ランドティピーCasaはトイファクトリーが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社は多くのバンコンキャンピングカーをラインアップするが、その中でランドティピーは跳ね上げ式上段ベッドを持つファミリー向けモデル。
Casa仕様は2020年から新たに加わったインテリアバリエーションで、ランドティピーの他、バーデンやGTにも設定されている。
コンセプト:全員が前向き着座してドライブでき、4名が対座ダイネットで寛げ、上段ベッドを含め3名が就寝できるファミリー向けレイアウトを持つ。Casa仕様の特別なインテリアを採用。
エクステリア:ハイエーススーパーロングをベースにし、右側にエクステンションウインドウを架装する。ルーフ後部にはソーラーパネルがスタイリッシュな専用ホルダーで装着される。(オプション)
Casa仕様の洗練されたインテリア
インテリア:新しく追加されたCasa仕様を採用。「casa」とはスペイン語で家を表し、自宅にいるような落ち着きとナチュラルな車内空間を演出するとしている。東濃ヒノキのフローリング、尾州織物のシート、ギャレーには美濃焼タイルなど地方産の素材を使用している。
レイアウト:2列目と3列目に2人掛けのマルチモードシートを配置。全員が前向き着座してドライブできる他、2列目シートを後ろ向きにして対座ダイネットを形成する。4~5名のファミリーが移動し、団欒し、就寝できる。
ただし、2列目シートが立っている場合、前後の移動が簡単ではない。
計7名が前向き乗車できる
ダイネット:2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートとで対座ダイネットが形成される。横方向はギャレーがあり、2名で並んで座ると多少窮屈感があるが、一番上の写真のように、3列目シートはフラットにしておき、後部は広いベッド状態にしておくと使いやすい。これなら疲れたらすぐに横になれるし、2列目シートから後部への移動もできる。
大人3名が就寝できるベッド
ベッド:全てのシートをフラットにすると最大3,000x1,700mmのフロアベッドになる。フロアベッドでは2名が就寝できるが、前部はギャレーがあるため、多少窮屈感があるかもしれない。上段ベッドは跳ね上げ式になっており、大きさは1,950x750mm。
上蓋式冷蔵庫がビルトインされたギャレー
ギャレー:ダイネットサイドに設置されており、シンクが埋め込まれている。コンロは常設ではなく、カセットコンロを使用するが、シンクや冷蔵庫の上に置くとこれらが使えなくなるので、ダイネットテーブルに置くことになる。
冷蔵庫/電子レンジ:上蓋式40L冷蔵庫がビルトインされている。上蓋式なので、製氷しながら飲み物や食材を冷蔵することはできない。
電子レンジも標準装備されるが、外部100V電源が取れる場合のみ使用できる。サブバッテリーで使いたい場合は、1500Wのインバーター(オプション)を搭載する必要がある。
後部のベッドボードを跳ね上げると広い積載スペースが出現する
収納:バーデンやGTに装備されているような扉付きのオーバーヘッド収納は残念ながら装備されていない。主な収納スペースは後部ベッドボードの下で、ここに大きめのバッグなどを置くことができる。その他、後部ベッドボード下の左側に独立した収納庫と、右側にワードローブが設置されている。ワードローブは高さがあるので、比較的長めの上着なども入れておける。
空調:FFヒーターがオプション設定されている。冷房系は、「クールコンプシステム」と名付けられた家庭用エアコンを搭載できる。室外機は後部床下に設置される。なお、ベンチレーターもオプションで用意されている。
テレビ/ナビ:19インチのテレビがオプション設置されている。設置場所はギャレーの冷蔵庫の上部。アームで引き出し角度を変えられるので、ダイネットに座ってちょうどよい位置になる。
ナビはアルパイン製のモデルがオプション設定されている。
電装系:100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個標準装備される。オプションで増設も可能。家庭用エアコンや電子レンジを搭載する場合は、少なくとも2個搭載することをお勧めする。ただし、家庭用エアコンを実用的に使うには2個でも十分とは言えない。リチウムイオンバッテリーの搭載が望まれる。
外部100V電源入力は標準装備されるが、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。車内で電子レンジなどの家電品を使う場合は、1500Wインバーターがオプション設定される。更にエアロソーラーシステムと名付けられた、デザイン性の考慮されたソーラーパネルもオプションで設置可能。
価格:ランドティピー Casa仕様は538万円~(2WD/6AT:税別)。通常のランドティピーが518万円~(同)なので、Casa仕様は20万円高となる。
他車:ハイエーススーパーロングベースで、ランドティピーと全く同じレイアウトを持つモデルは見つからないが、近いレイアウトなら以下のモデルがある。
ツェルト 東和モータース 470万円~(レビュー記事)
ドルク ホワイトハウス 567万円~ (レビュー記事)
ラディッシュ ナッツRV 471万円~
いずれもダイネットサイドにギャレーを持つレイアウトで、2列目シートがマルチモードシートになっている。ツェルトとドルクは後部にハイマウントダブルベッドを持つ。
最もランドティピーに近いのがラディッシュで、後部に跳ね上げ式の上段ベッドを持つ。
まとめ:ランドティピーは、トイファクトリーの代表的な4モデル(バーデン、GT、コルドバクルーズ、アルコーバ)が、一般的なレイアウトを持つのに対し、あまり類を見ないユニークなレイアウトを持つ。また、オーバーヘッド収納を持たないのも、ランドティピーだけだ。価格的にも4モデルに対し、多少安価となっている。
このレイアウトは、2列目シートだけを後ろ向きシート状態にし、後部はフラットな広いスペースにすることで、ここで小さな子供やペットが遊べる空間となる。家庭なら、リビングに置いたソファで大人がくつろぎ、フロアで子供が遊ぶという光景が分かりやすいだろう。
もちろん使い方はそれぞれなので決める必要は無いが、他にはないこのレイアウト、意外に面白いかもしれない。
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