プラスMR:レクビィ


プラスMRレクビィが製作する、ハイエースワイドミドルワゴンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。同社はバンコン専門のビルダーで、多様なモデルをラインアップしているが、ワイドミドルワゴンベースは「ヴォーノ」のみだった。

プラスMRは2006年から2017年まで生産していたワイドミドルワゴンベースのモデルで、これまでラインアップに無かったが、今回進化して復活した。

(記事中の価格は全て税別です)


コンセプト

新型プラスMRのコンセプトは、車内での新しい寛ぎ方。対角線上に配置された対座ダイネットは多段階リクライニングする「カウチソファ」を採用。二人仕様ながら、プライベートな時間を大切にする過ごし方を提案している。


エクステリア

 プラスMRのエクステリア

ベース車はハイエースワイドミドルワゴン。このボディは一般的な2x5mの駐車枠に収まる最大のサイズで、かつ高さは2100mmなので、高さ制限のある駐車場にも入れる場合が多い。

外観は通常のハイエースなので、日常使用にもキャンピングカーとして目立つことはない。


インテリア

 プラスMRのインテリア

プラスMRのインテリアはカジュアルながらも高級感があり、明るい室内を演出している。

プラスシーリーズに共通して使われている「網代(あじろ)」仕立ての家具も採用されており、ちょっとしたアジアンテイストも感じられる。


レイアウト

カウチソファが左右両側に置かれており、後部にギャレーコンソールが配置されている。プラスMRのレイアウトがユニークなのは、二つのシートがシフトしておかれていること。

プラスLVに見られるように、他の多くのモデルのロングシートレイアウトでは左右のシートの位置は揃っており、横座り対座のスタイルになっている場合が多い。

それに対し、プラスMRでは対座して座るというより、カウチシートで足を投げ出して寛ぐスタイルを基本にしている。なお、このレイアウトは意匠登録申請中とのこと。


ダイネット

 プラスMRのダイネット

プラスMRで最も特徴的なのが、このダイネット。ダイネットと言えば対座スタイルや横座りのロングシートスタイルが一般的だが、プラスMRではリクライニングに寄りかかり足を投げ出して寛ぐ恰好が想定されている。

実際、対座ダイネットで長時お行儀よく座っているのは疲れるし、そもそもそんなに長時間顔を付き合わせて話すこともないので、自分のことをやり始める。それもあってか、キャンピングカーではちゃぶ台スタイルで寛ぐユーザーも珍しくない。

プラスMRは、そのような「寛ぎ方」に新しい提案をしている。適度な距離を取ることにより限られたスペースでもプライベートを重視したダイネットだ。それぞれに本を読んだりスマートフォンを観たり、好きなことができる。それぞれの位置に読書灯とUSB電源が用意されているのは大変便利だ。

もちろん近くで対座して話をしたり食事をしたりすることもできる。そのためにシートはテーブル周りは凹ませてある。

唯一の問題は、テレビを一緒に(リクライニングして)観られないこと。ただ、これも今どきは各自で好みの番組をスマートフォンやタブレットで観る傾向にあり、そもそも問題ではないのだろう。

キャンピングカーのレイアウトはほぼ出尽くしたと思われたが、まだこのようなアイデアが出てくるのには感心する。むしろ今までどうしてなかったのかと思えるほど、現実的なレイアウトだ。


ベッド

 カウチソファをフラットにしたツインベッド

ダイネットと並んでプラスMRのもう一つの大きな特徴はベッドだ。ベッドはカウチソファをフラットにすれば、そのままツインベッドになる。ツインベッドはプライバシーが保たれ、またトイレに立つ場合も相手を起こさなくても良いのがメリット。

しかし限られたスペースのバンコンではツインベッドは難しく、他車にもほとんど存在しない。プラスMRでは、これを上半身だけ広くする、というアイデアで解決している。

即ちツインベッド時(フルベッド展開しない場合)には、下半身部に比べ上半身部の幅が750mmと広くなっており、寝返りもうてる。

 ドッキングしたベッド

またシートはスライドして簡単にフルベッドにすることができ、この場合は上半身部の幅は990mmになり、家庭用ベッドではシングルベッドの幅に相当する。なお身長方向は右側が1880mm、左側が1860mmで、身長の高いユーザーも窮屈感は無い。


ギャレー

 最後部に設置されたギャレー

プラスMRのギャレーは最後部右側に設置されている。上面には丸型シンクが埋め込まれており、コンロはポータブルカセットガスコンロを使用する。

 ギャレー前の床下収納

また下には各13Lの給排水タンクが収納されている。なお、ギャレーの前には床下収納が用意されているが、これは8ナンバーを取得するための仕掛けで、これにより、ギャレー前に1600mmの高さを確保するというキャンピングカー要件を満たしている。


冷蔵庫/電子レンジ

 49L冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は49L横開き式の冷凍冷蔵庫がSuperior仕様に標準装備される。製氷室が付いているので、冷蔵と製氷が同時にできる。

また、電子レンジはオプションになるが、ギャレーコンソールにすっきり収納できる。なおインバーターはオプションだが、電子レンジを装備する場合はインバーターを同時に装着しておくと、外部電源が取れない場合でもバッテリーで動作させることができる。


ユーティリティールーム

プラスMRにトイレルームは無い。子供用にポータブルトイレを積んでおくことはできるが、あまり現実的ではないだろう。

そもそもプラスMRは子供連れで使う想定ではない。前向きシートは2名分しかないからだ。もちろん横座りシートにも乗車できるので計5名が乗車できるが、2名以上での長距離はあまりお勧めできない。3名で長距離を乗るならプラスLV+1などがお勧めだ。


