バロッコはフィールドライフが製作する、ダイハツ ハイゼットトラックをベース車にした軽キャブ・コンバージョンキャンピングカー。ポップアップルーフを標準装備し、広い室内を確保している他、高品質な内外装で軽キャンパーの上級モデルとして位置付けられる。
同社は、カテゴリー的に最上位のセミフルコンと最下位の軽キャンパーをラインアップするユニークなビルダーで、セミフルコンでは有名な「ROOTS」(記事はこちら)シリーズを生産している。軽キャンパーはバンコンとキャブコンどちらもラインアップされており、このバロッコは同社唯一の軽キャブコン。
バロッコの室内
コンセプトは、「軽キャブコンで本格的なモーターホーム」で、シェルの素材から内装に至るまで、同社の持つフルセミコンの手法と品質が生かされている。ポップアップルーフとフロアベッドで2名がゆったり就寝でき、ギャレーや冷蔵庫も標準装備している、二人での長期旅に対応できる軽キャンパーだ。
エクステリアは、ダイハツ ハイゼットトラックにFRPシェルを架装している。ハイゼットトラックはキャンパー特装車で、運転席、助手席のシートはリクライニングに変更されている。シェルはFRP製で高断熱・高強度の「ハイドロバックパネル」と名付けられたパネルで構成されており、高い耐候性を持つジェルコーティングにより、長期間色褪せることが無いと謳われている。ボディカラーは8色から選べる。
8色から選べるボディカラー
インテリアは、標準仕様の他オプション仕様も用意されているが、展示車は山小屋風の木目模様の壁に、ブルーをアクセントとしたシートと明るい木目の家具を組み合わせたものが使用されている。熟練された職人による手作業で、軋み音の少ない家具やきめ細やかな縫製が施されている。また照明はルーフのメインライトに加え、サイドにはLEDの間接照明があり、軽キャンパーながらお洒落な室内を演出している。なおシェル部の窓はアクリル二重窓になっており、断熱効果が高い。また、ダイネットと後部のアクリル窓には網戸と遮光シェードが組み込まれている。このあたりはセミフルコンを作る同社の真骨頂だ。
インテリアは選択できる
レイアウトは、ソファ2脚を置いたL字型のダイネットとギャレーセクションの組み合わせ。前向き着座できるシートは運転席と助手席のみなので、二人旅仕様のレイアウトと言える。乗車人数は4名なのでファミリーでも使えるが、前向き着座できないのでファミリーでの長距離旅には向かない。ルーフベッドがあるので既定の就寝人数も4名だが、やはり二人旅で上下1名ずつ就寝するのが適しているだろう。
ダイネットはL字型ソファダイネットで2名がゆったり着座でき、テーブルを囲むことができる。2名掛けソファなので、足を伸ばして寛ぐのは少し難しいかもしれない。そのようにして寛ぎたい場合は、ベッドモードにしてちゃぶ台スタイルにしておくと良いだろう。
ルーフベッドにもFFヒーターの温風が引き込める(オプション)
ベッドはダイネットを展開するダイネットベッドと、ポップアップルーフを上げるとできるルーフベッドがある。ダイネットベッドは1810x1030mm、ルーフベッドは2100x1120mmだ。ギャレーコンソールがあるので、ダイネットベッドの方が多少狭い。いずれも家庭用シングルベッドより広いがセミダブルベッドより狭いので、一人用と考えた方が良いだろう。なお、FFヒーターの温風をルーフベッドに導くことができる「FFヒータールーフダクト」オプションが用意されている。冬場や早春、秋口はポップアップルーフで就寝するのは寒い場合があるのでこのオプション設定はありがたい。軽キャンパーで(ハイエースクラスでも)ここまで考えてあるモデルは少ない。
跳ね上げ式調理台が付いたギャレーコンソール
ギャレーはコンパクトだがシンクは実用的な大きさで、小ぶりの皿なら洗うことができる。ギャレーの上にはオーバーヘッド収納もあるので、小さな食器を入れることはできるが、フライパンなどの調理器具は難しいかもしれない。跳ね上げ式の調理台が用意されているので、カセットガスコンロはここに乗せることができる。
冷蔵庫は14Lのポータブル冷蔵庫が標準装備され、設置スペースも確保されているが、展示車はその場所にオプションのポータブルクーラーが置かれていた。この場合は冷蔵庫の常設スペースは厳しそうだ。また、電子レンジは12V専用のWAVEBOXがオプションで用意されるが、設置するには冷蔵庫とトレードオフとなる。
車外からもアクセスできるシート下の収納
収納は、左右上部にオーバーヘッド収納が用意されているので、小物の収納に便利。ただ、ギャレーコンソールには小さな食器を入れておく引き出し収納が欲しいところだ。大きな荷物は、後部のソファの下に収納できる。これは車外からもアクセスできる。
オプションのベンチレーター
空調は、FFヒーターがオプション設定されている。また壁専用のベンチレーターがオプション(45,000円)で用意されており、展示車にも装着されていた。吸排気切り替えで6段階に調節できる。ポップアップルーフは防虫網モードにできるので、ベンチレーターは必需品ではないかもしれないが、冬場などに換気するのに便利だろう。
展示車にはオプションの100Vのポータブルクーラー(15万円:税別)が装備されていた。これがあれば夏の車内の快適性が格段に向上するが、かなり大きく存在感がある。なお、インバーターでは使用できず、外部電源がある場合のみ使用可能だ。また、リアに付けたキャリーに室外機を設置しており、かなり大掛かりな設備となる。もっと小型で一体型のクーラーが欲しいところだ。
電装系は、105Ahのサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。スペース的にバッテリーの増設は難しく、オプション設定されていない。インバーターはオプションで400Wのものが用意されている。リチウムイオンバッテリーなら同じ大きさで200Wh程度の実力があるので、1500Wのインバーターを搭載すれば、100Vの電子レンジやクーラーがバッテリーで使えるが、そのようなオプションも欲しいところだ。
なお、外部100V電源入力と、それによるサブバッテリーの充電機能が標準装備されるのは嬉しい。また100Wのソーラーパネルシステムがオプション設定される。
価格は325万円(2WD/4AT:税別)。軽キャブコンでは300万円(同)を下回るモデルも多く、その意味では高価な部類に入る。しかし、バロッコの高品質感と標準装備の内容を考えると取り立てて高価ということではない。
比較対象としてはインディアナRVのインディ727(288万円~:同)や姉妹車の東和モータースのインディ108(同:記事はこちら)、オートショップアズマのケー・アイTYPE D(301万円~:同:記事はこちら)、stage21のリゾートデュオバンビーノ(298万円~:同:記事はこちら)、バンショップミカミのテントむし(価格不明:記事はこちら)などがある。