ドリーバーデンというブランドは、東和モータースが米国のビルダー、フェニックスと共同開発した日本向け専用ブランドで、米国にはドリーバーデンというブランド名は存在しない。
ベースはフェニックス社のモデルを使用しているが、単に現地のモデルを日本に輸入しているのではなく、日本専用設計がされている。
その最大の成果が左エントランス。
欧州車も含め、左エントランスを採用している輸入モデルは少なく、特にこのような大型車では他に例を見ない。
外部電源入力や発電機も100V仕様になっており、また、スライドアウトも本国とは逆で右側に出る。
しかし、残念ながら、肝心のハンドルは左側で、右ハンドルはオプションでも設定されていない。
ただ、左ハンドルは慣れると、左にぎりぎりまで寄せることができ、狭い道でのすれ違いなどでは重宝する場合もある。
特に大型車では、むしろ左ハンドルを好むユーザーもいるくらいなので、試してみる価値はあるだろう。
外観は大きなバンクを持つクラスCモーターホーム、いわゆるキャブコンで、ベース車にはV10ガソリン6800ccエンジンを搭載するフォードE450が使用されている。
全長は実に8mを超え車幅も2.5m近くある。
決して日本で運転し易いという大きさではないし、スーパーや観光地の駐車場でも駐車は簡単ではないが、その室内は国産のキャンピングカーとは別次元だ。
インテリアはいかにもアメリカンモーターホームといったクラシカルな木の感触を生かし、沈み込むような大きく柔らかなソファで構成されている。
また、アメリカンモーターホームではお約束ともいうべきスライドアウトが装備されており、リビングの一角が600mm拡張され一段と広さが増す。
レイアウトは前部にソファを配したダイネット、中央にギャレーやサニタリールーム、最後部にベッドルームが配されている。
本国のモデルには後部のベッドがスライドアウトするような仕様もあるが、このモデルは最もスタンダードなレイアウトと言えるし、また日本では使いやすい。
万一スライドアウトが出せない場合、ベッドがスライドアウトするレイアウトでは就寝できなくなるからだ。
ダイネットは大きな単座ソファ2脚とロングソファが向かい合っており、運転席、助手席も回転してダイネットチェアとして使えるので6~7名がテーブルを囲める。
なお、このダイネットは展開してダブルベッドとしても使用できる。
ベッドは、後部の常設ダブルベッドがメインベッドで大きさは2000x1400mm。家庭用ダブルベッドと同じ幅を持つ。
興味深いのは、欧州モデルなら間違いなくハイマウントベッドになっているだろうが、このモデルではベッドは極めて低く、ベッドへの上り下りが楽で、天井は高い。
もちろん、ラダーなどは必要ない。
しかしそのため、ベッド下収納は極めて小さい。
もちろん自転車などは積むことができず、家族分の大き目のバッグなどはどこにしまったらよいのか戸惑うことになる。
もちろん大型のクローゼット等は用意されているため、ふたり旅なら全く問題ないだろう。
ベッドは、この他に2000x1300mmのバンクベッドもあり、ここでも大人2名が就寝できる。
後部ベッドに比べると天井が低いので圧迫感はあるが、窓やスカイルーフもあり、国産モデルに比べれば十分大きい。
ギャレーはL字型コンソールを持ち、大きなシンクと2口コンロがビルトインされる。
ギャレーコンソールには多くに引き出し収納が用意されており、小さ目の食器や箸、ナイフ、フォークと言った小物を分類して収納するのに便利。
また跳ね上げ式の延長テーブルも用意されているので、手の込んだ調理も可能だ。
冷蔵庫は170リッターと大型で、電子レンジも標準装備される。
トイレルームとシャワールームはそれぞれ独立しており、ゆったりシャワーを使うことができる。
トイレはマリントイレだが、洗浄便座が採用されているのは感動的で、さすが日本向け仕様という感じがする。
収納は、先のようにベッド下収納は極めて小さいが、その他の収納では、各所にオーバーヘッド収納が用意されている。
また、空調ではFFヒーターはもちろんだが、家庭用エアコンが標準装備されており、これも日本向け仕様としてうれしい装備だ。
電装系での特徴は4000Wの静音発電機を搭載していること。
これだけの容量があればドライヤーも問題なく使えるし、エアコンも駆動できる。
静音仕様なので使う機会も多いだろう。
ドリーバーデン25ftは、アメリカンモーターホームながら、日本仕様にアレンジしてあり、装備も必要なものは全て搭載している。
サイズや価格など、誰もが手にできるモデルではないが、アメリカンモーターホームに憧れているなら、各所に日本仕様を盛り込んだドリーバーデンは魅力的な1台と言えるだろう。