リトリートNV Popはダイレクトカーズが製作する、日産Nv200バネットをベース車にしたバンコンキャンピングカー。ポップアップルーフを標準装備する。
同社はハイエースバンコンを専門とするが、カムロードベースのキャブコン「トリップ」やハイエースベースのキャブコン「モビリティホーム」から軽キャブコンまで、今や総合的なモデルラインアップを持つ。
リトリートNV Popは同社のリトリートシリーズの一環で、リアルウッドを使用した室内を特徴とし、ハイエースやN-VANベースモデルもあり、今回はNV200バネットベースが加わった。
（記事中の価格は全て税込です）
コンセプト
ハイエースよりもコンパクトで扱いやすく、軽キャンパーよりもパワフルで広い室内を持つNV200バネットをベースに、ポップアップルーフを標準装備する。
同社のリトリートシリーズの5番目のモデルで、他モデルと同様リアルウッドの室内が特徴。リトリートNV Popでは特にペットとのクルマ旅を提案。ペットのためにクーラーを標準装備しているのが大きな特徴だ。
エクステリア
リトリートNV Popのエクステリア
ベース車は日産NV200バネット。このクルマはボンネットを持ち、一見ミニバンのように見え、キャブオーバーではないので運転にも違和感がない。しかし商用車のため荷室が広く、一般のミニバンよりもはるかに大きな室内スペースが確保できる。
更にポップアップルーフが標準装備され、高い天井高により圧迫感が少ない。ポップアップルーフはダンパーで軽く開閉でき、バグネットモードと就寝時はブラインドモードにできる。
グレードはDXグレードで、バンパーが黒い樹脂のままだが、リトリートシリーズの性格上、むしろこの方が似合っている。
インテリア
リアルウッドが特徴のインテリア
リトリートNV Popは他のリトリートシリーズと同様に、リアルウッドを多用したインテリアで山小屋のような室内。ペットとのクルマ旅を想定しているため、ケージを固定するフックやリードをつないでおける金具が用意されている。
レイアウト
他に類を見ないレイアウトで、大きな収納家具とシングルベッドが並べて置かれている。特にダイネットシートらしきものは無く、あえてダイネットと呼ぶならベッドボードの上でちゃぶ台スタイルで過ごすことができる。
運転席と助手席以外にシートは無いので二人旅（とペット）仕様のレイアウトと言える。
ダイネット
家具とシングルベッドのレイアウト
先述のように、ダイネットと呼べるのかわからないが、寛ぐスペースとしてはシングルベッドの上ということになる。大きな収納家具の上はユーザーの好みで使えばよいが、展示ではペットのケージが置かれている。
もちろん人間が「板の間」として使っても良いだろう。同社のHPには「ペットの膝への負担を考え、スキップフロア構造を採用」とあり、段差を付けてペットが家具の上まで上がりやすいようにしている。
ベッド
後部から見た室内
下段ベッドは3枚のベッドボードを敷きつめると1810x670mmの大きさのベッドになる。670mmは家庭用のセミシングルにも満たない幅だが、キャンピングカーでは500mmあれば大人1用とされており、670mmでは寝返りも打てる。
ルーフベッドでは2名が就寝できる
もう一つのベッドはルーフベッドで、こちらは1840x1030mmで家庭用シングルベッドより少し大きい程度。キャンピングカーの規定では大人2名が就寝できる大きさだ。従って、計3名が就寝できるベッド数がある。
ただし、注意すべきは（ポップアップルーフ車全てに言えることだが）雨風が強い場合はポップアップルーフを上げることができないこと。即ち、全員が下段で就寝することになる。
ギャレー
リトリートNV Popはギャレーを持たない。従ってシンクや水回りは無いが、ペットボトルや水タンクを持ち込んで水を使うことはできる。また、ポータブルカセットガスコンロを使って、広い収納家具の上部で調理することも可能だ。ただしベンチレーターは装備できないので、換気には十分注意する必要がある。
冷蔵庫/電子レンジ
18Lのポータブル冷蔵庫が標準装備される
18Lのポータブル冷蔵庫が標準装備される。最後部にあるので、車外からもアクセスしやすい。家具に収納されているため、置き場所に困ることは無い。
電子レンジはオプション設定されていないが、どこかのスペースを犠牲にすれば必要に応じで設置することは可能だろう。サブバッテリーが強力なので、オプションには設定されていないが1500Wのインバーターを装備すれば電子レンジはどこでも使用できる。
ユーティリティールーム
リトリートNV Popにユーティリティールームやトイレルームはもちろん無いが、ポータブルトイレは置けないことは無い。しかし小さな子供を持つファミリー用ではないので、その必要性は無いだろう。むしろペット用のトイレを置く必要がある。
