ビックボール(Bicball)はカトーモーターが製作販売するけん引免許不要のキャンピングトレーラー。同社は他にもトレーラーのラインアップを持つが、ビックボールはアウトドアを意識した異色のトレーラーだ。
国産トレーラーなので、エントランスが左にある。トレーラーは輸入モデルが多かったが、ここにきて国産トレーラーが各社から発売されている。まだ多くはないが、国内の環境にあったトレーラーが増えつつある。
そしてビックボールの最大の特徴が、スライドアウトするギャレーセクション。
シンク、2口コンロ、14リッターのポータブル冷蔵庫がビルトインされたギャレーセクションが丸ごとスライドアウトする。
2口コンロが埋め込まれたギャレーセクション
スライドアウトといっても、室内を広くするのがメインの目的ではなく(それもあるが)、アウトドアでの調理が目的となっている。
すなわち、車内と車外の仕切りがなくなり、中からでも外からでもギャレーにアクセスできるようになる。
外側にはカウンターテーブルが設置されているので、内側で調理して外側のお客さん(?)に料理をふるまうといった使い方もできそうだ。
ただし、コンロの火力調整は外側からしかできないようだが。
そこで気になるのが、雨などでスライドアウトが展開できない場合、車内で調理はできるのか、という点。
コンロの点火ができそうにないが、その意味では上面でコントロールできるコンロのほうが良かったかもしれない。まあ、その場合は、天板を閉じてしまって、その上で卓上型のカセットコンロを使えばよいのだが。
いずれにしても、オプションのベンチレーターは付けておいたほうが良さそうだ。
アウトドア志向のトレーラーといえば、エアストリームのBasecamp(ベースキャンプ)が思い出されるが、ビックボールは更にアウトドア志向を明確化したトレーラーと言える。
車内には、コの字型の広いソファーダイネットがあり、5~6名でテーブルを囲むことができる。
このダイネットは展開してベッドになるが、後部にも引き出し式のハイマウントベッドが設置されている。どちらも2名がゆったり就寝できるサイズだ。
広いソファダイネット
下の写真は、後部のスライドしてダブルベッドになるハイマウントベッド。
引き出し式のハイマウントダブルベッド
収納はハイマウントベッドの下に用意されており、小型のバッグなどの収納ができる。
また、クローゼットも用意されている。外と直結されているので、遅い時間になると寒くなってくることもあり、厚手の上着などを入れておくのに大変便利だ。
インテリアは同社おなじみの、木の感覚を生かした落ち着いたもので高級感がある。
空調はベンチレーターとFFヒーターがオプションで用意されるが、冷房関係は設定されていない。しかし、コンセプトから考えると、エアコンなどの冷房はあまり重要ではないだろう。
電装系は105Ahのサブバッテリーが1個標準装備される。
これも大きな消費電力の電装品があるわけではないので、これで十分だろう。
ビックボールはアウトドアをメインコンセプトにした今までにないトレーラーで、まさに遊び方を提案している。
家族や気の合う仲間でオートキャンプ場に引いていき、アウトドアでバーベキュー(に限らないが)を楽しむ、といった使い方が想定されているのだろう。
食事の後は広いソファダイネットに移り、カクテル(に限らないが)で大人の時間を楽しむといったところだろうか。
長期旅用でもなければ車中泊専用でもなく、アウトドアで食事を楽しむためのトレーラーという明確なコンセプトが打ち出されている。
従って、使い方はかなり限られるだろうが、もちろんそんなことは問題ではない。
どのような用途にも対応するとか、どのような人員構成でも対応できるというのも一案ではあるが、ビックボールのように明確なコンセプトで作られたモデルは、やはりインパクトがある。