいので、料理をしたいユーザーはやりたいことができるか確認した方が良いだろう。
このあたりは前作が横開き冷蔵庫を採用し、電子レンジもキャビネットにビルトインされていたので、残念なところだ。
ただし、まだ完成していないところもあるようなので、今後改善されるのかもしれない。
後部はダイネットとユーティリティールームが配置されている。
ダイネットはロングシートと単座シートの対座で、二人使用ならゆったり着座できる。
後部にもシートが連続するが、こちらはユーティリティールームがあるので、多少窮屈感がある。
このダイネットを展開すると、2名が就寝できるフロアベッドになる。
また、跳ね上げ式の上段ベッドも用意されており、計3名が就寝できる。
現実的には、上下段で各1名が就寝するとゆったり寝れるだろう。
また、ルーフベッドも用意されており、子供用と位置付けられている。
面積的には大人でも就寝できるかもしれないが、高さ的に厳しいかもしれない。
ユーティリティールームはポータブルトイレが標準装備され、トイレルームとして使用できる。
ただ、カセットトイレはオプション設定されていない。
収納はギャレーと単座シート上にオーバーヘッド収納が設置され、また、ギャレーコンソールにも引き出し収納とその下にも収納スペースが用意されている。
引き出し収納は小さな食器などの収納に便利だ。
また、ロングシート下も収納スペースになっており、車外からもアクセスできる。
エントランス左側にはシューズボックスも用意されている。
空調はFFヒーターがオプション設定されている他、家庭用セパレートエアコンが標準装備され、大きな特長になっている。
室内機の位置は、前作がキャブ上にあったのに対し、2017年モデルでは前部右側に移動している。
室外機の真上になるので、位置的には有利だろう。
ただ、ルーフベッドマットを全てセットしたらルーフベッドで寝ている人に冷気がまともにあたってしまうし、ダイネットには行き渡らないことになる。
子供を先にルーフベッドで寝かせて大人はダイネットで寛ぐ、というシチュエーションは、折角エアコンがあるのに難しそうだ。
電装系は、サブバッテリーと走行充電、外部100V入力が標準装備される。
また、発電機がオプション設定されている。
ただ、前モデルでは後部に発電機収納スペースが用意されていたが、2017年モデルではその位置にはユーティリティールームがあり、発電機の収納位置は変更されていると思われる。
ハイエース標準ボディベースのキャブコンはあまり多くなく、カトーモーターのボーノクイーン、セキソーボディのトム200、ファンルーチェのウラルシリーズがある。
ベリーの価格はガソリン2WD仕様で568万円~となっており、エアコン標準装備でかつ価格的にも安価に設定されている。
300万円台~400万円台のボンゴベースキャブコンに比べれば高価だが、ハイエースのグレード感と動力性能を考えると、ライトキャブコンでは理想的な形態と言える。