ACSオアシスSH RVビックフット


ACSオアシスSHはRVビックフットが製作するセミフルコンバージョンタイプのキャンピングカー。トヨタコースターのボディをカットして、FRPシェルを架装している。そのため、バスコンではなくセミフルコンのカテゴリーとなる。

シェルはハイルーフ化されており、オリジナルのコースターよりも室内高が高く、更に開放感のある室内を実現している。
インテリアはACSシリーズに共通するホワイトで統一されており、お洒落感と非日常感を醸し出す。


このモデルは、同社のACSオアシス5.9の後継にあたり、コンセプトは継承され全長は6mを切る5,995mmとなっている。
同時に発表されたACSオアシスLLは6mを超える6,290mmの車長があるが、こちらはバスコン。LLはLong Low Roof、SHはShort High Roofの意味でSHのほうが車長が短く、ハイルーフとなっている。

レイアウトは、前部にL字型ラウンジソファ、後部にハイマウントダブルベッドの構成。その間にギャレーとサニタリールームを設置している。

ダイネットはL字型ラウンジソファをを採用していることから、ふたり旅を想定したレイアウトと言える。ダイネットはフラットにしてベッドになり、また単座シートも用意されているのでファミリーにも対応できるが、ドライブは前向き着座できないので、やはりふたり旅用のレイアウトと考えた方が良いだろう。


最後部のベッドルームには横置きハイマウントダブルベッドが設置され、24型テレビも標準装備される。ムーディーなインテリアとライティングは最高級モデルに相応しい。

ギャレーはベドルームの左前にあり、IHコンロが標準装備される。ACSシリーズの特徴で、オール電化を実現している。ただ、コンロは1口なので、同時に2つの加熱はできない。確かに火を使わないのは安全面から、特に一酸化炭素中毒などの事故を避けるためには有用な選択ではあるが、消費電力と調理する場合の実用性を考えると、2口のガスコンロのほうが使いやすいように思われる。
もちろん、調理はほとんどせず湯を沸かすくらいであれば、IHの方が便利ではあるが。


ギャレーの向かい側には137リッターの2ドア大型冷蔵庫が設置されている。これもACSシリーズに共通する特徴で、余裕ある電気を背景に実現している装備だ。
更にオーブンレンジも標準装備される。
もちろんインバーターは3000Wの大容量なので、サブバッテリーでオーブンレンジを駆動できる。

ベッドルームの右前にはサニタリールームがあり、温水便座付きのカセットトイレ、温水シャワーが標準装備される。
水は23リッターの電気ボイラーで加熱し、水と混合して適温にする。即ち、混合する水の温度が低いと、使用できる適温の湯量は少なくなる。清水タンクは80リッターなので水量自体は二人なら十分対応できるが、温水ボイラー1回分で二人が使用する場合は、冬場は節約気味で湯を使用する必要があるだろう。


また輸入モデルのようにシャワールームとトイレルームが別れていないので、シャワーを使うと便器は濡れてしまう。
シャワーを使うユーザーは多くないので、どこまでコストをかけるかは悩ましいところだが、使うユーザーからすると輸入モデルに比べてマイナスポイントとなる。

収納は、ダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム上にオーバーヘッド収納が豊富に用意されており、奥行きもあるので収納力は高い。
ギャレーにはシンク下に小さな収納スペースが有るが、これは引き出しにするとスプーンや箸など小さな食器の収納スペースとして使いやすかったのではと思われる。

ベッド下は大きな収納スペースがあり、車外から大きな荷物を入れることができる。ただ、扉は右サイドにしか無いので、奥に入れた荷物を取り出すのは苦労しそうだ。
自転車を入れるのも難しそうだが、折りたたみ自転車なら入るかも知れない。
この収納スペースには車内からもアクセスでき、体が通れるほどの開口部があるので、奥の方にはここからアクセスするという方法もある。


空調はFFヒーターと家庭用セパレートエアコンが標準装備されるので、夏冬とも快適だ。大容量のリチウムイオンバッテリーが装備されているので、エアコンも実用性が高い。

電装系はこのモデルのみならず、ACSシリーズ全体の特長で、大容量バッテリーと大容量ソーラーシステムによって電気不足を解消している。
特にこのACSオアシスSHでは160Ahのリチウムイオンバッテリーが2個標準装備されており、十分な電気容量を保存できる。
また155Wのソーラーパネルが3枚標準装備される他、オプションを追加すると最大825Wまでのソーラーシステムを搭載できる。

 ソーラーパネルが敷き詰められたルーフ

これだけのソーラーシステム発電容量があれば、長期旅でも電気を求めて日程を制限されるということは少なくなるだろう。ただ、ソーラーシステムで常にバッテリーをフル充電できるというわけではない。
仮に天気が非常に良くて825Wをフル発電できたとしても、825(W)÷12(V)=69(A)となり、320Ahのバッテリーをゼロからフル充電するには320(Ah)÷69(A)=4.6(時間)となる。
もちろんこれは単純計算なので、現実的にはもっと時間がかかる。しかし一方では常に空になるまで電気を使うわけではないので、減った分だけ充電すればよい。
即ち、ソーラーパネルだけで長期旅をこなすには、どの程度電気を使うかによるわけで、エアコンを長時間使ったり、オーブンレンジやIHコンロを多用すると、やはり外部充電に頼る必要も出てくるだろう。

ACSオアシスSHは、同社のフラグシップモデルだけあって、それに相応しいクオリティーと装備を備えている。特に装備はほとんどのものが標準となっているので、オプションで追加するものは少ないだろう。

ただし価格も16,285,000円(税別)と国産セミフルコンと比べても飛び抜けて高価だ。競合には当然高級輸入モデルも入ってくるので、難しい選択になる。
ただ、大容量ソーラーシステムとリチウムイオンバッテリーによるソリューションは、他のモデルにはない大きなアドバンテージとなるだろう。


モデル ACSオアシスSH
ビルダー RVビックフット
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 6
就寝人数 4
ベース車 トヨタコースター
日野リエッセII
ダイネット形態 L字型ソファ
ベッド形態 ハイマウントダブルベッド
ダイネット展開フロアベッド
サブバッテリー ○(リチウムイオン160Ah x2)
バッテリー増設 -
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター
大容量インバーター ○(3000W)
ルーフベンチレーター
サンルーフ -
コンロ ○(IH)
シンク
給水タンク ○(80L)
排水タンク ○(100L)
冷蔵庫 ○(137L)
電子レンジ ○(オーブンレンジ)
ユーティリティールーム
ポータブルトイレ -
カセットトイレ ○(洗浄便座付き)
カーテン/ブラインド
FFヒーター
ルームエアコン
温水シャワー設備
発電機 -
ウインドウ架装 -
アクリルウインドウ
サイドオーニング OP
ソーラーシステム ○(155W x3)
全長(mm) 5,995
全幅(mm) 2,200
全高(mm) 2,970
価格 1629万円~(2WD/6AT)

2018年4月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

ACSオアシスSHの動画はこちら

2018.4.23