失敗しない初めてのキャンピングカー選び


これからキャンピングカーを購入しようと思っている場合、まず直面するのが、どのようなモデルを選べばよいか、だ。そこで、「とりあえずキャンピングカーショーに行ってみるか」となるが、その前にまず知っていただきたいのが「基礎知識」。そして、次に考えてほしいのが、キャンピングカーで何がしたいのか、どこへ行きたいのか、だ。


漠然とキャンピングカーショーに行くと、あまりにも多くのキャンピングカーが並び、何をどのように見てよいのか分からなくなる。とりあえず目についた展示車を見て、説明を聞いても、それが本当に自分に最適のモデルなのか、もっと良いモデルがあるのではないかと心配になったりする。

そこで今回は効率よく見て回るために、ケース別にターゲットを設定してみた。
まずは、自分がどのようにキャンピングカーを使いたいのか、考えを整理してみよう。
下の3つのポイントを考えることにより、最適な車種を絞り込むことができる。

1.ファミリーで使うか、二人で使うか、あるいは一人で使うか?

これでキャンピングカーのレイアウトが決まる。ファミリーの場合は小学生くらいまでの子供が同行する場合が多く、大人2名と子供1~3名となる。最も重要なポイントは、当たり前だが、人数分のベッドがあること。
そしてもう一つ注意することは、全員が前向きに着座してドライブできること。キャンピングカーは商用車がベースになっていることが多く、後席の乗り心地は一般的に言って良くない。前向きに着座してしっかり身体をホールドする必要がある。また、安全面から言っても前向き(または後ろ向き)の着座をお勧めする。

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ふたり旅の場合は運転席と助手席に座るので、後席のレイアウトは自由だ。気に入ったレイアウトを選ぶと良いだろう。ただし、特にバンコンでは、前向きに着座できるようになっているシートは車幅いっぱいに設置されている場合がある。このようなレイアウトは、前後の移動が難しいので、特に必要なければロングシートの方が良いだろう。

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2.日常使用するか、専用使用か?

これでキャンピングカーのサイズと外観が決まる。日常使用する場合は通勤や子供の送り迎え、あるいはスーパーへの買い物などにも使うので、あまり大きなサイズは不便だし、キャンピングカー然とした外観のモデルで職場に行くのは気がひけるかもしれない。
このような理由から、外観は普通のハイエースやNV200バネットと変わらないモデルが人気だ。ステップワゴンやセレナといったミニバンベースのモデルなら商用車ベースではないので更に普通に見えるが、室内の広さはハイエースやNV200バネットに及ばない。

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なお、ポップアップルーフがあると、普段はノーマルに見えるが車内で寛ぐときは高い天井高で圧迫感が少ない。
一方、専用仕様ならキャンピングカー然とした外観でも良いので、やはりキャブコンが理想。スペース効率、断熱性に優れ、天井高も高いので居住性に優れる。予算や駐車スペースが許されるならスタンダードキャブコンバスコン輸入モデルも視野に入る。

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3.短期旅行が多いか、長期旅が多いか?

これにより、車内の快適さ、即ち、広さ、天井高、常設ベッドの有無、バッテリー容量、空調設備、調理設備が決まる。
長期旅(1週間以上)の場合、狭い車内や天井が低い車内で長期間暮らすと疲労が溜まる。また、ベッド展開を毎回するのは大変なので常設ベッドは欲しい。更に外食は飽きてくることもあるので、簡単な調理ができると良い。電子レンジがあると便利だ。
一方短期旅では、ベッドさえあれば良いので極めてシンプルな装備で済む。
従って長期旅ならキャブコンが理想。バンコンでもハイルーフやスーパーハイルーフ、あるいはポップアップルーフがあればかなり快適なクルマ旅ができる。

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また長期旅行の場合、外部電源からの充電が必要となる。サブバッテリーも大きい方が良いだろう。発電機を搭載できれば、充電に困ることは無い。

上記が、キャンピングカー選択の基本選択条件になるが、この他にも、ベッドはダブルベッドか2段ベッドか、あるいはエアコンが装備できるか、またあるいは温水シャワーが欲しいなど、細かい条件が考えられる。
このような場合は、当サイトの「モデル検索」で条件を入力してキャンピングカーを選択できる。

なお、更に具体的な用途別キーポイントについては、基礎知識「第5章 ケース別キャンピングカー選びのキーポイント」にも説明したので参考いただきたい。


上記の条件を重ね合わせてケース別に具体的なキャンピングカーのスタイルを提案してみよう。

日常使用+ファミリーで休日に2~3日の旅行

・セレナやステップワゴンなどミニバンベースのバンコン
・NV200バネットやハイエースベースのバンコン
・前向き着座が可能
・人数分のベッドがあること
・ポップアップルーフがあると理想的

日常使用するので取り回しが良いのが絶対条件。キャンピングカー然としたスタイルは目立つので除外する。(もちろんそれが問題とならない場合は、その限りではない)
ベース車はハイエースNV350キャラバンの標準ボディ、あるいはNV200バネットが上げられる。これにポップアップルーフがあると、普段ではノーマルに見えるが車内で寛ぐときは高い天井高で理想的だ。またポップアップルーフを上げると、そのスペースで就寝できるので、就寝人数を稼ぐには良い手段だ。
レイアウトはミニバンのように前向き着座でドライブできると、乗り心地や安全面で安心だ。

