Escape Compact404は英国Swiftが製作する、フィアット デュカトベースのキャブ・コンバージョンキャンピングカー。輸入販売はトーザイアテオが行っている。
Swiftはトラベルトレーラーや、自走式ではバンコンモデルとキャブコンモデルを生産しており、Escape CompactはEscapeの小型バージョンとして登場したモデルで全長6mを切る。本国ではEscape
Compactには3モデルあるが、国内には404のみ輸入されている。
このモデルの特徴は、英国車であることから、右ハンドル、左エントランスであること。もう一つの特徴は、後部にセカンドダイネットとその上にプルダウンベッドを持ち、ファミリーで就寝できることだ。欧州車だけでなく、内外のキャンピングカー全体的に見ても珍しいレイアウトで、しかも使い勝手は悪くない。
Swift Escape Compact404のインテリア
エクステリアは、バンクレスでスマートな印象だ。全長は5,990mで国内でも比較的扱いやすい。ただ、それでもハイエーススーパーロング(5,380m)よりも60cm以上長く、狭い駐車場では決して取り回しが良いとは言えない。
先にも書いたように、エントランスは左側にある。これは非常に重要な点で、エントランスが右側にあると、子供が不用意に車外に出ると大変危険だ。
インテリアは質感が良く、落ち着いた感じ。ただ派手さはなく、アドリアやホビーといった欧州車とはまた違った感じだ。
レイアウトは前部に対座ダイネット、後部はベッドルームだが、後部のベッドはセカンドダイネットにもなるのが大きなアドバンテージだ。
シングルダイネットでは、長期旅になると、ダイネットにいつも皆が集まると窮屈に感じてくる。
更に、後部ダイネットの上にはプルダウンベッドが収納されており、下段ベッドと合わせて4名が就寝でき、ファミリーでも使用できる。二人旅なら、上下に別々に就寝できる。
後部のコの字型ソファダイネット
ダイネットは、フロントダイネットに関しては他の多くの欧州車と同じく、運転席、助手席が回転して後ろ向きのダイネットシートになる。ルーフにはサンルーフも装備され明るいダイネットになっているが、プルダウンベッドが後ろに行ったので、もう少し大きなサンルーフでもよかったのではないかとも思える。
後部ダイネットはコの字型ラウンジソファで、食事の後の団欒ならこちらの方が寛げそうだ。フロントダイネットはダイニング、リアダイネットはリビングといった使い分けもできるだろう。
ベッドはリアダイネットを展開すると1930x1200mmの横置きダブルベッドになる。幅は家庭用ベッドのセミダブルクラスなので、特に大きいわけではない。
またプルダウンベッドは手動式で、大きさは1830x1180mmと更に狭い。
ファミリーの場合は、大人と子供1名づつ就寝するとよいだろう。
なお、上段ベッドを下ろした場合、下段のダイネットを使うのは高さ的に厳しい。
後部のプルダウンベッド
ギャレーは、3口ガスコンロ付きオーブンと丸形シンクがビルトインされている。また、調理スペースがシンク横に大きく取られているほか、跳ね上げ式調理台も用意されているので、手の込んだ料理も可能だ。
シングルドア85リッター冷蔵庫と電子レンジも標準装備される。ただし、電子レンジはインバーターを装着しないとバッテリーでは使えず、外部電源がある場合のみ使用できる。
ギャレーコンソールには引き出し収納が豊富に用意されており、食器の収納に便利だ。
サニタリールームには、温水シャワーとカセットトイレ、そして専用の手洗いも用意されている。ただ、シャワーとトイレの仕切りなどはなく、シャワー時に便器が濡れてしまうのが難点。専用のベンチレーターや収納も用意されており、欧州車らしい装備になっている。
サニタリールームには温水シャワー、カセットトイレが標準装備
収納は、ダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム上にオーバーヘッド収納が豊富に設置されており、また、ギャレーコンソールやオーブン下に引き出し収納が設置されている。更に、クローゼットも用意されており、長いコートも収納できる。
後部ソファ下にも収納スペースが用意されており、バッグ程度は収納できるが、それ以上大きなものは収納するスペースがない。
寝具が布団の場合は常設ベッドにしておかないと、収納スペースに困るかもしれない。
ハイマウントベッドではないので、ベッド下の収納はなく、従って、外部収納も装備されていない。
空調は Truma Combi 4によるFFヒーターが装備されているほか、冷房系はルーフエアコンがオプションで用意されている。ただし、バッテリーでの運転は無理で、外部電源がある場合のみ使える。家庭用エアコンを装備するのは、スペース的に難しいだろう。
電装系は、80Ahのサブバッテリーが1個標準装備されるが、もちろんこれだけでは心もとない。特に電子レンジをサブバッテリーで使うような場合は、100Ahクラスを少なくとも2個程度搭載すると良いだろう。
価格は864万円~(税別)。国産のカムロードベースのキャブコンとそれほど変わらないが、欧州車の充実した装備や洗練されたインテリアが魅力だ。また左側エントランス、右ハンドルというのも、輸入車のハードルを低くしている。
しかし、電気、ガス、エアコンの問題はやはり知っておく必要がある。即ち、電気に関してはサブバッテリーやインバーターの強化が必要だし、ガスはプロパンガスの充填が必要になる。
更に、冷房に関しても基本的に外部電源が取れるところでしか使用できない。
Escape Compact404はファミリーでも使える欧州車を望むユーザーに適した1台だ。欧州車では小型なので、比較的扱いやすいモデルと言える。