ナローエースはテッツRVセンターが製作・販売するハイエース標準ボディベースのバンコン。ロキシールーフと名付けられた、バンクを持つFRPハイルーフを標準で架装する。
同社は、FRPハイルーフの架装を得意としており、他にもハイエースワイドボディをベースにしたスーパーエースや、ハイエーススーパーロングをベースにしたメガエースなどをラインアップ、更には日産エクストレイルなどの一般車やエブリィなど軽バンにもロキシールーフを架装したモデルがある。
ルーフエンドにエアコン室外機を設置
また、同社は早くから家庭用エアコンの搭載にも積極的で、ハイルーフリアエンドに室外機を置くスタイルは、スーパーエースで以前より採用されている。
今回のナローエースもそのスタイルを取り入れており、ルーフエンドに室外機が見える。
良くも悪くも、この位置への設置が、このモデルの特徴であろう。
まずメリットとしては、この位置が最適であるということ。
室内機と室外機の距離が最短になり、運転効率が良い。
また、高い位置に後ろ向きに設置されており、走行時に破損が少ないこと。
室内スペースが犠牲にならないので、室内を最大限に生かせることが上げられる。
レイアウトの一例 好みに応じてオーダーできる
デメリットとしては、高い位置に設置するため、車体の重心が上がってしまうこと、そして目立つこと、だろう。
ただ、重心の問題は、特に普通の走行時ではあまり感じないだろう。
また、目立つが故、いろいろな人が話しかけて来て会話が弾むというのは、むしろメリットかも知れない。
ハイエース標準ボディに家庭用エアコンを搭載したモデルは、他には同社の「しろくまくん」とRVビックフットの「ACSエールーム」しか存在しないが、いずれも車内中央に室外機を設置する。
高い天井高で開放感のある室内
さて、キャンピングカーの家庭用エアコンは実際に使えるのか、という疑問をお持ちの読者の方も多いだろう。
簡単に言ってしまえば、短時間なら使える、と言うのが答えだ。
短時間と言うのは100Ahのディープサイクルサブバッテリー2個で昼間なら2~3時間と考えた方が良い。
バッテリーの経年変化や他の電気製品を使うことを考えると、もっと短いこともあり得る。
即ち、バッテリーだけでは、現実的に使うためにはかなり制限される。
もちろん外部100V入力が使えるなら問題ないが、いつも可能ではない。
比較的長時間使うためには、リチウムバッテリーを積むか、発電機を積む手段がある。
しかし、リチウムバッテリーは充電する必要があるし、発電機は騒音の問題で使える場所が限られることを考えると、どちらも完璧ではない。
従って、その両方を積むのが、現実的な解となるだろう。
昼間発電機で充電しておき、夜リチウムバッテリーでエアコンを使う、という使い方だ。
バンクベッドで大人2名が就寝可能
ただ、リチウムバッテリーは従来のバッテリーのスペースに置けるとして、発電機のスペースまで確保するのは、標準ボディの車内にエアコンの室外機を置くレイアウトでは無理だろう。
即ち、室外機が車外にあるナローエースならば、発電機を置くスペースが確保できるのだ。
置くスペースはスーパーエースが参考になるだろう。
もちろん排気は車外に排出されるので、心配ない。
なお、レイアウトはユーザーが自由に決められる、というのもナローエースの特徴なので、発電機の搭載などについての詳細はビルダーに相談すると良いだろう。
いずれにしても、ナローエースの強みはここにあると言ってよい。
即ち、ハイエース標準ボディで、エアコンを現実的に使える唯一のモデルなのだ。
ギャレーの一例 ギャレーも自由にオーダーできる