このケースについてはケース別キャンピングカー選びの「ヴォクシーにするかキャンピングカーにするか?」も参考いただきたい。

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専用使用+ファミリーで長期旅行

・ライトキャブコン
・スタンダードキャブコン
・ハイエーススーパーロングバンコン
・バスコンやセミフルコン、トレーラー
・前向き着座が可能
・人数分の常設ベッド
・調理ができる実用的なギャレー

専用使用なので本格的なキャンピングカースタイルでも問題なし。ならば、キャブコンが理想的。スタンダードキャブコンならファミリーでも広々感が得られるが、取り回しならライトキャブコンが楽。バンコンならスーパーロングクラスが欲しいところだ。
レイアウトは前向き(または後ろ向き)着座ができ、人数分の常設ベッドバンクベッド含)があるモデルを選ぼう。

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長期旅なので、いつも外食では飽きるし、簡単に済ませたい場合もある。よって、実用的でちょっとした調理ができるギャレーがあると良いだろう。電子レンジがあれば便利だ。

日常使用+二人で2~3日の旅行

・ミニバンベースのバンコン
・ポップアップルーフがあると理想的
・NV200やハイエースベースのバンコン

日常使用するので取り回しが良く、また普通のミニバンに見えるモデルが好まれる。NV200バネットでもミニバンに見えるが、更に外観を気にする場合は、セレナやステップワゴンベースが良いだろう。二人で短期の旅なのであまり装備は必要なく、簡単にベッド展開できるレイアウトが適する。このクラスで常設ベッドを持つものは無いので、ロングシートタイプがお勧め。

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日常使用+二人で長期旅

・NV200やハイエースベースのバンコン
・ポップアップルーフがあると理想的
・常設ベッド
・調理ができる実用的なギャレー

やはり日常使用するのでコンパクトな方が取り回しが良いが、長期旅なのでできるだけ広い室内が欲しい。これは相反する要求だが、ポップアップルーフなら通常はノーマル、停泊時は高い天井高を得られる。
NV200でも長期旅ができない訳ではないが、やはりハイエース標準ボディクラスの方が楽。取り回しも慣れればそれほど苦労することはない。また何泊も就寝するので、ベッドは常設ベッドがお勧め。また二人で使用するので、ダイネットは前向き着座にこだわる必要はなく、ソファダイネットでも良い。

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専用使用+二人で長期旅

・ライトキャブコン
・スタンダードキャブコン
・ハイエースバンコン
・バスコンやセミフルコン、トレーラー
・常設ベッド
・調理ができる実用的なギャレー

専用使用なのでキャブコンがお勧め。かつふたり旅なので小型のものから大型のものまで選択肢も多い。ただ長期旅なので軽キャブコンは疲れるかもしれない。コンパクト系で価格的にも安価なのはボンゴベース、コンパクトかつパワーを求めるならハイエース標準ボディベース、余裕が欲しいならカムロードビーカム、あるいはハイエースワイドベース、大型でも良ければバスコンやセミフルコン、輸入モデルも選択肢に入る。
二人で使用するので、ダイネットは前向き乗車にこだわる必要はなく、ラウンジソファタイプでも良い。

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軽キャンパーは使えるか?

最後に、軽キャンピングカー(軽キャンパー)について触れておきたい。軽キャンピングカーには軽バンコンと軽キャブコンの2種類がある。軽バンコンは軽バン(あるいはワゴン)をベース車にしたモデル、また軽キャブコンは軽トラックの荷台を外しシェルを架装したモデルだ。

結論から言うと、軽バンコンで二人の長期旅は厳しい。就寝スペースが窮屈なのと、寛げるスペースが小さいので、長期旅では疲れとストレスが溜まり、楽しい旅行ではなくなるだろう。軽バンコンは、一人旅や釣りなどの趣味用途に向いている。もし2人で就寝するなら、ポップアップ付きのモデルをお勧めする。これなら上下に分かれて就寝できる。

軽キャブコンは、軽バンコンに比べればまだ余裕があるが、それでも十分ということはない。軽キャブコンで2人旅をするなら、シェルが大きい普通車8ナンバー登録モデルを選ぶと良いだろう。動力性能には不利だが、室内スペースはかなり広い。軽キャブコンについては「軽キャブコン10選」も参考いただきたい。

なお、軽キャンピングカーで高速道路を長距離運転するのは避けた方が良い。パワーが無いので運転に気を使う上、燃料タンクが小さいのでガソリンスタンドに度々立ち寄る必要があり、また大型車に追い越される場合、揺れが激しい。

以上、代表的な使用ケースを上げてみたが、他にも様々な条件があると思う。キャンピングカーファンでは条件を入力してキャンピングカーを検索できる「キャンピングカー検索」もあるので、使っていただきたい。



キャンピングカーショーでのチェックポイント

2018.1.17