ボーダーバンクスはナッツRVが製作する、トヨタ コースターをベース車に使用したセミフルコン。国産キャンピングカーでは最高峰のカテゴリーだが、これを製造するビルダーは3社しかない。
コンセプト
ボーダーバンクスはダブルベッドとラウンジダイネットのTypeL、ダブルベッドと対座ダイネットのTypeD、そしてツインベッドと対座ダイネットのTypeTの3種類が選択できる。
このTypeTは6.25mの全長ながらツインベッドを持ち、人気のツインベッドを持つレイアウトとしては輸入車を含め最も全長が短い。
エクステリア
アルミパネルのシェル
シェルは同社独自のアルミコンポジットパネルを使用し、軽量化と断熱性を両立させている。ウインドウはユーティリティールームを含めて全て網戸、シェード付きアクリルウインドウを採用。
ベース車はトヨタ コースター ビッグバンLXハイルーフ 標準ボディを使用。足回りには、フロントにモンロー製強化アブソーバーに交換、リアはモンロー製強化アディショナルアブソーバーを追加している。
またクレアやクレソン同様、ドレスアップにフロントフェイスパネルをオプションで用意している。
インテリア
落ち着いた雰囲気のインテリア
同社のキャブコン同様、各部の作りは洗練されたものになっている。家具色はローズウッド、アンティークウッド、チーク、ウォルナットの4色から選択できる。写真はアンティークウッド。
レイアウト
前部に対座ダイネットとギャレー、後部にベッドルーム、中央にユーティリティールームを配置。ギャレーはダイネットのすぐ隣に配置し、料理をすぐにテーブルに運んだり、冷蔵庫にアクセスしやすい位置になっている。
ダイネット
対座ダイネット
ダイネットには4名が対座でき、テーブルも大きいのでファミリーでの食事も無理なくできる。
3列目シートは2名分の3点式シートベルトが備わっており、運転席、助手席と合わせて計4名が前向きに座ってドライブできる。
なお、ダイネットは展開すると1800x900mmのベッドになり、エクストラベッドとして使用できる。
ベッド
ツインベッド
TypeTの最大の特徴がツインベッド。輸入車を含め、縦置きツインベッドのレイアウトでは7mクラスになってしまうが、ボーダーバンクスTypeTは唯一6.25mで実現している。
ベッドサイズは1900x800mmと1800x800mmで、どちらもウッドスプリング仕様。また、ベッド間をマットで埋めると、幅は2000mmになり、これは家庭用ベッドのキングサイズ以上の幅になる。
バンクベッド
バンクベッドは1900x1700mmの大きさで、車幅方向に2020mm。奥はルーフ高が低いため、実質的には子供用ベッドかとして使える。二人旅の場合は荷物を置くスペースとして活用できる。
ギャレー
丸形シンクが設置されたギャレー
大きなギャレーコンソールがダイネット横に配置され、丸形シンクと2口コンロがビルトインされている。その間には広い調理スペースがあり、手の込んだ料理も難なくこなせる。
煙の出る料理をする場合は、オプションのレンジフードを付けておくと良いだろう。
また引き出し収納や扉収納も豊富に用意されており、食器類はもちろん、大きめの鍋やフライパンなど調理用具も余裕で収納できる。
冷蔵庫/電子レンジ
49L冷蔵庫と家庭用電子レンジが標準装備される(写真:ナッツRV)
90L冷凍冷蔵庫と電子レンジもギャレーコンソールに標準装備されている。どちらもアクセスしやすい場所で、調理中でもダイネットからでもすぐに手が届く。
ユーティリティールーム
ポータブルトイレかカセットトイレがオプション設定されている
サニタリールームではなく、ユーティリティールームとしたのは、中の設備は全てオプションなため。即ち、これらの装備が不要なユーザーは、このスペースを大きな収納庫として使用できる。
サニタリールームとして使用する場合は、オプションでカセットトイレやレストルーム設備が装備できる。レストルーム設備にはミラーキャビネット、シャワーキット&シャワーカーテン、シャワーパン、専用手洗い、換気扇が含まれる。