収納

 右側に備えられたフォールディングラック

右側にはフォールディングラックが設置されている。これはベルトを解くと収納棚になり、就寝時に荷物を乗せておくことができる。ラウンドデザインで、収納力とヘッドクリアランスを両立させている。

またその後部には収納棚がある。ただしパイプはあるが扉が無いので、割れ物などは乗せておけない。DIYでアクリルの扉を付けると良いかもしれない。なお、この棚の下はガラスになっており、ライトの光が透けて美しい。

 左側シート下の収納

大きな荷物は左側シート下に収納できる。シートにはステー金具がついているので、手で支えていなくてもシートを上げたままにでき大変便利だ。そのほかにも前出の床下収納、エントランス前にはシューズボックスや傘立てが用意されている。


空調

暖房はFFヒーターがオプション設定されている。なお残念ながら冷房のソリューションは提案されていない。もっともワイドミドルボディに家庭用エアコンの設置は難しく、エアコンが搭載されているモデルはほとんどない。折角の快適な室内なので、早くそのようなエアコンが開発されることを期待したい。

なお、ベンチレーターはオプション設置されていない。


テレビ/ナビ

19型のテレビがSuperior仕様に標準装備される。ナビはオプション。


電装系

 右側シート下に収納された電装系

115Ahのサブバッテリー1個とCTEK走行充電 が標準装備される。なお、Superior仕様にはこれらに加え、外部100V電源入力が標準装備される。サブバッテリーは1個増設可能。またソーラーシステムもオプションで設置できる。


価格(2022年4月現在:千円台切り上げ:税込)

ガソリン2WD/6AT標準仕様で542万円~、冷蔵庫、外部100V入力と充電機能、19型モニター、カーテン等が標準装備されるSuperior仕様は同621万円~となっている。79万円高になるが、冷蔵庫や外部電源入力/充電機能はほぼ必需品なので、Superior仕様がお得だろう。

その他是非付けておきたいオプションはFFヒーター(253,000円)、インバーター(電子レンジとセットで173,800円)が挙げられる。


他モデル

ハイエースワイドミドルワゴンを使用したバンコンで二人仕様は、アネックスのリコルソ(532万円~)、かーいんてりあ高橋のリラックスワゴンインフィニティ(484万円~)、キャンピングカー長野のスペースキャンパーCOOL(価格不明)、ナッツRVのファミモTypeC(459万円~)、リンエイプロダクトのワイドバカンチェス二人のくるま旅プライベート(価格不明)、そしてレクビィのヴォーノ(542万円~)がある。(価格は2022年4月現在) 

シングルベッドを対角線上に配置したという点でレイアウトが最も近いのは、ワイドバカンチェス二人のくるま旅プライベートとスペースキャンパーCOOLだろう。しかしコンセプトはプラスMRとは全く異なる。

スペースキャンパーCOOLは対角線ダイネットではないが、カウチシートのコンセプトを持ち、クーラーを搭載できる注目モデルだ。またヴォーノは他にないコンセプトのレイアウトを持っている。そのほかのモデルは両側にロングシートを持つ一般的なレイアウトだ。


まとめ

プラスMRはコンセプトが新しいので当然競合モデルは無いのだが、もし競合するとすると、それは「従来のコンセプト」との競合だろう。

もちろん従来のロングシート対座レイアウトが古いわけではない。これからも多くのモデルが存在するだろう。どちらを選ぶかは、それこそユーザーのライフスタイルや考え方による。

しかし確かに二人旅をしながら、半プライベートにカウチソファに寝そべって本を読んだりスマートフォンを観たりというのは、キャンピングカーでの今風の過ごし方と納得してしまう。


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プラスLV

     

モデル プラスMR プラスMR
Superior
ビルダー レクビィ
ナンバー区分 8
乗車人数 5
前向き乗車人数 2
就寝人数 2
エクステリア    
ベース車 ハイエースロングミドルワゴン
ルーフ架装 -
窓架装 -
レイアウト    
ダイネット形態 ロングシート対角対座
マルチモードシート -
ベッド
ツインベッド
or ダイネット展開ベッド
常設ベッド -
ギャレー    
コンロ ○(卓上型カセットタイプ)
シンク
給水タンク ○(13L)
排水タンク ○(13L)
冷蔵庫/設置スペース OP(49L横開き)/○ ○(49L横開き)/○
電子レンジ/設置スペース OP/○
ユーティリティールーム    
防水処理 -
トイレ OP(ポータブル)
シャワー設備 -
シャワー用給排水タンク -
温水設備 -
手洗い -
空調    
ベンチレーター -
FFヒーター OP
家庭用エアコン -
電装系    
サブバッテリー ○(115Ah x1)
バッテリー増設 OP(増設最大1個)
リチウムバッテリー -
走行充電システム ○(CTEK)
外部100V入力/充電 OP/OP ○/○
インバーター OP(各種)
ソーラーシステム OP(各種)
発電機 -
ナビ/テレビ    
ナビシステム OP
テレビ OP(19型) ○(19型)
サイズ    
全長(mm) 4,840
全幅(mm) 1,880
全高(mm) 2,100
価格 (税別)    
ガソリン 2WD 6AT(特装車) 542万円~ 621万円~
ガソリン4WD 6AT(特装車) 572万円~ 652万円~

2022年4月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

 

2021.2.27