ツアーズワイドSGLは、オーエムシーが製作する、ハイエースワイドロングバンをベース車に使用したバン・コンバージョンキャンピングカー。同社のロングセラーモデルで、最近マイナーチェンジを受けた。成形REVOシート＋スライドレールがオプションで選べるようになり、リアカーゴスペースも広くなった。

同社は、バンコンを中心に製作しており、標準ボディからスーパーロングまで豊富なラインアップを誇る。その中でツアーズワイドSGLは、2列目に3人掛けのマルチモードシートを配置することにより、日常使用でミニバンと同じように使用でき、かつファミリーで車中泊ができるモデルとなっている。

エクステリアへの架装は無く、外観は通常のハイエースと変わらないため、通勤や買い物などの日常使用でも違和感なく使用できる。標準ボディに比べて車幅が広いため、幅方向には注意する必要があるが、2x5mの標準的な駐車スペースに収まるので、コインパーキングにも駐車できる。車長はスーパーロングほど長くないので、内輪差をあまり気にせず運転できる。ベース車はバンベースのスーパーGLなので、両側にスライドドアがある。

　2列目にマルチモードシート（写真はオプションの成形シート）を採用

インテリアは、家具色に白木目を選べるようになり、落ち着いた車内となっている。同社の他のモデル同様、派手さは無いがシンプルで実用的なインテリアだ。

　後部両側に設けられた収納家具

レイアウトは2列目に3人掛けのFASPシートを配置、3列目は固定の前向きシートになっている。2列目シートを前向きにすると運転席と助手席合わせて5名が前向き乗車できる。後部両側には収納家具があり、右側はギャレーコンソールになっている。2列目シートが横方向いっぱいに広がっているので、前後の行き来は多少不便だ。

ダイネットは、2列目シートを後ろ向きにセットし3列目シートを向かい合わせることにより、6名でテーブルを囲む対座ダイネットになる。3列目シートの中央の座面は簡単に取り外せるので、後部への移動は問題ない。前出のようにREVO成形シートがオプションで選べるようになった。体にフィットし、ホールド感も良いので、ファミリーでドライブする時間が長い場合は重宝する。

　子供用ベッド（手前）も備えファミリーでも車中泊できるベッド

ベッドは、2列目と3列目のシートをフラットにすると1800x1500mmのベッドになり、大人3名が就寝できる。家庭用ダブルベッド以上の大きさなので、大人2名ならゆったり就寝できる。
また、最後部にもベッドスペースがあり、ここは1700x1000mmの子供用ベッドとして使える。子供が寝た後にもダイネットで寛ぐことができる。

ギャレーは後部右側にあり、シンクとフォーセットが埋め込まれている。フォーセットはシンク内に収納できるため、シンクに蓋をすると上面は平らになる。ただし、子供用ベッドを設置すると、シンクは使えない。シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されている。リアハッチを開けて、車外でシャワーを使うこともできる。ペットの足を洗う場合にも便利だ。
冷蔵庫はオプションで用意されており、15L上蓋式と40L横開き式のものを家具にビルトインすることができる。18Lのポータブル冷蔵庫も選択することができる。また電子レンジもオプション設定されている。40L冷蔵庫は左後部の家具に、電子レンジは右後部の家具にビルトインできるが、ビルトインした場合は家具の奥行きが広くなる。

後部右側に設置されたコンパクトなギャレー

収納は、後部の子供用ベッドの下が大きな収納スペースで、大きめのバッグなどを置いておける。また、3列目シート下も収納スペースになっている。更に後部左右の家具に収納スペースが用意されているが、食器などを収納するようにはなっていないので、車内で食事する機会が多い場合は小物収納に変更すると良いだろう。後部右側上に棚があるが、蓋が無いので走行中に落ちても良いものしか乗せられない。これも蓋付きにオーダーすることができるだろう。また、ギャレー前には床下収納も用意されている。これは8ナンバー取得のためにギャレー前の高さを稼ぐ目的でもある。

空調はFFヒーターがオプションで装備できる。ベンチレーターは設定されていないが、車内で調理する場合が多いなら、換気のためベンチレーターを付けると良いだろう。なお冷房のソリューションは用意されていない。

電装系は105Ahのサブバッテリーを1個標準装備する。オプションで追加も可能。充電は走行充電と外部100Vでの充電が標準装備される。ただしインバーターはオプション。350Wと1500Wが選択できるが、電子レンジを使う場合は1500Wが必要。また1500Wインバーターはバッテリー増設とセットになっている。
また、215Wのソーラーシステムもオプションで選択できる。

価格は454万円～（ガソリン2WD/6AT：税別）。同種のハイエースワイドロングバンコンは400万円台が多いので、ほぼ一般的な価格といえる。ハイエースワイドロングバンコンは非常に多くのモデルが存在するので、インテリアや条件で選択すると良いだろう。同社は1台1台手作りしているので、レイアウトやインテリアに関しても自由度が高く、自分の用途に理想的な1台をオーダーすることができる。