cott（コット）はレクビィが製作する、トヨタ タウンエース バンをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社はカントリークラブなどをはじめとするハイエーススーパーロングベースのハイエンドバンコンから、コンパクトなハイエースベースのソランシリーズをラインアップするバンコン専門ビルダー。
最近では、温水シャワールームを持つミドルサイズバンコンイゾラ2024年バージョンを発表した。
今回紹介するcott（コット）はジャパンキャンピングカーショー2024で、タウンランダーと同時に発表されたタウンエースベースのコンパクトバンコンキャンピングカーで、同社では初のタウンエースベースモデルとなる。
コットは同社のRBL（RECVEE BLUE LINE)のカテゴリーに属している。このカテゴリーは、ホビクルオーバーランダーIVなど、シンプルだが趣味性の高いモデルのラインアップとなっている。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
トヨタ タウンエース バンGLをベース車にしたコンパクトバンコンキャンピングカー。コンパクトな車体で運転しやすく、ノーマルルーフなので高さ制限のある駐車場にも駐車できる。
可愛いボディ塗装とデカールがオプションで用意されており、エクステリアも目を楽しませてくれる。インテリアもエクステリアのデザイン（OP）と統一感があり、明るいイメージの室内となっている。
電装系に100Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備。機動力のある日常用途、仕事や趣味のベース基地として、あるいは万一の災害時のシェルターとして、様々に使うことができるシティキャンパーとなっている。
アピールポイント
・機動性の高いコンパクトな車体
・ポップなエクステリア（OP）
・49L横開き式冷蔵庫を標準装備
・100Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
ベース車とエクステリア
コットのエクステリア （OP）
ベース車はトヨタ タウンエース バン GL。エクステリアに架装はほとんど無いが、左右のリヤクオーターウインドウにカッティングシートが標準で貼られる。オプションで上の写真のような塗装とオレンジ色のデカールが用意されており、ポップな印象になる。
GLグレードが標準なので、ボディ同色バンパーや電動格納式ミラー、ワイヤレスドアロック、パワーウインドウなどが標準装備される。また、スマートアシストも標準装備される。
インテリア
コットのインテリア
インテリアはエクステリアのカラーリング（OP）と統一感のある、空色とクリーム色地にオレンジのラインが入ったシートを採用。家具は明るい木目のものが使われている。後部両側のウインドウ部にはモールシステムボードが標準装備されており、小物を吊り下げて収納できると同時に、自分好みにアレンジできる。
レイアウト
2列目に3人掛けの1200mm幅のマルチモードシート（REVOシート）を配置し、3列目右側には横座りシートを配置している。最後部にはギャレーキャビネットが配置されている。
ドライブモード
2列目のマルチモードシートを前向きにするドライブモードでは、運転席、助手席を合わせて5名が前向き乗車できる。乗車定員も同様に5名となっている。このモードでもテーブルを立てることができる。
ダイネット
L字型のダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートとでL字型のダイネットになる。なお、後部のみベッドモードにすると簡易的なシートになり、2列目シートと対座して座ることもできる。
後部の大きなテーブル
後部の大きなテーブルは、趣味の作業やテレワークの拠点などとして使用することができる。ダイネットの延長として使用することができる。
ベッド
ベッドモード
全てのシートをフラットにすると、1800x1200mmのベッドになる。1200mmは家庭用のセミダブルベッドの幅と同等で、2名がゆったり就寝できる。ギャレーキャビネットと干渉せず、足元まで1200mmあるのは嬉しい。
前席背面マット（OP）
運転席、助手席を前に倒すと背面が背もたれになって足を伸ばして寛げるが、オプションの前席背面マット（52,800円）を装着すると更に快適な背もたれになる。
ただし、このマットを装着してドライブモードでテーブルを立てる場合、マットとテーブルが多少干渉する場合がある。その場合は簡単に取り外せるので、取り外すと良いだろう。
ギャレー
ギャレーセクション
後部右側にギャレーキャビネットが設置されており、丸形のシンクとシャワーフォーセットが設置されている。シャワーフォーセットは引き出して車外で使用することができる。
シンクの下の給排水タンク
ギャレーキャビネットの下には各13Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けてタンクを出し入れすることができる。タンクの下には扉なしの収納が用意されている。
冷蔵庫/電子レンジ
49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備されている。ダイネットからアクセスしやすく、また車外からもペットボトルなどを出し入れすることができる。なお、電子レンジはオプション設定が無い。
