ROOTS Trip5.9 フィールドライフ


ROOTSはフィールドライフが製作する、日産シビリアンをベースにしたセミフルコンバージョンキャンピングカー。
同社は軽キャンパーとセミフルコンの両極端のラインアップを揃えるユニークなビルダーで、ROOTSは国産モデルの最高峰であるセミフルコンの中でもロングセラーを誇る看板モデルだ。

セミフルコンというカテゴリーはバスコンと並び日本独特のもので、マイクロバスをベース車にしている。バスコンはボディをほぼそのまま使用するのに対し、セミフルコンは後部をボディカットしてシェルを架装する。その意味ではキャブコンなのだが、トラックをベースとするキャブコンと区別するため、このカテゴリーが設けられている。ちなみに、海外のフルコン(欧州ではフルインテグレーテッド、米国ではクラスAなどと呼ぶ)とは、完全にシャシーだけのベースにボディを架装する形態を言う。

従ってセミフルコンは国産最高峰のカテゴリーにあたるが、その数は多くない。このROOTSの他、RVビックフットのオアシス、ナッツRVのボーダーバンクス、そしてフィールドライフのシリウスがあるだけだ。(ナッツRVはボーダーバンクスをバスコンとしている)

ROOTSには対座ダイネットのROOTSオリジナル(現在受注はしていない)、ソファダイネットと広いギャレーカウンターを持つROOTS EVO、そしてソファダイネットながら単座シートも持つROOTS Tripがラインアップされいる。ROOTS EVOが完全なふたり旅仕様であるのに対し、ROOTS Tripはもう一人前向き乗車でドライブできる汎用性を備えている。
なお、ROOTS Tripには全長により、5.6、5.9、6.6が存在する。

 前部のレイアウト

ダイネットは前向き着座できないソファシートがメインなので、ふたり旅仕様と考えられるが、同じくソファーダイネットを持つROOTS EVOと比較すると、ROOTS Tripには運転席、助手席とは別に、もう一つ単座シートが設けられている。すなわちもう一名前向きに着座してドライブできるようになっているので、ROOTS EVOよりは汎用性がある。逆に二人で使用することがメインなら、ROOTS EVOのほうがスペース効率は良い。
ROOTS EVOでは、この単座シートの位置に 広いカウンターを持つギャレーが設置されており、 料理をするにはより適したキッチンとなっている。ROOTS Tripでは、ギャレーは後部に移されており、調理できる面積もEVOに比べて狭くなっている。

ROOTS Tripの後部には横置きハイマウントダブルベッドが 配置されており、 2,000x1,315mmの広さがある。 この幅は家庭用ベッドのセミダブル(1,300mm)よりは広いが、ダブルベッド(1,400mm)よりは狭い。
ベッドルームには大きなサンルーフがオプションで設置でき、星空を見ながら就寝することができる。

 後部のレイアウト

なお、ソファダイネットも展開して1,900x1,100サイズのベッドになるので、ゲストがある場合はここでも2名が就寝できる。

ギャレーには、二口コンロが一体になったコンビネーションシンクがビルトインされている。ただ、調理スペースはあまり広くなく、最高峰に位置するモデルにしては貧弱に見える。
ギャレーコンソールには引き出し収納も付いており、小さな食器の収納に便利だ。
また、高級モデルらしくコンロの上にはレンジフードも装備されている。煙の出る料理では重宝するだろう。

 2口ガスコンロと一体のシンク

ギャレーコンソールの隣には110Lの大型冷蔵庫と電子レンジが標準で収納されている 。
ただしインバーターはオプションなので、これを装備しないと電子レンジをバッテリーで動作させることはできない。電子レンジが標準装備なら、1500W程度のインバーターも標準で装備しておいて欲しいところだ。

ユーティリティルームも確保されているが、カセットトイレや温水シャワーはオプション 。確かにトイレや温水シャワーは使わないというユーザーは少なくないが、車格的にはこれも標準装備にして、不要なユーザーに対してはマイナスオプションとして設定した方が良いのではないだろうか。
なお、給水タンクは77リットル、排水タンクは60リットル の容量があり、温水シャワーを付けた場合は、トルマの10リッターボイラーで湯を沸かす。これを水と混合して使うが、水の温度が低い場合は2名分でも足りない可能性がある。ラジエーターの熱で湯を沸かす熱交換式も可能性があるようなので、相談するとよいだろう。

 ユーティリティールームはカセットトイレを設置してトイレルームにすることができる

収納は、ダイネット の上、ギャレーの上、ベッドルームにそれぞれオーバーヘッド収納が設置されており、奥行きも深いので実用性が高い。
またギャレーコンソールや冷蔵庫の下、あるいは電子レンジの上、そしてダイネットシートの下にも収納スペースが用意されている。
さらに後部のベッドルーム下には大きな収納スペースが用意されており、車外からアクセスできる。

空調はFFヒーター、家庭用エアコンどちらもオプションで設置できる。これに関しても、車格的に今日では標準装備であるべき装備だろう。

電装系は105Ahのサブバッテリーを2個標準装備しており、オプションで更に2個を追加できる。走行充電と外部100V充電は標準装備。
また、ホンダ16iを室外に搭載可能。車内から停止操作もできる。ただし、発動は車外に行く必要がある。

ROOTS Tripはフルセミコンとして国産最高峰に位置するモデルの一つだ。 優雅なソファダイネットや広い常設ベッドなど、バスベースの余裕あるスペースと相まって豪華な室内を形作っている。
しかし反面、 カセットトイレ、FF ヒーター、家庭用エアコン、インバーターなど、この車格なら当然標準装備であるべきものがオプションとなっている。 車両本体価格は標準で約1060万円(税別)だが、これらの装備と温水シャワーをつければ100万円程度の追加となる。最近安価になっている輸入車に太刀打ちするのが厳しくなるだろう。
もっともマイクロバスということで、乗り心地に対しては大きな優位性がある。最近フルモデルチェンジしたトヨタコースターに比べ、少々古さが目立つ日産シビリアンではあるが、ガソリンエンジンを選択できると言う意味では選択する価値がある。

モデル ROOTS Trip 5.9
ビルダー フィールドライフ
ベース車 シビリアン
形態 セミフルコンバージョン
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 7
就寝人数 4
ダイネット形態 ロングソファ+単座チェア
ベッド形態 ハイマウントダブルベッド
ダイネット展開フロアベッド
コンロ ○(2口バーナーシンク一体型)
シンク
給水タンク ○(77L)
排水タンク ○(60L)
冷蔵庫 ○(110L)
電子レンジ
ユーティリティールーム
ポータブルトイレ OP
カセットトイレ OP
温水シャワー設備 OP
ルーフベンチレーター
サンルーフ OP
FFヒーター OP
ルームエアコン OP
サブバッテリー ○(105Ah x1)
バッテリー増設 OP
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター OP(1500W)
発電機 OP
ソーラーシステム OP(100W x2)
全長(mm) 5,950
全幅(mm) 2,100
全高(mm) 2,800
価格 1060万円~(2WD/6AT)

2018年9月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

ROOTS Trip5.9の動画はこちら

2018.9.4