Smove7.4E ニースマン+ビショフ


Smove7.4Eはドイツのビルダー、ニースマン+ビショフが製作する、フィアット デュカトをベース車にしたキャブコンモーターホーム。日本へは車楽が輸入販売している。

ニースマン+ビショフは高級路線を行くビルダーで、現在はハイマーグループの一員。ラインアップはSmoveシリーズの他、ALTOシリーズとFLAIRシリーズを持つ。このうちSmoveはいわゆるキャブコンスタイルのモデルで、Smoveシリーズには7.4Eの他、6.9B、6.9Q、7.4Bが存在する。
全長は7.4が7.43m、6.9が6.93mでこちらは7mを切る。なお、7.4はツインベッド、6.9は横置きダブルベッド仕様となる。

エクステリアはバンクレスのスマートなシルエットで、アドリアデスレフのいわゆるセミインテグレーテッドのデザインとは一線を画した斬新なデザインになっている。特にルーフの処理はにエアロダイナミクスを考慮したデザインになっており、これがSmoveのデザインを決めている。
また、電動サンルーフや外部収納のスライドドア、あるいは調光できるLED常夜灯など、高級路線に相応しいエクステリアとなっている。

インテリアは木製部分とソファ部分の組み合わせが数通りから選択できるが、どれも欧州車らしい洗練されたコーディネーションになっている。
またオーバーヘッドキャビネットは優雅な曲線を描きながらも室内を広く見せるデザインで、大容量ながらも圧迫感がない。

 ナチュラルなトーンのインテリア

ダイネットは、多くの欧州車同様、運転席と助手席が回転して後ろ向きになるが、2列目シートは珍しい横置き対座式。多くの欧州車は2列目に前向き2名掛けシートを採用しているが、Smoveではソファとなっている。即ち、完全に二人仕様に割り切った形だ。
ルーフには大きなサンルーフが装備されており、明るいダイネットになっている。

横置き対座ソファのダイネット

ベッドは先述の通り7.4Eはツインベッドが与えられており、豪華なベッドルームだ。ベッドルームの周囲3方にはオーバーヘッド収納が連なっており、大きな収納力を持つ。また、ベッドへのステップ部にもちょっとした収納が用意されている。

 ツインベッドが配置されたベッドルーム

ギャレーは蓋で隠されており、使わない場合はサイドボードとして使うようになっている。使用時は蓋を開けると、2口コンロとシンクが現れる。開けた蓋は調理台として使用できる。
しかし海外でも調理をしない傾向なのか、ギャレーはコンパクトだ。また上蓋を開けると2列目ソファに干渉する。使い勝手が良いとは思えず、どうもあまり使う想定ではないように思われる。
冷蔵庫はシングルドアながら大型のものが設置されている。
また電子レンジのオプション設定はない。設置スペースは確保できると思われるが、多少の工事が必要だろう。設計段階であらかじめ考えておいて欲しいものだ。

 蓋を開けるとギャレーが現れる

サニタリールームは、カセットトイレと温水シャワー、それに専用の手洗いが装備されており、専用のベンチレーターも備えられている。
シャワー時は、トイレと手洗いが壁内に収納される仕組みで、その場合、広さは950x880mmのシャワールームとなる。
給水タンクは130リッターで、温水はガスボイラーで加熱する。

 シャワー時、トイレは回転して収納される

収納は、オーバーヘッド収納がダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム上に用意されている他、ギャレーコンソールの引き出し収納、ベッド周りの収納など、豊富に用意されている。
また、背の高いクローゼットもあり、ロングコートの収納もできる。
更にベッド下には大きな外部収納があり、自転車やバイクも積載できる。
ただ、欧州車一般に言えることだが、室内から外部収納にアクセスすることはできない。雨天時などに濡れないで外部収納にアクセスできるとよいのだが。

空調は、ガスボイラーがヒーターを兼ねており、暖房はこれで行う。しかし日本のように高温多湿にならない欧州では冷房のソリューションは貧弱で、用意されていてもルーフエアコンが主流。しかしこれは外部電源が無いと運転できないので、バッテリーで運転できる家庭用エアコンが搭載できることが望まれる。
おそらく家庭用エアコンの設置は可能と思われるが、室内機の設置場所など比較的大掛かりな工事が必要だろう。このあたりは日本仕様を真剣に考えてもらいたいものだ。

電装系は、国内でサブバッテリーが1個標準装備されるが、家電製品を多用するなら、リチウムイオンバッテリーにするのが良いだろう。
家庭用エアコンを搭載するなら、リチウムイオンバッテリーが最適だ。

価格は1426万円(税別)。デスレフのT7051EB(1180万円:同)やアドリアのMatrix Suprime 670SL(1098万円:同)と比べるとやはり高価だが、高級感はやはり一歩上を行く。最高級のセミインテグレーテッド(キャブコン)を求めるユーザーには最適の1台だろう。しかしエアコンや電装系を国産車並みにするには、更なる出費が必要となる。

Smove7.4Eは7mを遥かに超える全長で、国内では扱いやすいとは言えない。また、高級車でありながらコンパクトすぎるギャレーやシャワールームとトイレルームが独立していない点など、ちぐはぐ感もある。しかしその広く豪華な室内は大きな魅力だし、最高級モデルを手にする喜びもあるだろう。

 

モデル Smove7.4E
ビルダー ニースマン+ビショフ
輸入販売 デルタリンク
ベース車 デュカト
形態 キャブコンバージョン
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 4
就寝人数 3+1
ダイネット形態 ロングソファ
ベッド形態 ツインベッド
コンロ ○(2口)
シンク
給水タンク ○(140/130L)
排水タンク ○(85L)
冷蔵庫 ○(?L)
電子レンジ -
サニタリールーム
ポータブルトイレ -
カセットトイレ
温水シャワー設備
ルーフベンチレーター
サンルーフ
FFヒーター
ルームエアコン OP
サブバッテリー ○(?Ah x1)
バッテリー増設 OP
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター OP
発電機 -
ソーラーシステム -
全長(mm) 7,430
全幅(mm) 2,245
全高(mm) 2,770
価格 1426万円~(2WD/6AT)

2019年5月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

動画はこちら

2019.5.9