また、温水用にボイラーもオプションで設定されている。これはラジエーターの熱交換か電気で22Lの水を温水にするもので、電気の場合は外部電源が取れる場合のみ使用できる。60℃くらいまでの温水ができるので、これを水と混合して適温にする。
収納
奥行きがあるオーバーヘッド収納
ダイネット上、ギャレー上にオーバーヘッド収納が取り付けられている他、ベッドルームにも左右と奥の3面にオーバーヘッド収納が設置されている。各オーバーヘッド収納は奥行き、高さともに十分で、大きな収納力を持つ。
また、ギャレーには先述のように大小の収納スペースがあり、食器や調理器具を収納できる。更にロングコートも吊るしておけるクローゼットも用意されている。
後部ベッド下は広大な外部収納になっており、左右とリアからアクセスでき、キャンプ用品なども余裕で積み込むことができる。ただし、自転車のように高さがあるものはそのままでは積み込めない。小型の自転車なら横にして収納することになる。
空調
家庭用エアコンがオプション設定されている
暖房はドイツエバスペヒャー製のFFヒーター、エアトロニックD4が標準装備される。このFFヒーターは最大暖房能力が4KWで、これはバンコン用FFヒーターの2倍の能力を持つ。
吹き出し口はサニタリールームを含め4か所で、車内全体を温めることができる。
冷房は家庭用セパレートエアコンを標準装備。ナッツRV独自の「エボリューションシステム」で実用的に使用することができる。
また、ベンチレーターが標準装備される。
テレビ/ナビ
19型のテレビがギャレーのコンロの上部に設置されている。またベッドルームにも取り付け可能。
ナビはオプションで指定品が用意されているが、持ち込みでも取り付けることができる。
電装系
100Ahのディープサイクルバッテリーが4個標準装備される。これだけの容量があればエアコンも実用的に動作させることができるが、これに加え、同社独自のエボリューションシステムが標準装備される。
エボリューションシステムは、いわばベース車のエンジンを発電機のように使うシステムで、エンジンが回っていれば、エアコンを連続して運転することができる。また、4~5時間でサブバッテリーを満充電することができる。
なお、リチウムイオンバッテリーはオプション設定されていないが、必要に応じて訪ねてみると良いだろう。
価格(税別)
ディーゼルターボ2WD/6ATで1354万円~。ほとんどの必需品は標準装備されているので、最低限取り付ける必要があるオプションは無い。なお、トイレ付きのサニタリールームで温水シャワーを使いたい場合は、レストルーム設備(172,500円)、カセットトイレ(136,620円)、ボイラー(115,000円)が必要になる。
他モデル
国産セミフルコンはボーダーバンクスの他には、RVビックフットの「ACSオアシスSH」と、フィールドライフの「シリウス」と「ルーツ」シリーズが主なモデル。
この中で、ボーダーバンクスTypeTは6.25mと短いがツインベッドを持つ。またエボリューションシステムでユニークな電装系を持つのが特徴だ。
まとめ
このクラスになると輸入モデルも比較対象になってくる。洗練されたインテリアやお洒落なサニタリールームを持つ輸入モデルの魅力も大きい。また最近ではサンリビングやサンライトなどセカンドブランドの輸入モデルが800万円台の価格で発売されており、国産セミフルコンより安価になっている。
このような状況だが、国産セミフルコンのメリットは、国内のインフラに対応した設計がされている点だろう。またベース車がトラックではなくマイクロバスである点は、国産キャブコンと比較して、乗り心地の面で優位点だ。
ボーダーバンクスのインテリアは、もはや輸入モデルと比較しても遜色なく、ガスや電気、家庭用エアコンやソーラーシステムなど、装備もはるかに使いやすい。今や国産最高峰のモーターホームと言える。
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