ミニチュアクルーズ遍路は岡モータースが製作する、スズキエブリイをベース車にした軽バンコンキャンピングカー。
同社は輸入モデルを含めた多くのキャンピングカーを扱っているが、軽キャンパーのオリジナルモデルもラインアップしている。「ミニチュアクルーズ」はその一つのラインアップで、ミニチュアクルーズ、ミニチュアクルーズCOZY、ミニチュアクルーズSVなどが選択できる。
(記事中の価格は全て税込です)
コンセプト
ミニチュアクルーズ遍路はミニチュアクルーズシリーズの一モデルだが、「遍路」というネーミングの通り、お遍路用に適した内装としている。和風のインテリアを特徴としているが、実際にはもちろん、お遍路用途だけでなく通常のクルマ旅にも使用できる。
エクステリア
ミニチュアクルーズ遍路のエクステリア
ベース車はスズキエブリイバンを使用。ボディ外側への架装は無いので、外観は普通のエブリイと変わらない。グレードはPAからJOINターボまで選択可能で、2WDと4WDの選択もできる。
なお、自動ブレーキシステムはJOIN以上に標準装備。またワイヤレスキーはPC以上、後部窓まで含めたパワーウインドウはJOIN以上に付く。やはりJOIN以上がお勧めだ。
インテリア
和風のインテリアが特徴
和風のインテリアが特徴。フロアは畳風のマットだが、これは畳ではなく畳風レザー仕上げ。汚れにも強く手入れも簡単だ。和風と言っても純和風ではなく、和モダンという感じで明るく落ち着ける室内になっている。
同社の家具の作りは、このモデルに限らず極めて丁寧な作りで高級感もある。
後部右側の和風の一角
後部両側の収納家具は、特に和風が際立った一角になっている。後部右上にはお遍路用の杖が2本収納できるホルダーまで用意されている。ここまで来ると、本当にお遍路”だけ”をターゲットに企画されているのかと思ってしまう。一般に和風インテリア好みのユーザーを広くターゲットにする方がマーケットが広いと思うが。。
レイアウト
軽バンコンには一般的なベッド兼ちゃぶ台スタイルのダイネットと、後部に収納家具の組み合わせ。2列目シートは純正のものが折り畳まれているので、これを立てると通常の軽バンと同様に4名が前向き乗車できる。
ダイネット
大きなテーブルがあるダイネット
ちゃぶ台スタイルのダイネットで、2名なら足を延ばして寛ぐことができる。また後部には大きなテーブルをセットでき、食事をしたりパソコンを置いたりできる。このテーブルは両側の収納ラックの扉を水平に跳ね上げることで両側を支える格好で、うまく考えられている。
またこのテーブルは食事や作業に使うことができるほか、就寝時には荷物の置き場になる。軽キャンパーでは多くの場合車内に荷物があふれることになり、就寝時にそれらの荷物の置き場所に困ることになる。
運転席や助手席がその格好の場所になるが、パソコンや次の日の着替えなど手元に置いておきたいものもある。そのようなものの置き場所としてこのテーブルは非常に便利だ。
ベッド
最大1820x1240mmのベッド
ベッドサイズは最大1820x1240mm。ただし足元は両側の収納家具があるので980mmと狭くなる。2名で就寝する場合は足元が多少窮屈感があるかもしれない。
ミニチュアクルーズシリーズのベッドの特長は、50mm厚(COZYのみ40mm)の三重構造ウレタンと日本メーカーのファブリックで構成されており、コシのある硬さに設定する事で快適な睡眠を提供する。
和風を好むユーザーはふとん派が多いかもしれないが、いずれにしても軽バンコンでは薄いベッドマットが多い中、ミニチュアクルーズシリーズのベッドマットは質の良い睡眠を期待できる。
ギャレー
オプションのギャレーセクション
ギャレーはオプションで装備することができる。ミニチュアクルーズ遍路に取り付けた写真は無いが、上は「ミニチュアクルーズ」に装着されたシンクとフォーセット。給水タンクは10Lで、排水タンクは床下に装着される。
冷蔵庫/電子レンジ
電子レンジは仕方ないとして、冷蔵庫もオプション設定されていない。おそらくポータブル冷蔵庫を持ち込むことになるが、運転中固定できる設置スペースや電源に関して、提案が欲しいところ。
軽キャンパーでも冷蔵庫を使用するユーザーは多いと思われるが、その場合ポータブル冷蔵庫をどこにどのように設置すれば固定でき、中身を取り出しやすく、電源も取れるのか、そういったところにも考慮いただければと思う。
収納
右側上部に設置された棚
まず目につくのが、右側上部に設置された大きな棚だ。奥行きはそれなりにあり、実用的な収納スペースになる。ただし、扉が無いので当然走行中にモノが落ちてくる。従って、落ちてこないものを限定して収納する必要がある。やはり扉が欲しいところだ。
ベッドマット前部下の収納
少し大きなものは2列目シートの前のベッドマット下に収納しておくことができる。このスペースは意外に広く、着替えの入った大き目のバッグ等も収納できる。
後部の引き出し式収納
更に後部には引き出し式の収納がある。引き出しとしては車外からしか利用できないが、ベッドマットを持ち上げれば車内からアクセスすることもできる。この引き出しにはテーブルを収納しておくことができる。
ただ先にも書いたようにテーブルは昼夜使うので、引き出しに収納することはあまりないかもしれない。引き出し収納はあまり深くないが、それでも収納スペースが限られる軽バンコンでは貴重だ。
空調
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。冷房やベンチレーターのオプションは表記されていない。
テレビ/ナビ
テレビのオプションはミニチュアクルーズ遍路には表記されていないが、ミニチュアクルーズでオプション設定されているので、オーダーで取り付けることは可能だろう。展示車には参考として10型ブルーレイナビが装着されていたが、好みのものを付けることができる。
電装系
後部左側の電装系収納部
85Ahのサブバッテリーが1個と、走行充電が標準装備される。また300Wのインバーターが標準装備されるので、車内で300Wまでの家電品をサブバッテリーで使うことができる。外部100V電源入力と、それによるサブバッテリーの充電機能はオプション。また軽バンコンとしては大型の225Wのソーラーシステムがオプション設定されている。
価格(2021年6月現在:千円台切り上げ:税込)
最も低グレードのPA 2WD/5MTが239万円~。お勧めはキーレスエントリーシステムや後部窓までパワーウインドウが付くJOIN 2WD/4ATで276万円~。最高グレードのJOINターボ
2WD/4ATが287万円~となっている。
他モデル
軽バンコンは非常に多くのモデルが存在するが、和風のインテリアを持つモデルはほとんどない。あえて挙げればカーショップスリーセブンのMocⅡポップアップ(246万円~)がある。これはフロアに和紙畳を選択できるが、家具は特に和風というわけではなく、通常の木製家具になっている。
まとめ
ミニチュアクルーズ遍路は、やはり他にない和風のインテリアが大きな特徴だ。先にも書いたようにお遍路用途だけでなく、一般的なクルマ旅でも和風の室内は落ち着いた空間を醸し出してくれるだろう。
難点は価格が比較的高価なこと。軽バンコンはノーマルルーフなら200万円以下が多く、ポップアップルーフを架装した軽バンコンでも250万円程度だ。ただ、これだけの和風の造り込みがあるので仕方ないところではある。
ちなみに同社のpミニチュアクルーズは、JOIN 2WD/4ATで236万円~だ。こちらも相当に高級感のある造り込みがされている。即ち、和風の付加価値は40万円ということになる。
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