収納
反対側（右側）のスライドドアからアクセスできる
大きな家具の内部は収納スペースになっている。アクセスは反対側（右側）のスライドドアからできるようになっているが、おそらくペットの用品やおもちゃなどを入れておく想定なのかもしれない。
エントランスドア側からもアクセスできると思われるが、この辺りは使い方によってオーダーできるだろう。なお、大きなキャンプ用品やバッグなどは、シングルベッドの下に収納しておける。
空調
12Vの車載用クーラーが標準装備される
同社のHPには「夏場のキャンプ場において人はもちろんペットにも不可欠となるDCクーラーを標準装備」とさらりと書かれているが、これは実は画期的なことだ。NV200バネットクラスのバンコンで、本格的なセパレートクーラーを付けたのは、おそらく初めてだろう。
12Vの車載用クーラーで、家庭用クーラーより一回り小さいが、それでもNV200バネットクラスに付けたモデルは今までになかった。もちろん標準装備というのも画期的だ。いよいよコンパクトバンコンクラスにも本格的なクーラーが搭載され始めた。リトリートNV
Popはエポックメーキングな1台だ。
テレビ/ナビ
車外からでも見られる19型のテレビ（オプション）
19型のテレビがオプション設定されている。自在ステーで車内でも車外からでも見られる。また、7型のナビシステムがオプション設定されている。
電装系
リチウムイオンバッテリーを標準装備
100Ahのリチウムイオンバッテリーが2個（＝200Ah）標準装備されている。クーラーを標準装備したので、実用的にクーラーを使うためリチウムイオンバッテリーも標準装備しているのだが、安価なディープサイクルバッテリーで妥協していないところが、このビルダーに対する信頼を高めている。
COOLSTARのサイトでは「最大出力時は60Aですが、いったん室内が冷えてしまえば10～15A程度で稼働することができる」とあるので、200Ahのリチウムイオンバッテリーなら夏の日中で4時間程度は稼働できそうだ。夜なら、朝までエアコンを稼働できるだろう。
なお、外部電源入力と充電機能、1500Wインバーターはオプション。また165Wソーラーシステムもオプションで用意されている。
価格（2021年5月現在：千円台切り上げ：税込）
エアコンと200Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備しているので価格が気になるところだが、4WDで505万円～となっている。（2WDは表記無し）
装備しておきたいオプションは、FFヒーター（220,000円）、外部電源（55,000円）、1500Wインバーター（13,200円）が挙げられる。また必要に応じてソーラーシステム（148,500円）も装備したい。
他モデル
NV200バネットベースでポップアップルーフを持つモデルは、
・アネックスのRIW200ER（478万円～：4WDは527万円～）
・同ファミリーワゴンSS-ER（423万円～：4WDは472万円～）
・キャンピングカー広島のポップ・コン キャンパーR（418万円～：4WDは461万円～）
・同ポップ・コンeE（400万円～：4WDは444万円～）
・東和モータース販売のツェルトNV（427万円～：ワゴンのため4WD設定なし）
・フジカーズジャパンのFOCSルソ＋UP（393万円～：同）
がある。
これらのモデルは全てギャレーを装備しており、リトリートNV Popとは多少方向性が異なるが、価格の参考にはなるだろう。
コンセプト的にはGordon Miller MotorsのGMLVAN C-01JSF（422万円～：4WDは466万円～）やGMLVAN C-01（374万円～：4WDは418万円～）の方が近いが、これらにはポップアップルーフは設定されていない。
まとめ
リトリートNV Pop自体は、エアコンとリチウムイオンバッテリーを除くとシンプルな装備で、ある程度ユーザーも限られていると思われる。しかし最近の車中泊やバンライフブームでこういったモデルは今後増えるだろう。
いわゆるリアルウッド系のインテリアを持つモデルは今や一つのカテゴリーを築きつつあるが、NV200バネットをベース車にするモデルはまだ少ない。取り回しの良さではハイエースよりも優れているので、今後増えてくるかもしれない。
また、リトリートNV PopはNV200バネットにエアコンとリチウムイオンバッテリーを搭載できることを証明したので、今後他のNV200ベースモデルもエアコンのソリューションが用意されることを期待したい。
関連記事
トリップ |
ライトバンコン特集 |
モビリティーホーム |