収納
冷蔵庫下の引出し収納
冷蔵庫の下に引き出し収納が用意されている。このような収納が用意されているのは嬉しいが、冷蔵庫の上部に引き出し収納があった方が使いやすかったかもしれない。
ベッド下の収納
ベッドモードの場合は、ベッドの下が大きな収納スペースになる。就寝時に荷物がベッド上に散乱するのを防ぐことができる。
最後部の大きなカーゴスペース
ドライブモードでは後部は広いカーゴスペースになる。更に調理台を外すと、背の高い荷物も積むことができる。日常用途では便利なスペースだし、キャンプ用具などかさばる荷物を積む場合にも有用だ。
空調
マックスファンベンチレーターはオプション
暖房はFFヒーターが標準装備されるが、冷房のオプション設定は無い。将来用意されることを期待したい。ベンチレーターはマックスファンがオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
11.6インチのフリップダウンモニター（OP）
11.6インチのフリップダウンモニターがオプションで設置できる。ドライブ中に2列目シートから観るのに適している。
電装系
3列目シート下の電装系
3列目の横座りシート下には電装系が収納されている。特筆されるのは100Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されること。
クーラーや電子レンジが装備されていないのでディープサイクルバッテリーでも良いように思われるが、リチウムイオンバッテリーが標準装備されるのはコスト的にも下がってきたため。それなら経年劣化の少ないリチウムイオンバッテリーのほうが長期的には低コストになる。
ポータブル電源用入力コネクタ
走行充電、外部100V電源入力とチャージャーも標準装備されるが、インバーターの設定は無い。従って、外部電源が無いと100Vのコンセントを使用できないことになるが、ポータブル電源を持ち込んで照明や100Vコンセント用のシステム電源として使用するための入力コネクタが用意されているので、これを使えば可能だ。
しかし、折角100Ahのリチウムイオンバッテリーがあるので、これを使うためにも、やはりインバーターは欲しいところだ。
200Wのソーラーシステム（OP）
200Wのソーラーシステムがオプションで用意されている。オプションにはルーフに取り付けるためのルーフラックなども含まれており、黒いルーフラックは外観上のアクセントにもなっている。
価格（2024年2月現在：千円台切り上げ：税込）
2WDは471万円～、4WDが496万円～となっている。FFヒーターや主な電装系などは標準装備になっているので付けておきたい必需オプションは無いが、先述の通りインバーターは欲しいところだ。（ナビ関連は除く）
予算に余裕があればマックスファン（82,500円）、200Wソーラーシステム（220,000円）を付けておきたい。
他モデル
タウンエースベースのノーマルルーフバンコンは非常に多く存在する。2列目にマルチモードシートを持ち、ギャレーを持つモデルで絞り込むと、AtoZのアンナ Model L（394万円～）、カトーモーターのウネリ（402万円～）、オートワンの給電エース（323万円～）、ダイレクトカーズのスープ（428万円～）、フロットモビールのシュピーレン（価格不明）などがある。
まとめ
旅グルマ（トラベルキャンパー）とシティキャンパーという言葉があるなら、コットは後者の典型的なモデルだろう。シティキャンパーの定義と言うものは無いが、おおむね、通勤や買い物などの日常用途にも使い、休日は近場の行楽施設やキャンプ場に出かけ、車内で寛ぐことができ、趣味や仕事の場ともなる、といったところだろうか。
これにエクステリアやインテリアへのこだわりが加わり、独自性の高い外観や自分好みのインテリアが重視される。最近では万一災害に遭った時のシェルターとしての用途も考え、普通の乗用車やミニバンの代わりに購入するユーザーも増えている。
同時に発表されたタウンランダーが男性向けなら、コットは女性ユーザーを意識したモデルだろう。普通のクルマには興味がないが、可愛く広いクルマなら休日に少し遠出しておいしいものでも食べに行きたいというユーザー層は存在するだろう。
そのようなユーザーを考えた場合、コットはおそらく最も近い存在だ。上に挙げた他モデルは装備こそ近いものの、コットほど可愛くない。ほとんどが「まっとうな」硬派だ。なお、ソランでも「そらいろ」の塗装の割合が多いそうだ。
そのコットにも疑問点はいくつかある。まず、クーラーの設定が無いこと。コンパクトなボディなので設置が難しいのは分かるが、他モデルでは軽バンコンにもクーラーが装備されつつある。近年の暑い夏を考えると、クーラーは今後必需装備となるだろう。
もう一つはインバーターがオプション設定されていない点。折角リチウムイオンバッテリーが標準装備されているので、これで100Vが使えないのはもったいない。最初から電装系は搭載せず、ポータブル電源をシステム電源として使用することを前提にしても良かったかもしれない。
このような疑問点はあるが、コットは今までありそうでなかったモデルだ。高級で硬派なモデルのビルダーのイメージだった同社だが、ソランの成功に続き、同社のもう一つのイメージとして定着するだろう。
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