ピッコロキャンパープラスは、オートワンが製作する、スズキ エブリイ バンをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。
同社は軽バンコンを専門に製作するビルダーで、「給電くん」や「愛犬くん」など多くの軽モデルをラインアップしている。
ピッコロキャンパープラスは、同社のラインアップの中ではシンプルな装備のモデルだが、後部の収納ラックは充実した収納力を持つ。ポップアップルーフバージョンも選択できる。
(文中の価格は全て税別)
コンセプト
「給電くん」や「愛犬くん」が充実した装備を持つのに対し、シンプルな装備を希望するユーザー向け。シンプル装備ながら、後部に上位モデルと同じ木製の豪華な収納家具を持ち、またオプションでオーバーヘッド収納を増設できるなど、軽バンコンの中では大きな収納力を持つ。
エクステリア
ピッコロキャンパープラスのエクステリア
ベース車はスズキエブリイバンで、外観はノーマルと変わらない。ただし、オプションでリアゲートの窓をアクリル2重窓(12万円)にすることができる。また、やはりオプションで後部左側の窓に丸窓が選択でき(65,000円)、これには換気機能も付いている。
また、ポップアップルーフもオプションで装着することができる。(585,000円)なお、このオプションを装着した価格は「ピッコロキャンパープラス
ポップアップ」の価格と同じだ。
エブリイはハイルーフと標準ルーフがあるが、ハイルーフで製作される。グレードはJOINターボ、JOIN、PC、PAがあるが、リアパワーウインドウやリモコン格納式ドアミラーが付くJOINを選択するのが一般的。もちろんターボなら更に走りが強化される。
インテリア
豪華な収納家具を持つインテリア
グレーのベッドマットと後部の収納家具で構成されるインテリアで、シンプルだが家具は同社の上位モデルに使用されているのと同じ飴色の木製家具が設置されている。重厚で豪華な家具となっている。
なお断熱処理はオプション(6万円)となっている。
レイアウト
2列目シートを立てると4名が乗車できる(写真:オートワン)
2列目シートを折り畳んだ上にベッドマットを敷いた、軽バンコンでは一般的なベッド構成と後部にルーフまで立ち上がる家具のレイアウト。
2列目シートはエブリイの純正シートで、これを立てると4名が乗車できるので日常使用にも使用できる。
ポップアップルーフバージョンを選ぶと自転車を積んで就寝できる(写真:オートワン)
ベッドはフロアベッドのみで2名が就寝できるが、ポップアップルーフバージョンを選ぶと、フロアに自転車を乗せてルーフベッドに二人で就寝することもできる。
ダイネット
大きなテーブルを備えたダイネット
フラットなフロアでちゃぶ台スタイルで寛げる。折り畳み式テーブルを購入すると自由な位置でテーブルを使うことができる。なお、大きなテーブルが標準装備されており、後部の家具に渡して使用できる。パソコンなどを使用する場合便利だ。
ベッド
テーブルは立てかけて固定できる
2列目シートを折り畳んで収納し、その上にベッドマットを敷いてベッドメイクする。ベッドサイズは1980x1280 mmで、これは家庭用ならセミダブルベッドの大きさに相当する。
家具は収納力がありながら下部を薄く作ってあるので、ベッド幅を浸食することはなく、従って足元が窮屈になることはない。
なお、テーブルは後部左側に立てかけ固定することができるので、これも就寝の邪魔にならない。
ギャレー
オプションのミニギャレー
オプションでギャレーセットが用意されており、シャワーフォーセットとミニシンクが装備できる。また各10Lの給排水タンクも収納できる。(10万円)
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫、電子レンジともオプション設定されていない。冷蔵庫を使用したい場合は、別途ポータブル冷蔵庫を購入して持ち込むことになる。
もっとも、冷蔵庫や電子レンジを使用したい場合は、電装系が充実している「給電くん」を選択することをお勧めする。給電くんでは電子レンジ(WAVEBOX)の収納スペースが用意されており、ポップアップルーフではないノーマルルーフバージョンも用意されている。ただし、給電くんでも冷蔵庫の収納スペースが用意されていないのは残念なところだ。
収納
前部の収納両側2か所はオプション(写真はポップアップバージョン)
同社のキャンピングカーの素晴らしいところは、収納が充実していること。軽バンコンでは特に収納は重要で、収納が少ないと狭い車内はたちまち煩雑になってしまう。
ピッコロキャンパープラスでは、後部右側にルーフまで立ち上がる収納家具が備えられており、小物も収納できる。また、両側には大型のオーバーヘッド収納が設置されている。
加えて、オプションでエントランス上部両側にもオーバーヘッド収納を設置することができ、給電くんや愛犬くんと同様のオーバーヘッド収納になる。(左右各5万円)
後部上の収納スペース
更に、後部上にも収納スペースが設けられており、これはリアゲートを開けると車外からもアクセスできる。
ベッド下収納も用意されており、これは高さがあまりないが薄いものなら収納しておくことができる。オプションで引き出し式にすると、車外のテーブルとして使える。
ただし軽バンコンは皆そうだが、大きなバッグなどの収納スペースは物理的に難しく、走行中は後部に、停泊中は運転席や助手席に移動するといった作業が必要になる。
空調
暖房はFFヒーター(18万円)がオプションで用意されている。ベンチレーターや冷房設備のオプションは用意されていない。なお、バグネットが左右エントランスとリア用にオプション設定されている(計65,000円)。暑さ対策用に必需品かもしれない。
テレビ/ナビ
テレビもナビもオプションリストにはないが、ナビは希望のものを指定や持ち込みで装着できるだろう。
電装系
38Ahのサブバッテリーと走行充電が標準装備される。外部100V電源入力(3万円)と、これによるサブバッテリー充電機能(48,000円)はオプション。
インバーターやソーラーシステムはオプション設定されていないが、必要に応じてオーダーできるだろう。しかしピッコロキャンパープラスはシンプルな装備を望むユーザーやDIYで自分好みに作り上げるユーザーがターゲットなので、充実装備を望むユーザーは給電くんや愛犬くんが適している。
価格(2020年12月現在:千円台切り上げ:税別)
最低グレードのPAベース2WD/5MTで153万円~。一般的に選択されるであろうJOINは181万円~。ちなみにJOINのポップアップルーフバージョンは240万円~となる。
装備しておきたいオプションは、やはりFFヒーター(18万円)が挙げられる。いくらシンプルで良いといってもやはり冬場はもちろん、早春や晩秋は必要になる。またDIYでFFヒーターを装備するのはガソリン系を引き回すことを考えると素人はやらないほうが良いだろう。
他モデル
エブリイのハイルーフベースでシンプル装備なモデルは非常に多くの数があるが、収納が充実したモデルを幾つか挙げると、カーショップスリーセブンのMOCⅡTypeS(架装費60万円~)、建材屋のOKワゴン(架装費76万円~)、ユーズネットのちょいCam豊(架装費53万円~)などがある。
ピッコロキャンパープラスは、架装費だけの価格は提示されていないので直接比較はできないが、参考までにエブリイの車両本体価格はPA/2WD/5MTで88万円となっている。
まとめ
ピッコロキャンパープラスはシンプル装備ながらも充実した収納を持ち、軽キャンパーに本当に必要なところを押さえたモデルと言える。もちろん長期旅には向かないので、短期の車中泊を伴うドライブに向いている。
また軽バンコンは、特にポップアップルーフを持たないモデルは基本的に一人で使用するものと考えた方がよい。1~2泊なら何とかなるかもしれないが、それ以上の旅ならポップアップルーフバージョンの検討をお勧めする。
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