Matrix Plus(マトリックスプラス)670SCはスロベニアのビルダー、アドリアモービルが製作する、フィアットデュカトベースのキャブ・コンバージョン輸入キャンピングカー。国内には全国に取扱店がある。
アドリアは欧州のキャンピングカービルダーの大手で、キャラバン(トラベルトレーラー)と自走式モーターホーム両方を手掛けている。
Matrixは同社の自走式モーターホームのラインアップではSonic(ソニック)シリーズに次いで大型のモデルで、700 SL(7,800mm)以外は全て670(7,503mm)の全長になっている。
なお、Matrixと外観がほぼ同じに見えるCoral(コーラル)シリーズがあるが、その違いはMatrixがプルダウンベッドを持つのに対し、Coralはスカイラウンジとなっており、ダイネット上に大きな開口部を持つ。そのためCoralはプルダウンベッドを持たず、就寝人数は後部メインベッドに2名と、前部のダイネットを展開するエマージェンシーベッドで1名が就寝できるのみ。即ち、Coralは二人旅向け、Martrixはファミリー向けと位置付けられる。
なお、Matrixのグレードは上位よりSurprime、Plus、Axessの3グレードがあり、Surprimeのみアルミボディでシルバー塗装が標準装備、Plus、AxessはFRPボディでホワイトになる。(Plusはオプションでシルバー可能)
また、ベース車のデュカトは3グレードとも2.3Lターボディーゼルを搭載するが、SurprimeとPlusは180HP、Axessは150HPとなっている。
Matrix Plus(マトリックスプラス)670SC
Matrix Plus 670SCのインテリア
エクステリアは、ダイネット部のルーフが少し盛り上がった「ミッドプロファイル」と呼ばれるシルエットが特徴。シェルはComprex構造を採用しており、耐久性と耐湿性に優れ、Adria独自のThermo-buildテクノロジーが提供する高い断熱材も備えている。
ベース車のハンドルは左が標準で、右ハンドルはオプション。
インテリアは、欧州車特有の洗練されたデザインで、国産モデルにはない魅力がある。家具は明るい木目とホワイトの組み合わせで落ち着いているが明るい室内になっている。またシート色は6色から選択できる。
レイアウトは、Martix Plusは本国では実に9種類も用意されている。アドリアのモデルナンバーの付け方は、全長ーダイネット形態-ベッド形態の順で区別されており、例えば670SCは、全長が7,503mm、L字型ラウンジソファダイネットでアイランドベッドを持つ。ちなみに、DLは対座ダイネットでツインベッド仕様となる。
運転席、助手席が回転してダイネットチェアになる
ダイネットは、L字型ソファと単座、それに運転席、助手席が回転して、計5名がテーブルを囲むことができる。ルーフには大きなパノラマウインドウがあり、明るいダイネットとなっている。なお5名が着座してドライブでき、単座を除く4名は前向き着座できる。
最後部のベッドルームにはアイランドベッドを設置
ベッドは、後部のアイランドベッドがメインベッド。大きさは1,950x1,600mmで、規格的には3名就寝の幅がある。両サイドからベッドにアクセスできるので、パートナーを起こさずにトイレに立てる。またスプリングマットレスで寝心地も不満がない。
この他、ダイネットの上には電動プルダウンベッドが装備されている。大きさは1,900x1,300mmで、ここでも大人2名が就寝できる。更にダイネットを展開すると2,100x1,300/600mmのシングルベッドを作ることができる。
3口コンロとシンク、オーブンレンジをビルトインしたギャレー
ギャレーは、3口コンロと独立したシンクがビルトインされている。手前に多少調理スペースが用意されているので、手の込んだ料理にも対応できる。下にはオーブンレンジが標準装備される。
対面には収納ラックが立っており、3way142Lの冷蔵庫が標準でビルトインされている。
なお、電子レンジはオプションで用意されており、日本で装着する。
サニタリールームはトイレルームとシャワールームが独立しており、シャワー時にトイレ部分が濡れるのを心配する必要はない。トイレルームにはカセットトイレと、専用の手洗いや収納スペースが設けられており、快適な空間となっている。温水シャワーは140Lの水タンクとTruma
Combi 6E ボイラーで10Lの湯を沸かし混合して適温にする。
カセットトイレと専用の手洗いがあるトイレルーム
空調は、先のTruma Combi 6Eがヒーターとしても使用できる。冷房系は、家庭用エアコンをオプションで装着できるが、これは輸入後日本で工事を行う。
電装系は、100Ahのサブバッテリーが1個標準装備されるが、これでは心もとないので、オプションで用意されているリチウムイオンバッテリーの装着をお勧めする。これには1500Wのインバーターもセットになっているので、電子レンジや家庭用エアコンが装備されていても安心して使うことができる。外部100V電源やオプションで発電機も用意されている。
価格は、958万円(2WD/AT:税別)だが、エアコンや電源などのオプションを追加すると簡単に1000万円を超えてしまう。このクラスは価格にこだわるモデルではないのであまり比較しても意味が無いが、比較対象になるのはデスレスのPulseロープロファイルが有力だろう。現在輸入されている中でMatrix Plus 670SCの全長に相当するのはT7051EBのみで、こちらはツインベッド仕様になっている。
なお、Matrix Plus 670SCはアドリアジャパンのサイトには掲載されていない。現在は670ではDLとSLが掲載されている。
なお、日本では7mを切るモデルのほうが扱いやすく、その意味ではPulseにはT6651DBMとT6811EBが用意されているが、Matrixには無いのが残念なところだ。